ゲームチェンジの時代 加藤守和著「『日本版ジョブ型』時代のキャリア戦略 38歳までに身につけたい働き方のかたち」

今年も会社で年間目標を立てる時期が来た。そのアナウンスとともに上司からオススメされたのが本書。典型的な日本企業であった
弊社も世間の流れに沿って、終身雇用・年功序列型の旧来の人事体系から、成果主義色の濃いジョブ型の人事体系へ変化しようとしている。そうした中で、上司としてはジョブ型とはなんぞや?を伝えるためにオススメしたのだろうが、あと半年足らずで39歳になる私にとっては胸に刺さるタイトルであり、読むことにした。

要旨を一言で言えば、「自分のキャリアに意志と覚悟を持て」ということに尽きる。終身雇用・年功序列型の人事体系は、一定の年齢になると一定の地位まで出世をし、一定の報酬を得られる、多くの方にとって安心感があり、将来設計を立てやすい、居心地のいい制度だった。日本企業が製造業で世界を席巻した時代は、均一の品質の製品を大量に作ることが圧倒的な強みだった。その中では、決められたことを決められた通りにやる人材が重宝され、自分の意志で何かをすることを会社側は求めていなかった。それが時代に合っていたのだろう。しかし、時代が変わり、その進め方では立ち行かなくなってきたので、人事のあり方も、経営陣・社員の考え方も変革を迫られている。まさに“ゲームチェンジ”の時代であり、見方によっては大変な時代だ。

だが、だからこそ意志を持って自分のキャリアを築く方には大いなる未来が待っている。自己研鑽を重ねて“ジョブ”のプロになり、それを周りにもアピールして認められ、将来の自分のありたい姿から逆算して機会を掴みにいく(経験資産を蓄積する)。「この部署からいつ異動になるのかな」「10年後何しているだろう」「この仕事は苦手だな」など、ビジネスパーソンの多くが日々色んなことをぼんやり考えているだろう。しかし、日々の忙しさにかまけて、深く考えるのをやめてしまう。そこから脱却し、しっかり意志を持って考えるだけで、その他大勢の他者と差別化を図ることができる。“ゲームチェンジ”を理解し、マインドを変えることができたビジネスパーソンには、悪い話ではない。時代の変化に直面し、漠然とした心配を抱えているビジネスパーソンにオススメの一冊。

さて、タイトルの38歳というのは、大学を出てから丸15年くらいキャリアを重ねた方を念頭に置いているのだろう。それまでにしっかり仕事に取り組み、“基礎体力”を身に着け、その上で38歳にもなれば意志を持ったキャリア形成をしなさいということと理解した。38歳超、未満の方にも有用だ。

翻って38歳の私について。これまでのキャリアを振り返ると、できる限りのチャレンジをしてきたかなという気がする。それは適度に厳しく、時に温かく、適時にチャレンジングな課題を与えてくれた上司に恵まれていたからだと思う。そんな上司の顔が何人も頭に浮かぶ。パワハラという言葉が横行し、適切な指導すらリスクヘッジのために避けがちな昨今だが、部下のために適切な指導は恐れずにやっていきたい。もしかすると、昔は結果さえ追えば良く、“部下のために”という観点は不要だったのかもしれない。とすると、過去と比べて一工程増えるのかもしれないが、それも一つの“ゲームチェンジ”なのだろう。

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