雛人形を買ったよ

最愛の娘の初節句が訪れる。3月、雛祭りだ。

「小さなマンション暮らしだし、雛人形なんて要らないよ、置く場所ないし。雑貨屋かどっかでおしゃれで小さな飾りを買うよ、その方が今時だよ。あの文化は廃れるよ。今の時代にあってない。」

初めはそう思っていた。雛人形は高い。人形って、念とかありそうで、生半可な気持ちで買っちゃいけない気がする。気安く捨てれないし。

そう思っていた私だが、結論から言うと購入しました。そこに至るには色んな考えや感情があったのだけれど、今は購入したことを本当に嬉しく思っています。早く飾りたい。楽しみすぎる。

私の死んだ祖母は、子供の頃横浜のお嬢様をしていたらしい。ばあやもいたらしい。それはそれは立派な雛人形を持っていたのだけれど、戦争で米軍がくるって分かった時、雛人形は米兵に持っていかれてしまうので、祖母の母は、どうせ失うならと雛人形とそのお道具たちをおままごと道具にしたそうな。立派な道具で遊べた祖母達は喜んだし、案の定全て土足の米兵に持っていかれた。結局祖母の父が死んだこともあって、全て失った祖母達は横浜から田舎へ引っ越した。

という話をふと思い出した。祖母が失った雛人形。それが影響したのかは知らないが、祖母は母に、豪華な雛人形を買ったらしい。お金が有り余ってたわけじゃないのに。そういうことからなんとなく、祖母の雛人形に対する並々ならぬ気持ちに思いを馳せてみたりした。大事だったんだろうなあ、自分のお雛様とられて、寂しかったんだろうなあ。

私は、亡き祖母が好きだったので、ひ孫に会ってほしかったなあと思う。あと5年長生きしててよ〜、と今でも思う。ばあちゃんが好きだった(多分)雛人形を、わたしも娘の為に毎年飾りたいと思った。

私が買ったのは、立ち雛だ。スタイリッシュでとてもかっこいいのだ。

仏様は、すぐに困った人を助けられる様に、少し右足?が前に出てると聞いたことがある。うちの雛人形にも、娘が困った時すぐに助けてほしいから、立ち姿でいてもらうことにした。娘の人生に幸多からんことを。人生であなたを助けてくれる人が、たくさんたくさん現れます様に。