青子 🦢

古風が好き。 instagram @__sospiro

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ダイアン・クライスコレクション / アンティーク・レース展

ベルギーの首都ブリュッセルから電車に1時間ほど乗った先にブルージュという街がある。そこは至る所でスワンを見かけ、レース産業が盛んな街。母から「ちょこっと飾れるようなレースを買ってきてね」と言付かり、気に入ったものを見つけて買ったのだが、ベルギーを出国する頃には既に無くしていたという話を思い出しながら今回の展示会へ。 かつてヨーロッパの王侯貴族たちの間で富と権力の象徴として流行したレース。時には城や宝石をしのぐほどの価値があったそうです。 ウェブサイトで予習していたけれどやは

    • ウィリアム・モリス / デザインの軌跡

      「役に立たないものや、美しくないものは、家に置いてはならない」 ウィリアム・モリス展デザインの軌跡を観に、アサヒビール大山崎山荘美術館へ。モリスの作品はさることながら、期待以上の大山崎山荘。館内は一部を除いて写真を撮ること出来ないのが残念極まりない。 . 19世紀のイギリス、機械技術の発達により起こった産業革命と共に、中世から受け継がれてきた手工業は失われていきました。そんな大量生産により、安価で粗悪な品が世に出回るようになりますが、モリスはその中で中世からの手工業を取り戻

      • ジョルジュ・ブラック展 / 絵画から立体への変容 メタモルフォーシス

        本当は行くつもりのなかったジョルジュブラック展ですが、ビュールレ展でのブラックの《 ヴァイオリニスト 》を目にした瞬間「やっぱり行こう」と決意し、会期終了間際に行って参りました。 当該HPの紹介文をそのままペーストすると “20世紀初頭、ピカソとともに、対象物の立体的な全容を平面上に表現するために分割と再構成という手法で革新をもたらした重要な画家” 「メタモルフォーシス」とはギリシャ語で「変形・変身」の意。様々な人や動物に姿を変えるギリシャ神話の神々と、平面から立体へ変形

        • プーシキン美術館展 / 旅するフランス風景画

          水谷豊さんが音声ガイドを務められるなんて聞かない以外の選択肢はありませんよね。ということで行って参りましたプーシキン美術館展旅するフランス風景画。フランスはひとりでも家族とも友人とも訪れて、残るは未知なる旦那枠のみという(なんたる野心)何度訪れても永遠に憧れの地で、多くの芸術家達が虜になった理由もわかるなんて言ったら上から目線になっちゃうけれど。フランス絵画にフランス音楽、フランスの地で生まれた芸術は洗練されていて美しい。プーシキン美術館はロシアはモスクワに位置し、2018年

        ダイアン・クライスコレクション / アンティーク・レース展

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        • 私と旅と
          0本
        • 私と芸術と
          12本
        • 私と日々と
          0本

        記事

          君の名前で僕を呼んで

          ただただ全てが美しかった。柔らかい木漏れ日、水面に反射する陽の光、木々や草花は生い茂り、瑞々しい果実をもぎ取る綺麗な手、それらは純度の高い愛の芽生えを象徴しているかのようで気分を高揚させるが、終いには暖炉の灯の静けさが胸が張り裂けそうになるほど切なくさせ、背景描写までもがまるで1つの曲のよう。儚さの中に宿る美しさ、瞬きする瞬間ですら惜しいのです。 舞台は北イタリアのどこか。たった6週間のひと夏の恋。人が恋をする瞬間が繊細に丁寧に描かれていました。「どの彫像も曲線を描いてる。

          君の名前で僕を呼んで

          プラド美術館展 / ベラスケスと絵画の栄光

          音声ガイドの及川光博さんの声に導かれながら、楽しく回りましたプラド美術館展。 . スペインの画家と言えばダリやピカソが挙げられますが、国民的画家と言えばディエゴ・ベラスケスの他には存在しません。その重要性から彼の作品の貸出を厳しく制限されている中、今回はそのうちの大作7点が持ち出されている大変貴重な機会でした。 被写体となるモデルが如何なる社会的身分であれど個々の個性と向き合い人間性までをも描いた画家の中の画家。また彼の技法は印象派の先駆けと言われてるのですが、丹念に忠実に描

          プラド美術館展 / ベラスケスと絵画の栄光

          ルドン / 秘密の花園

          初めて訪れた三菱一号館美術館は木々や花々に囲まれた赤レンガの建物、三菱が1894年に建設した「三菱一号館」(ジョサイア・コンドル設計)を復元したものだそうです。 . 「夢の中へ 花の中へ」このキャッチコピーに惹かれて足を踏み入れたルドン展、気付けば彼の独特な世界観に魅了されていました。自然観察を大切にし、その上に彼独自の想像を埋め込み、存在しそうで存在しない世界を生み出す豊かな表現力。ロベール・ド・ドムシー男爵の城館の食堂装飾をもルドンは手がけております。その壁画が数枚展示さ

          ルドン / 秘密の花園

          生誕60周年記念 / くまのパディントン展

          癒された🇬🇧🚂🐻❤️ 心が洗われました。これは一人で行くより誰か大切な人と一緒に行った方がいい。出来れば一緒に懐かしさを共有出来る人と。私は妹と訪れました。その中でも2人で共感し合った言葉「二人で考えれば、問題は半分だよ」このほっこりした気持ち、より多くの人にも味わってほしい....! 4コマ漫画がズラリと紹介されてるスペースが一番好きでした。笑みが思わずこぼれてしまうあの感じ。またパディントンは数名のイラストレーターにより描かれ、魂を与えられてきました。その比較が面白かっ

          生誕60周年記念 / くまのパディントン展

          至上の印象派展 / ビュールレ・コレクション

          待ちに待ちすぎましたビュールレ・コレクション。スイスの大実業家エミール・ゲオルク・ビュールレ氏が生涯をかけてコレクトした絵画のうち64点が展示されてありました。うち半数が日本初公開。2020年には全てのコレクションがチューリッヒ美術館に移管されるとのことで、これほど多くの作品が国外で公開されるのはこれが最後という大変貴重な機会でした。もう思っていた以上に素晴らしい展示会。 コレクション全体を通して感じたのはビュールレ氏は美術作品に対してかなりの審美眼を持っていたということ。

          至上の印象派展 / ビュールレ・コレクション

          サラ・ムーン写真展 / D'un jour à l'autre 巡りゆく日々

          何の情報も持たず訪れたサラ・ムーン写真展。儚い絵画のような静寂を保った空間に、言葉は必要ありませんでした。 現代を代表する写真家の一人で、映像作家でもあるフランスの写真家サラ・ムーン。彼女自身、元々モデルであったこともあり、女性の色気が姿を現す一瞬を見事にカメラに収めている 『Femme Voilée - ヴェールの女』や 『Anonyme - アノニマス』が印象的。 被写体の女性達は皆揃って「時は過ぎ去るものよ」なんて言わんばかりの郷愁

          サラ・ムーン写真展 / D'un jour à l'autre 巡りゆく日々

          フランク・ホーヴァット写真展 / Un moment d'une femme

          CHANEL NEXUS HALLで開催されたフランク・ホーヴァット写真展。彼ははイタリアはオパティヤ出身(現クロアチア)の写真家。写真を撮り始めた当初は報道系の写真を撮り、次第に VOGUE や HARPER'S BAZAAR 等、メジャーなファッション誌のカメラマンとして活動されていました。その為かファッション誌のモデルを撮っているはずなのにどこかドキュメント性を感じさせるものがあります。(オパティヤに3日程滞在したことがあるので少し親近感が湧きました)   ホーヴァッ

          フランク・ホーヴァット写真展 / Un moment d'une femme

          マドモワゼル・シャネルの肖像

          もしかしたら大半の生き物に帰巣性が備わっているのではなかろうかと思えてならない今日この頃です。   私自身が今までに少しばかり美術館に足を運び、その限られた中で素晴らしい絵画を、この目にこの胸に収めてきたけれども「一番好きな作品」について考えた時、これだ!と思い浮かぶものがない。ウフィツィ美術館で見たボッティチェリ の『春』と『ヴィーナスの誕生』は文字通り神秘的な作品だった。フェルメールの『真珠の耳飾りの少女』は小さな作品にも関わらず圧倒的な存在感を放っていたし、あの少女の

          マドモワゼル・シャネルの肖像