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上勝の農泊施設5/椎茸小屋をホテルに改修 真剣にゴミで建築をつくってみる


徳島杉のプレカット端材の隙間から鯉のぼりが顔をのぞかせる

空間に宿る命

今回の計画では、手に入る古着や端材の状況を十分に調べて設計したつもりでした。でも、近所の方から綺麗な帯や昔の鯉のぼりを頂いたり、新たな端材が貰えたり、想定外のことが沢山あって、結局手探りで現場を進めていいくことになりました。

もちろん、現場で変更のない設計図を作る重要さは理解しているつもりです。しかし、もらった着物や端材を捨てる勇気は無かったし、現場からでてくる楽しいアイデアはどんどん生かしていきたいと思いました。

きれいな着物はそのまま仕上材に
職人さんがいつの間にか仕込んでたぬいぐるみ
目の前にすだち畑の景色が広がる


壁に空いた穴から断熱材の鯉のぼりが現れる
端材を積み上げてあそぶこどもたち

このように進んだのは、単なる幸運ではなく、この町の価値観に依る気がしています。

茶摘みの時期は皆一斉に出払うので、当然大工もいなくなり工事は止まります。冬に急勾配の道が凍結すれば、やっぱり工事が止まります。

予定通りに行かないことだらけですが、いい加減に生きているのではなく、日々移り変わる自然環境に向かい合い真剣に生きているんです。

あらゆる物事をシミュレーションし、最善を検証することが設計の重要な要素の一つと考えていましたが、この町では、もっと地に足をつけて物事を考えた方が良いと感じることになりました。人間が、あらゆるものをコントロールできると考えている方が傲慢かもしれません。地鎮祭で、土地の神様に赦しを請うように、本来日本人は、取り巻く環境に対し、あらゆる神を想像し対話してきた歴史があります。

こいのぼりは丁寧に2枚下ろしに

大正時代の鯉のぼりの金太郎に鋏を入れる際に、誰が言い出すこともなく皆で「畏れ」を抱き、そういう素材は積極的に生かす空間を考えていきました。


長々と呼んでいただいてありがとうございます!もうすこしつづきます


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