見出し画像

自分の好きなとこ

まず、私は自分の顔が好きだ。パーツは良くないけど、配置がいい。手札が悪いのに勝つ大富豪ほど気持ちの良いものはない。私の手札で戦力になるのは、贔屓目で言ってもせいぜいジャック1枚程度である。この大富豪はなかなか革命が起きない。もし革命が起きて、私の手札が強くなるとすれば、それは平安時代以来だと思う。

私は所謂たぬき顔である。自分で言うのも何だが、穏やかな顔をしている。まあ平安フェイスで勝気な顔が思い浮かぶなら教えてほしい。それが災いしてか、私から去っていく人間の常套句は、"思っていた性格と違った"が一等賞。たぬきが歯を剥き出しにしてきたら、きつねが歯をだすよりギョッとする。

でも、私は私の性格だって好ましく思っている。見た目通りの性格と言われるより、ずっと味がある。勿論ダメなところも沢山ある。思い出したくない過去も沢山ある。でも、より良くなろうと思っている自分のことは好きだ。

自分の顔と性格、どっちが好きかと言われるとギリギリ顔だ。いい顔した写真があれば、それを何度も眺める。悲しいことがあったとき、会社のトイレでしょぼくれながら写真をみて、自分を元気付けたこともある。大丈夫、わたし可愛いから大丈夫。おまじないみたいに何度も何度も見返して、その効力が薄れてくるとまた良さげなところにお洒落して撮りにいく。復活のタイミングを他人に委ねないところも好きだ。

私は私の顔を好きだが、先に言った通りいかんせん手札が悪い。しかしながら、稀にこの顔を気に入ってくれる人も現れる。だが、とても難しいことに、この顔を気に入って私を好きになってくれた人程、あっさり手のひらを返して私を切り離したりする。例外はあれど、仲良くなる速度と切り離される速度は比例していることが割とある。顔で判断したりされたりする頻度は極めて高いのに、その判断の精度は甚だ疑問が残る。

私は、親だろうと親友だろうと、絶対なんて無いと思っている。だから、私だけは絶対に、何があっても、私を好きでいてあげたいと思う。この世が大富豪かと思ってたら7並べだったということもある。大富豪じゃ2は最強カードだけど、7並べではそうでもない。世の中の価値観なんてそんなもんだと信じるしかない。

私は私の顔が好きだが、でもやっぱり世間一般の美にも憧れちゃうから、今日も流行りのパックをして化粧の研究に励むのである。あーあ、急に一重の大ブームこないかな。一重かわいいじゃん!とか言ってくる二重のやつ潰してくんないかな。二重が一重に整形する時代がきますように。あーあ、やっぱり平安時代にタイムスリップかなあ。