幸せな長寿大国に 映画「老後の資金がありません!」

世界一の長寿大国である我が国。本来それは喜ばしいことだ。しかし、いつまで生きるかわからないために、老後の資金がどれだけ必要かわからず、長生きがリスク化しつつある。正に不都合な現実である。

老後を迎える前に仕事は岐路を迎え、親の介護、子どもの就職、結婚などのビッグイベントが重なり、青写真通りに貯蓄ができない。こんな人は多いだろうが、考えても解決策が見えないから、考えるのもやめず、ずるずる老後へ向かってしまう。

本作はそんな日本の苦悩する中高年の姿を描いた映画である。暗いテーマであるものの、コメディータッチで何が大切かを描いており、何より主演の天海祐希さんが魅力的であるため、見終わったあとにちょっぴり明日に希望が持てる作品。

何歳まで生きて、生涯にいくら支出するかなどは誰にも分からない。贅沢しようと思えばいくらあっても足りないし、それを基準にするといくら貯金しても安心はできない。そうした発想自体、本来人生を豊かに過ごすための手段に過ぎないはずのお金が、人生の目的化しているのではないか。そんなことを改めて考えるきっかけとなった。老後に不安を感じている方にとっては一見の価値ありである。

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