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きょうの聡太くん 2024/9/28

 聡太くんがここ最近ずっと寝床にしていた、古いベッド用のマットレスが立てられてしまった。いままで平らかに置かれていたのが、邪魔だというので長い辺を下にして縦に置かれてしまったのだ。
 聡太くんは寝床がなくなって困ってるんだろうな……と思ったら物置の古くてボロボロの座布団の上でぐうぐう寝るようになった。環境に適応する力が高すぎるのではないか。
 聡太くんはお利口なので(賢いとは言っていない)、クッションの効いたところで寝たがる。寝心地のいい場所がすぐにわかるのだ。
 マットレスで寝ることはできなくなったが、それでも聡太くんは物置が好きだ。「こどくをこのむおとこなので……」とか言うのだろう。

 きのうまた廊下の窓辺で聡太くんがカチャカチャやっていて、なにをしているのだろうと思ったらハエと戦っていた。
 ハエは飛ぶので高いところに留まっており、届かない聡太くんは「げせぬ」の顔をしていた。
 まあこれなら大丈夫であろうよと茶の間の窓から廊下を観察していたら、ハエは馬鹿なのか床に降りてきたらしく、聡太くんは床をばちばち叩いていた。
 慌ててティッシュを持って駆けつけるとハエは窓のサッシの隙間にいて、ハエを捕まえて事なきを得た。しかし若干潰れたような手触りがしてゾワっとしたのだった。
 聡太くんはきっとハエを捕まえてモグモグする気だったに違いない。きみという子はどうしてそういうことをするのか。昆虫からしか摂取できない栄養でもあるのだろうか。

 やっぱりきのうの話だが(きのうの話ばかりしているので果たしてこれは「きょうの聡太くん」なのかたまに悩むがそれはどうでもいい)、新聞の集金のおばちゃんがやってきた。人のよさそうなおばちゃんだが以前宗教団体系の音楽イベントのチラシを持ってきたことがあるので我が家では警戒している。
 ちょうど聡太くんが玄関にいるときにやってきて、いったん財布を取りに茶の間に戻って、それから玄関を開けた。
 支払うお金を財布から出す間、おばちゃんは聡太くんに「お外いきたいの? お外で遊びたいの?」と可愛がるような声をかけていた。聡太くんは完全にビックリしてしっぽを膨らませていた。
 なお今回は足首に爪を立てられないで済んだ。逃げればいいようだ。

グレーには赤が合う。


 例によってきのうの夜、歯磨きをして体重を測っていると、聡太くんがてちてちてちと歩いてきた。「どうした?」と声をかけても無視して台所のほうにてちてち歩いていく。
 どうやらボール遊びがしたいようだな、と洗面所の明かりを消し、ボールを持って台所にいくと、やっぱりテーブルの上に待機していたので、ほれ! とボールを投げるとシュババババと茶の間に走っていった。
 以前は毎晩のようにやっていた遊びであるが、最近はさっぱりやっていなかったので、いまもボール遊びが好きだとわかって安心したのであった。

「にんげんはやわらかいです、いえちょっとかたいです」


 聡太くんが興奮して袖口を噛んだりしてくるとき、つい「なになになに」の意味で「にゃににゃににゃに……」と猫語になってしまう。いや猫は猫語なんか話さないのだ、猫語は人間が勝手に作ったものである。
 だから弊noteでは聡太くんのセリフとして「だにゃ」とか「なのにゃ」とかはいっさい使っていないはずだ。それは人間が勝手に考えた猫語だからである。
 猫はもっと真面目な口調なのではないか、と思って弊noteの聡太くんのセリフを書いているわけだが、しかし飼い主のほうが「にゃに」とか「なんにゃ」とか言っているのだから笑ってしまう。
 まあ聡太くんのセリフを考えるのだって人間本位の行動だ。猫はしゃべらない。ときどき文句ありげに「なーん……」などと言ったりはするが基本的に人間に通じる言葉は話さない。
 聡太くんのセリフを考えるのは「聡太くんと話が通じたらいいな」と思って、それを文章の中でやってみよう、というだけのことである。猫はしゃべらない。
 だが人間は猫を前にすると猫撫で声が出るようにできている。それがわたしに「にゃににゃににゃに」と言わせるのだ。悲しき人間のサガというやつなのだろう。

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