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愛着障害の克服に大切なこととは- 現場での経験から伝えたいこと

「愛着障害」という言葉が、X(Twitter)のトレンドにも時折上がるようになった。

その言葉や概念が様々な人に伝わることは良い。しかし、危惧していることがある。

私のダメな理由だというラベルづけになってしまったなら意味がない。それならば、そんな概念は無いほうがいい。

知ることで進む。それが大事。

【愛着障害とは】

医学的には症状により「反応性アタッチメント障害(反応性愛着障害)」(人に頼ることができない)、あるいは「脱抑制型対人交流愛着障害」(前者とは逆に、人に依存する)と呼ばれます。

いずれも親を含めた養育者との愛着が形成されないことにより生じます。主に現れる症状は、感情のコントロールの困難、自己肯定感の欠如、二次的に併発する精神疾患などです。

(編集アシスタントより補足)

愛着障害について初めて知った方は、以前投稿したこちらの記事もご覧ください。


正解探しをしても楽にはなれない


「私は間違っている」潜在意識の中から見えてくるこの思いが、愛着障害の方には本当に多い。

根本的に自分の存在そのものが間違っている。だから、正しいことを常に探す。しかし、その正しさは彼らを楽にはしない。

「他人は正しく、私は間違っている」この恐れがつきまとう。

「私は間違っている」というのは信念化しているだけのただの言葉であって、その人そのものを言い表している言葉ではない。

その人の存在が間違っていると誰がいったい証明できるのか。空虚な記号。しかし、確かにそれを真実らしくさせているものがある。それを見つけるのが我々メンタルセラピストの仕事なのだ。


本人の努力や自己肯定感で解決する問題ではない


「きっと努力すれば自己肯定できる」

自己肯定感の高め方が書かれたSNSの投稿や本が増えてきたが、愛着障害の方はそういう世界にいない。メンタル系の発信をする専門家にすらそこを理解してもらえない苦しみがある。

本当に今までよく生きてきたと思う。本人はまだ理解できなくても、そこは目一杯伝えてあげたいって思う。

知識を得ること、概念を通して見ることも時には大事だが、それより大事なのは「この人の中で何が起こっているのか」を、ひとりひとり見つめていくこと。概念や分析だけで改善はできないのだから。


大人の愛着障害の方々と歩いてきて感じること


愛着障害を持つ方は難治性の鬱や双極性障害を併発しているケースが多く、投薬治療だけでは寛解に至りにくい。

また、カウンセラーやセラピストの同業者でも難しいために敬遠する方も少なくない。

しかし僕自身、区分けはしていないし、どういうわけか僕へご相談をいただけることが多い。

困難な道のりや課題ではあるが、セラピストとして彼らが僕を育ててくれた。

より良い技術、より良い向き合い方、本音が言えるような場所、そして回復への一歩一歩、互いに喜びあえる瞬間。

幼少期から愛着を育む事ができなかった方の中に自分への愛着が取り戻せた時、彼らの目に映る世界は変わっていく。

モノクロの世界は色鮮やかな世界へ、孤立は繋がりの世界へ、恐れ主体から安心主体の世界へ、凍りついた世界から雪解けの世界へ。

その素晴らしい姿に立ち会えて、この仕事を続けてきた喜びをもらえると同時に、人間として愛を感じる。

愛着障害についてさらに知りたい方へ


noteで過去に書いた記事の他、Instagramでも取り上げました。


インスタではジブリ映画「思い出のマーニー」をモチーフに解説。noteでの記事とはまた違った角度から紐解いています。

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