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海外未経験の19歳が、6週間異国の地スリランカで13の家をホームステイして回った話

こないだ家で一人蒙古タンメンを食べていたら、辛すぎて涙が出てきて、とても驚きました。
というのも、約一年前にスリランカで6週間、現地の激辛グルメを食べ続けたおかげで、辛さへの耐性はついていると過信していたからです。
日本の辛さなんて敵ではないと思っていました笑。
ところが辛さ耐性も時間がたつほどに薄まっていくようで、こないだは蒙古タンメンをひいひい言いながら食べる羽目になりました。

これが僕がスリランカの6週間での経験と、肌で感じたことを文字として残しておこうと思い立ったきっかけです。
もしかしたら、自分を大きく揺さぶった6週間も、辛さ耐性のようにいつか忘れ去ってしまうかもしれないなあと思いました。

せっかく一年前の経験を言語化するなら、同じような想いを抱えている人にも見てもらいたいということで、初noteに挑戦することにしました。
読みにくい箇所も沢山あると思いますが、ご容赦頂ければ幸いです。

僕は、一年前の19歳の夏に、スリランカで日本語教師として、生徒の家をホームステイしながら6週間を過ごしました。

なぜスリランカに行くことになったのか、また、6週間、異国に身を置く中で感じたこと、学んだこと、そして6週間を通して将来どのように生きていこうと思っているかを備忘録を兼ねてこのnoteでお伝えしていきます。
長くなってしまいましたが、ぜひ最後まで目を通していただければ嬉しいです。


なぜ一人でスリランカに行くことになったのか

まず、皆さんが気になっているであろう、なぜ一人でスリランカに行くことになったのかについてお話しします。

僕は、人口1700人の、いわゆるド田舎で生まれました。
ちなみにテレビ番組の「ポツンと一軒家」に親近感を覚えるくらい田舎です笑。
最寄りのコンビニは家から3キロで、最寄り駅までは10キロあります。小学校の同級生は15人で、そのうち大学進学者はたった3人です。

自宅の上の衛星写真

大人はみんな農家か終身雇用で何かしら手に職があり、ご近所さんとの距離も近いのでご近所トラブルなどもなく、良くも悪くものんびりとした環境で育ちました。

そんな僕にとって、唯一の世界を知る手段が、毎日祖父が見ていたNHKニュースでした。
「どうやら腹が減って死ぬ子供がいるらしい」
「親が子供を殺すことがあるらしい」
などなど、見れば見るほど、この世界はなんて複雑で不平等なんだろうと思うようになりました。

転記が訪れたのは高校の国語の授業で「ハゲワシと少女」という写真を見たことです。(とても有名な作品なので興味のある方はぜひ調べてみて下さい)
その写真では、地面に一人でうずくまっている1歳くらいの少女の後ろで、ハゲワシが今にも襲い掛かろうとしていました。
これを見た僕は、
「ああ、これはヤバいな」
と思いました。
「逆だろ逆!人間が動物から食われる時代はもう終わっただろ!」
と授業中に動揺していたのを覚えています。
これを起点に、部活や勉強の合間に世界の貧困問題についてネットで調べたり、本を読んだりし始めました。

そんなこんなで大学に入学し、某NPOに入会しました。
自分と同じような想いを持っている同世代がいることがとてもうれしくて、色んな人と色んな社会問題について語り合いました。

でも、社会問題について話しているだけの自分に対し、だんだん本当にこれでいいのか?と思うようになりました。
「アフリカの人たち」「恵まれない子供たち」って誰?一人でも名前知ってるの?
「貧困問題を解決する」ってどういうこと?何がどうなれば解決するの?
みたいな問いが頭の中でヘビーローテーションしていました。

そんな中、ある友人がインドに渡航し、現地のNGOで活動した話を聞き、
とりあえず現地に行って、なんでもいいから手足動かしてやってみるしかないんじゃないのか
と思うようになりました。
行ったら何が変わるかわからないけど、今行かないと絶対いつか後悔するだろうなと思って、友人の支えもあり、挑戦してみることにしました。
そこで、AIESECのGlobal Volunteerというプログラムを利用してスリランカに6週間滞在することになりました。

スリランカでやったこと

スリランカには、2023年の8月から9月まで6週間滞在しました。
日本語教師として生徒の家をホームステイしながら、色々な都市で教鞭をとりました。
日中は教師として出稼ぎに行くために日本語を勉強している生徒に基本的な文法や会話の授業を行い、放課後は友達として、同世代の若者と同じ時間を過ごしました。

吸収できるものを全て吸収しようと、とにかく誘われたもの全部に「Yes」と言い続けたところ、社会人向けのスクールを含め9つの学校を訪れ、13軒の家でホームステイすることがきました。

一年たった今振り返ってみても、ものすごく充実して学びに溢れた6週間でした。
同時にものすごく体力を消耗しましたが笑。

話す言葉、食べるもの、食べ方、寝る時間、起きる時間、信仰、家族観などありとあらゆるものが日本とは違い、海外未経験の僕にとっては、とても新鮮でした。
特に、色んな家でホームステイさせてもらえたのが本当に幸運でした。

ある日の昼食
食事は基本ジャワカレーの5倍くらい辛いカレーを食べます(頑張れば慣れます笑)

このスリランカ滞在を経て僕が学んだことは大きく4つあります。

  1. 格差があること

  2. 笑顔は美しいこと

  3. 自分はまだまだなこと

  4. 前を向くのはカッコいいこと

言葉にしてみるとものすごく単純ですが、五感をフルに使って学んだことなので、僕にとってはものすごく意味のある言葉達です。
この4つについて今から書いていきます。

1.格差があること

「何当たり前のこと言ってるんだ。」と思うかもしれませんが、僕にとっては人から聞いたのと自分で体験したのとではまるで違って、改めて衝撃を受けました。

9時間のフライトを終えようやくスリランカに到着し、ヘトヘトで家にたどり着いて浴びたシャワーが一向に温かくならず、冷水しか出ないことに気づいたときに、「あ、これが格差か」、と思いました。

僕の経験ではお湯が出る家庭は2割ほどで、残りは冷水だけしか出ませんでした。
さらに、中には石鹸がない家庭やシャワーが野外にある家庭など、いろいろありました。

スリランカの人たちに対して「可哀そう」と思ってほしいわけではないのですが、現実ってこんな感じなのかというのを知ってほしいのでいくつか自分が経験した例を書いておきます。(これらは全て自分が会った人たちです)

  • なんで昼ご飯を食べないの?と聞くと、お金がないからと返してきた子

  • ショッピングモールに行くことが趣味の子(彼はお金がないのでショッピングモールで何かを買うことはありません)

  • 皮膚が弱く本当は病院に行きたいけどお金がないからいけない子

  • 朝3時に起きて暗い中一人で通学する子(僕と一緒に通学した日に、彼は前日の午後23時まで家業の手伝いをしていたそうです)

  • 国の経済破綻が理由で職を失った人

  • 歩くのもままらないのに物乞いをする老人


二軒目にホームステイさせてもらった家の子。
彼の家も決して豊かではなく、貧困と隣り合わせの生活を送っています。

もちろん、全ての途上国が西洋式の生活様式になることが望ましいと思っているわけではないし、それぞれの国によって理想は異なると思います。
ただ、そういう次元にない、つまり理想とか多様性とかいう以前の最低限の生活水準が整っていない家庭があるのが残念ながら今のスリランカの現状だと思います。

2.笑顔は美しいこと

二つ目の学びは「笑顔は美しいこと」です。

これまた至極当たり前のように思われるかもしれませんが、最初の学びで書いたとおり、「格差があること」を肌で感じた僕にとって、彼らと笑いあう時間は格差の存在を忘れさせてしまうほど輝いていました。

前の章で、スリランカの人を可哀そうだとはあまり思ってほしくないと書きましたが、それは、決して彼らは何も毎日悲しい顔をして暮らしているわけではないということを強調したかったからです。

渡航前は、僕も「途上国の可哀そうな人々」という一括りで捉えてしまっている節がありました。
ただ実際彼らとあって生活を共にすると、当たり前ですが、そこには感情の起伏があって、楽しい日とつまらない日があるんだなということを実感しました。
確かに格差は存在するけど、今を生きる一人一人のドラマがあって、決して「可哀そうな人達」と単純化できないなと思うようになりました。


この写真は一軒目にホームステイした家で稲刈りをした日の写真です。
いつもは乗らない機械に乗れて、子供たちはとても楽しそうでした。

この写真は4軒目にホームステイした家族の写真です。
お父さんは前日夜勤で身体は疲れ切っているのにもかかわらず、6時間車を運転して子供たちを海に連れてきてあげて、自分も全力で楽しんでいました。

この6週間で色んな人と話していろんな人と笑いあいましたが、笑顔は万国共通で素敵なものだなと改めて思いました。

3.自分はまだまだなこと

上げて落とすような書き方で非常に恐縮ですが、様々な社会課題を前にして、自分の無力さを痛感させられた6週間でもありました。

正確に言うと、「無力」ではなく「微力」なんだなと思い知らされました。
僕は日本語教師として授業や面接指導をやっていて、少なからず誰かのためになった気はします。
実際に、繰り返し面接指導した生徒10名以上が日本にある日本語学校の入学試験を通過することができ、今年の4月についに日本の地を踏み、再会を果たしました。

念願の日本にやってきた生徒たち

ただ、僕がやったのはあくまでコミュニケーションに過ぎないなと思いました。
僕が日本に帰ったら僕の貢献はそこで終了し、その後は何も影響も与えられません
僕の体ありきだし、一気に100人200人に影響を与えることはできません。

それと比べて、僕がスリランカで出会った大人たちは一気に1000人2000人に影響を与えるようなすごい人ばかりでした。
例えば、

  • 貧しい母親が少しずつお金を出し合って、子供に教育投資する仕組みを作り上げスリランカ全土に広げた人

  • 環境アセスメントのスペシャリストとしてスリランカ政府で活動する人

  • マングローブの減少に歯止めをかけるために、国際機関と交渉し融資を勝ち取った人

  • 日本から一人でスリランカに移住し、オーガニック食品の販売やろう者を雇用するマッサージ院を開設した人

こんな人達の活動を傍で見る中で、僕もいつかは彼らみたいに自分なりの「武器」をもって社会の課題に挑める人になりたいと強く思いました。

4.前を向くのはカッコいいこと

最後の学びは、前を向くのはカッコいいことです。

これは、渡航期間中ずっとサポートしてくれたLasithaという男性を見て思ったことです。

Lasithaの後ろ姿


彼は、貧しい子供時代を過ごしたそうです。
自転車で遠く離れた町の野菜を買いに行き、それを地元で売った差額で家計の足しにしていたりと、大変な子供時代だったと彼は言います。
そんな彼は幸運なことに学校から援助をもらう形で大学まで通うことができました。
大学で勉強する中で、彼は「スリランカの貧困をなくそう」と決意したそうです。

それから彼は、日本語学校を開設し、家庭の所得に応じて柔軟に講習料を変更することで、貧しい家庭の子供にも日本に来て働くチャンスを与えました。
また、環境NGOに所属し地域の病院などの省エネ化を推進したり、学校の評議員として活動したり、先にも述べた通り貧しい女性の子供のための銀行を設立したりしました。
その傍らで農家として米を生産したり、三人の子供のパパとして学校に送り迎えをしたりしています。

複数の肩書をかけ持ちしている彼はとても忙しく、常に誰かと話していて休む暇もありません。しかし、彼と長い間一緒の時間を過ごしましたが、彼が文句を言うのを聞いたことはただの一度もありません。
それどころか、「日本は最近ホームレスが多いと聞いたが大丈夫か。」と日本の心配さえする始末です。
彼は日本でも日本語学校を開設して低料金でサービスを提供する計画を立てているそうです。

このような溢れんばかりのエネルギーとガッツ、実行力に加え、決して自身やスリランカを悲観せず、常に前だけを見ている姿勢が、ついつい格差を悲観的に捉えてしまう自分にとってすごく新鮮で勇気づけられました。

つらい現状から目を背けるのではなく、しっかり向き合ったうえで、それでも前向きにアクションを起こし続けることが大事だと実感しました。

なにより、めげずに前を向き続けるのって物凄くカッコいいということを学びました。

まとめ

  1. 格差があること

  2. 笑顔は美しいこと

  3. 自分はまだまだなこと

  4. 前を向くのはカッコいいこと

この4つが6週間のスリランカ滞在で学んだことです。
それぞれ全く難しいことでもなく、あたりまえっちゃ全部当たり前のことです。

ただ、これを文字ではなく経験として学んだことは自分にとってものすごく意味のあることだなと思います。
パスポート取得から独特なスリランカ英語との格闘など大変なことは山のようにありましたが、それを大きく上回るくらい、学ぶことはたくさんありました!

今後どうするのか

最後に、このスリランカでの6週間を経て僕が今後どうするのかを少し書きます。

結論から先に言うと、悩みに悩んでまだ全然決め切れてないです笑。

社会の奥深い課題に対してアクションを起こし、変化を及ぼせるような人になりたいと思いつつ、じゃあそれは具体的に何をするのかはまだ検討中です。

思考整理のために手帳に書いたメモ

雑なメモにも書いていますが、「どの立場で解決するのか」「どの社会課題を解決するのか」「どの手段(武器)で解決するのか」など、自分の中で決め切れないものが沢山あります。
大学院で開発学を学ぶ選択肢もありかなと思ったり、ベンチャーに飛び込んでもまれながら自分の武器を確立するのもありかなと思ったりしています。

今後色々な人と話して、色んな機会に参加する中で決めていくつもりです。

ただ、いずれにせよ、スリランカでの6週間で感じたこと、学んだことは決して忘れたくないと思うし、忘れることもないと思います。

いつかもう一度、今度は確固たる「武器」と、背中を預けられる「仲間」とともに、もう一度スリランカに行きスリランカの社会課題を解決することが、今のところ、自分の人生で一番見てみたい景色です。

どうやるかは今後の人生の中で頑張って考えます!

最後に

こんなクソ長いnoteにお付き合いいただきありがとうございました。
いいなと思った方はスキを押していただけると励みになります!

また気が向けば続編もnoteで書こうかなと思います!
読んでいただきありがとうございました!

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