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きょうの聡太くんとヘドロ飼い主 2024/9/5

 最近よく毛虫が家のなかに出没する。毛虫といっても松の木にたかるガチのヤバい毛虫ではなく、いわゆるところのアメリカシロヒトリ、通称アメシロの幼虫なのだが、それでも不気味だしビックリする。
 わたしはナウシカのように心優しくないので、風除室の網戸にアメシロがいれば殺虫剤をスプレーする。滅びよアメシロ。このスタンスは映画版のクシャナ殿下に近いと思う。待ちたいのだ。進言耳が痛い。
 そのアメシロがたまに家の中に現れて、それを聡太くんがキラキラのおめめで「わあい、むしさんだ!」とタタカイを挑もうとしていることがよくある。窓や外へのドアがあるところから「カタ……カタ……」などと聞こえてくると十中八九アメシロだ。やめなさいよと思う。
 なお毛虫はわたしの住んでいるところの方言で「ギャンダカ」という。ただこれはアメシロというより松の木にたかるような凶悪な毛虫を指しているらしい。最近めっきり聞かなくなった言葉でもある。

 ご飯の量間違えてました事件からしばらく経って、適正な分量を食べるようになったら、聡太くんはものすごくムッチムチになった。
 ムッチムチのムッキムキになって大変重たくなったし、床に落ちていると踏みそうだし、とにかく一言で言えば「でっかくなった」という感じである。持ち上げるとすこぶる重い。
 しかし体はムチムチのムキムキになったものの、まだ顔が少し痩せているように感じる。もっと福々しいお顔になってもいいのだよ、と声をかけるも、それでお顔がフクフクになったら栄養学の敗北である。
 人間が痩せようとダイエットを始めても、顔が痩せるのはだいぶ後になってからだという気がする。その理屈が太るときも当てはまるなら、きっと顔がフクフクになるのは後からだ。
 とにかく早くフクフクになっていただきたい。フクフクになったら顔を揉みたい。たぶん断固拒否される。
 きのう薬を入れているお菓子の缶を開けたら、聡太くんは「わーい!」と缶に入ろうとした。「こらこら」と片手で缶から出したときの重さたるや!
 早くもっとフクフクになりなさい。猫はちょっと太っているくらいがかわいいのだ。

「はーどぼいるど……」


 きのうの夜、部屋に戻る前に、聡太くんはボール遊びがしたいのかな、と思って物置に繋がる廊下を見てみるもどこにもいない。呼べども出てこない。しかしキャットフードの棚を開けるのは可哀想だなあ、とかつおぶしの引き出しを開けたがもちろん出てこない。
 当てずっぽうで茶の間にボールを投げても無反応なので、ちゃんと探すか……とボールをとりにいって、父氏の椅子のオットマンの下に手を入れたらそこに聡太くんがいた。なんで隠れていたのか。
 ボールを投げてほしかったらしく廊下に向けて投げたら「うおー!」と追いかけて、そのまま茶の間に戻ってきて「わくわく……!」と待機しているではないか。遊んでほしいならもうちょっと分かりやすいところにいなさいよ、と思った。
 たぶん茶の間にボールを投げても無反応だったのは、ボールを投げてほしい方向でなかったからだろう。あくまで廊下方面に投げてほしかったのだ。
 猫の気持ちを汲み取ることのなんと難しいことか。

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