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至上の印象派展 / ビュールレ・コレクション

待ちに待ちすぎましたビュールレ・コレクション。スイスの大実業家エミール・ゲオルク・ビュールレ氏が生涯をかけてコレクトした絵画のうち64点が展示されてありました。うち半数が日本初公開。2020年には全てのコレクションがチューリッヒ美術館に移管されるとのことで、これほど多くの作品が国外で公開されるのはこれが最後という大変貴重な機会でした。もう思っていた以上に素晴らしい展示会。

コレクション全体を通して感じたのはビュールレ氏は美術作品に対してかなりの審美眼を持っていたということ。例えば写真のモネの【睡蓮の池緑の反映】当時モネの睡蓮は壁画で装飾芸術とみなされていたことから(装飾芸術は西洋絵画の中で低い位置にいました)破格な安さで売られていた時にビュールレ氏が購入し、その数年後に人気が出たしたのだとか。そして、今展示会のメインでもあるルノワールの【イレーヌ嬢】他のルノワールの作品と比べても丹精込めて描かれたように感じました。ドレスや髪飾り、腕は大まかに描かれているのに対し、髪の毛は一本一本流れるような筆遣いで、緻密に描かれた透き通るような肌。そして魂さえ感じる少女の眼球。そのコントラストがルノワールがイレーヌに如何に特別な何かを純粋に抱き、描いていたのではないかと伺える作品です。残念ながら勝手な妄想に過ぎず、当時ルノワールは何を感じてこの作品を作成したのか直接伺えたらなんて妄想は膨らむばかり。

一通り見終わって、この作品はビュールレ邸宅のどこに飾られていたのだろう。ビュールレ氏は寝る前に必ず見つめていた作品はあったのだろうか。ヨーロッパの風景画なんてどこに飾っていたの?と、無限に思いを馳せておりました。ちなみにビュールレ邸の正面玄関に飾られていたのはドガの【ピアノの前のカミュ夫人】こんな女性が飾られていたら、朝から晩まで釘付けで出勤できません。

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