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きょうの聡太くんとプレイバックたまちゃん 2024/7/23

 きのう、聡太くんが惣菜パンを強奪しようとして大暴れしたせいで、人間3匹はなんというかヘトヘトになっていた。
 なので、夜はぼーっとテレビを観ていたわけなのだが、わたしはテレビがちょっと嫌で、薄暗いピアノの部屋でぐったりしていた。
 すると台所のほうから「ざりざり……ざりざり……」と謎の音が聞こえて、なんだ? と顔を上げると、母氏が後で洗おうと外した炊飯器の内ブタを聡太くんがなめていたのだった。
 たぶんコメのいい匂いでもしたのであろう。現行犯で取り押さえたものの猫に反省しろというほうが酷なので笑うしかなかった。1日に2回もこんなひどいことをするのか。困ったやつだ。そしてかわいいから許されるのである。
 聡太くんは現行犯で取り押さえられたというのに「いーえ? ぼくはなんにもわるいことをしてませんよ?」という顔をしていた。たぶん本当に、悪いことをしたとは思っていないのだろう。猫というのは自由の獣だ。

 もう聡太くんにはなにをされても笑うしかない。きのうの惣菜パン強奪はこちらも怪我をしたし反省してほしいところだが、しかし猫の辞書には「反省」とか「後悔」の文字はないようだ。
 そりゃお腹を壊せば痛いのだろうが、それだって出てしまえば「あーすっきりした!」で終わるのだろう。今朝お腹を壊していたか母氏に聞きそびれたが、もし壊していたら母氏から言うのではあるまいか、と思う。
 そりゃササミが生煮えでお腹を壊したなら人間の責任なのは明確だから人間が反省するが、人間の食べ物を掠めたり食器を舐めたりするのは……やっぱり人間の責任だな。聡太くんは買い物袋に顔を突っ込むのが好きなヒトなので気をつけねばならない。
 そしていつもの動物病院がお休み中のいま、聡太くんがお腹を壊せば確実に一万五千円がぶっ飛ぶ。そして検査で原因が分かるころには、聡太くんのお腹は整腸剤で元に戻っているのだ。なんというグラン・ギニョルだ!!!!
 ジュラルミンの胃袋だったたまちゃんが懐かしい。

でっかくなったね……。


 本当に、毎日が「たまちゃんはそんなことしなかったぞ!!!!」のオンパレードである。
 たまちゃんは神棚には登らなかったし、買ってきたパンや豆腐に自分から噛みつくことはしなかった。ただ人間から「お肉食べるか?」と言われてちょっとだけ豚肉をもらって喜びはした。
 シンクに逆さに置かれたフライパンをひっくり返そうともしなかったし、シンクを漁ったりもしなかったし、なによりお腹を壊さなかった。やはりねこねこネットワークはちょっとずつ難度を上げてきている。
 たまちゃんは血尿を出して以来毎日のご飯が処方食のカリカリだったので、「このキャットフードはお腹を壊すな……どれならいいんだろう……」ということがなかった。聡太くんはうかつに変なものを食べさせるとお腹を壊す。
 ねこねこネットワークから派遣されてくる猫は、飼い主がどれだけ猫慣れしているかを試しているのではあるまいか、と思う。
 そんなふうに思いながらも、我が家の人間3匹は猫なしの暮らしができないほどに猫に骨抜きにされているのだ。猫中毒だ。
 たまちゃんと暮らして、猫と暮らすのがどれだけ楽しいことなのかがよく分かった。だから聡太くんと暮らすのは楽しい。「たまちゃんはそんなことしなかったぞ!!!!」と叫びつつも、たまちゃんが仏壇のどら焼きやら水で戻した山菜やらをモグモグ食べたことはちゃんと覚えている。猫はそもそも「反省」とか「後悔」とかを考える生き物ではないのである。そこはたまちゃんも同じだったのだと思う。

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