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図解 人材マネジメント入門

本の概要 

【何が学べるのか?】

サブタイトルが【人事の基礎をゼロからおさえておきたいヒトのための「理論と実践」100のツボ】ですので、そのタイトル通り人材マネジメントの基礎から実践までを分かりやすい図解を参考に学ぶことができました。
以下、本の内容について、私自身が学んだことを記録する目的でnoteを使用していますが、人材マネジメントを基礎から学んでいるという方にとっては、本の要約という意味で、読み進めて頂く価値があると思います。

【著者について】
坪谷 邦夫さんという方です。IT系事業会社で人事。リクルートで人事コンサル。ベンチャー企業で人事企画を経験後、起業といったご経歴です。
https://www.hmv.co.jp/artist_%E5%9D%AA%E8%B0%B7%E9%82%A6%E7%94%9F_000000000838701/biography/

【なぜ、読んだのか?】
人材マネジメントを体系的に理解したいと思ったからです。採用や評価、コーチングなど各論がどういうものであるかについては、ある程度理解できるものの、それぞれがどのように体系的に結びついており、人材マネジメントとして成立するのかを理解したいと思っていました。その上で、自分が興味のある分野がどこなのかを見つけたいとも思っていました。本書は各分野の個別の解説にのみならず、それぞれがどのように結びついているのかを学べるような構成になっており、まさに自分が読みたい本でした。

【人材マネジメントとは?】
英語でHuman Resource Management(HRM)と表現されるように、人を代替可能な「コスト」ではなく投資する対象の「資源」と見なして、ヒトを生かし短期・長期の組織パフォーマンスをあげることだと定義されています。1960年代に米国で、ヒトを管理する対象としてではなく、投資をして価値を出してもらう対象として捉え直したことが発祥だとされています。
最近ではHRMをHuman Capital Management(HCM)と表現している会社も増えてきている印象ですが、カゴメのCHOである有沢様曰く、その定義の違いはヒトをCapitalとして捉える。つまり、財務諸表のBSで左側にあるEquityとして捉えているので、ヒトそのものが価値であるという考え方に対して、HRM(ヒトをResourceとして捉える)はBSの左側のアセットとして捉えているため、ヒトは価値を生み出すための資源だという考え方である。と仰っていました。(6月10日 Bizreachセミナーにて)
本書では、ヒトに投資する事によって組織のパフォーマンスをあげる事が人材マネジメントであると説明しているので、HRM的な考え方であると捉える事ができますね。

【6つの要素とは?】
本書によると人材マネジメントは、下記のように6つの要素が、有機的に結びついて人材マネジメントが機能していると説いています。「評価」「等級」「報酬」「リソースフロー」「人材開発」「組織開発」の6要素です。
各要素のポイントを次章からまとめています。

人材マネジメントの構成 体系図

 評価

上記の図を見ても分かるように評価の要素は多くの他の要素と結合していることもあり、人材マネジメントで欠かすことのできない要素となるでしょう。評価制度が良ければ、ヒトは活きる。その逆も然りと言えます。転職エージェントをしていると「自社の評価制度に不満があるので、転職を検討している。」という方に多く出会います。重要でありながらも、しっかりと運用していくのが難しい要素だと思っていました。

まず、そもそも、なぜ人事評価をするのでしょうか?それは「処遇による格差の根拠を明確にするため」です。組織で働いているヒトが全員処遇が同じである事はあり得ません。例え給与が同じでも働く場所や仕事内容、役割といった点で必ず違いは生まれます。よって、人事評価を基に個々に処遇を決める訳です。それでは人事評価によって目指すべきものとは何でしょうか?下記の3点だと述べられています。
・公平感のある処遇の分配➔報酬や等級に紐づく
・社員の活用と育成➔人材育成や異動/代謝に紐づく
・企業文化の醸成➔組織開発に紐づく

「公平感」というキーワードが出ました。公平感のある人事評価が目指すべき理想であると言いますが、公平感とは受け取る側の主観であるため、どんなに人事制度が精緻に作成されていても、被評価者が納得するとは限りません。公平感は大きく分けて2つあります。「分配の公平性」と「手続きの公平性」です。
分配の公平性:他者と比較して分け前が公平であるか?企業では資金もポジションも制限があるため、誰もが満足する分配の公平は実現困難である。
手続きの公平性:評価の内容と評価プロセスの透明性であれば手続きの公平性は実現可能です。

一次評価者の役割は?
「正しくみる事」が一次評価者の役割です。一次評価者はそのメンバーの評価に責任を持つ必要があります。被評価者の日々の仕事が見えている直属の上司が担うべきです。一人の評価者が適正な評価をできる最大の人数としては、7名程度だと言われています。また、人事評価とは究極的には「主観」に頼らざるを得ません。その前提の上で、評価のばらつきを最小限にとどめるために、一次評価者が集まり、「自社にとって価値のある行動や成果とは何か?」を考え続けて、主観を磨き続ける事が重要です。また、評価者と被評価者の間で信頼関係を築くことは公平感を感じてもらうためには重要な点です。

何をどうやって評価するのか?
評価の対象は「仕事の結果」「行動」「個人的特性」の3つです。それぞれの評価方法や反映先はざっくり概要をまとめると下記図のような仕組みです。

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 報酬


報酬とは何か?
報酬とは働くことによって得られる全てのものです。また、報酬は大きく「内的報酬」と「外的報酬」の二つに分ける事ができます。

内的報酬:仕事そのものから生まれる報酬。特徴は、あると満足する。
ex)やりがい、キャリア開発の喜び、人間関係から得られた社会的満足。
外的報酬:外から与えられる報酬。特徴は、無いと不満を抱く。そのため外的報酬の各人への分配は満足ではなく納得を目指すべきであると言います。 ex)賃金、昇格、昇進、社会的地位 


外的報酬で最も重要な「賃金」について
基本的には、基本給+手当+賞与という構成となっています。基本給の種類は下記の3点が主に挙げられます。

年功給:学歴、年齢、勤続年数に支払う。
職務給:現在遂行している仕事に支払う。
職能給:職務遂行能力に支払う。

賃金を考える上で重要なポイントは、「何に対して支払うか」を公明正大に示す必要があります。日本企業の多くは職能給を導入していますが、勤続年数が上がるにつれて、能力が上がるという考えで運用されており、実質は年功給のような運用となっていると言えます。外資系等でよく取り入れられている職務給は何に対して支払いをしているのか明確であり、不公平感が少ないような気がしますが、自由な人材配置や柔軟な育成といったメリットを失う事になります。

内的報酬で代表格の「働きがい」とは?
働きがいとは、仕事のやりがい+働きやすさです。仕事のやりがいとは、困難に手ごたえを感じながら前に進むことであり、働きやすさとは快適に働き続けられる就労条件や報酬条件などを指します。ちなみに、やりがいとは与えてもらうものではなく、自発的に前に進まない限り味わえないものだと言います。


等級

等級とは?
ヒトをランキング(序列)するものです。なぜ等級が必要なのでしょうか?企業の基準を明確にすることで、人材マネジメントに一貫性を持たせるために必要となります。
等級は報酬やリソースフロー(採用、異動、代謝)そして育成といった多くの要素が等級の影響を受けます。まさに人材マネジメントの骨格となります。何を基準に、どのように等級が決まるのか透明性があり、明確である且つ、組織のビジョンやミッションをベースにした等級が設定されている会社は人材マネジメントに一貫性を持たせることができるでしょう。

等級にはどのような種類があるのか?
大きく分けて2種類あり、「仕事」基準と「ヒト」基準があります。
ヒト基準の代表格は、年功と職能資格である。日本企業では、戦後の厳しい環境の中でも安定的に会社で働いてもらえるように年功制度が採用されてきました。しかし、会社に長くいる人が自動的に課長や部長になっていく制度は次第にポスト不足という問題を生み、これを解決するために日本企業は職能資格を導入して、昇進と昇格を分離しました。つまり、職能遂行能力が上がると等級が上がる(昇格する)が、ポストは変わらないといった制度が運用されるようになりました。但し、職能資格はあくまで社内基準であるため、外部市場との差が生まれ、「時価」で人材を獲得する時に整合が取れないというデメリットが最近出始めている企業を見る事が多くあります。専門職採用枠を設けて、職能資格と職務資格をダブルスタンダードで運用している会社も目にします。
仕事基準の代表格は職務等級と役割等級です。外資系企業は職務等級を導入している会社が比較的多い印象です。職務記述書(JD)に沿って採用は行われ、その職務で支払う賃金も決まっています。ヒトを差別していると言われるリスクを排除するために、徹底的に仕事しかみない仕組みとなってのでしょう。メリットとしては納得感の高い合理的な賃金設定が可能になりますが、一方でデメリットとしては責任範囲が限定されて、官僚的な組織になる弊害が指摘されます。そこで、そのようなデメリットを無くすために役割等級が注目されました。職務等級で細かく定義された職務の粒のうち、似ているものを括って箱にするイメージです。(下記図参照)仕事の限定が起きにくい。運用コストが低い。柔軟な運用ができるというメリットがある一方で、自社仕様にテイラーメイドしやすい分、役割等級を機能させるには明確な自社のコンセプト、思想が必要であり運用する事が難しいです。

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等級を考える上でのポイントは?
等級とは人材マネジメントのコンセプトを具現化したようなものですので、当然ながらコンセプトによって選択する等級は変わります。ヒトを生かして企業のパフォーマンスを最大にするために、何をランキングするべきなのか?企業のビジョン、ミッション、競争優位性、そのために必要な人材像、必要な人材を巡る労働市場、その人材の特性によって、コンセプト及び選択される等級は異なるはずです。
コンセプトを考えるためのヒントは会社が持つ価値観にありそうです。また、働く人が自分の意志で登りたくなるような階段(等級)を設計する事が求められるでしょう。


リソースフロー


リソースフローとは採用から異動、退職まで、企業における人材の流れです。どんな人が入社して、どこの場所で働いて、どう成長して、どうやって退職していくと最適なのかを考える事になります。

人員構成の考え方とは?
まずは理想の人員構成について考える必要があります。人材ポートフォリオを作成する事が重要です。人材ポートフォリオでは「組織への貢献の仕方」によって人材を複数のグループに分けます。戦略を達成するために必要な人材によって分類軸を選択して、マトリックスを作ります。各象限ごとに何人・何%必要なのか理想の人員構成を検討する事になります。
次に現状と理想のギャップを認識して、人員計画を立てる事になります。下記図のように人員計画が採用・異動・代謝それぞれの計画に反映されていきます。

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採用を効果的に進めるポイントは?
人員計画の策定->採用要件の定義->母集団の形成->選考->内定・入社のプロセスで採用は進行します。
採用を人事部門で実施するのではなく、現場も巻き込むことで多様な人材を確保する事や現場のニーズに合った人材を採用する事ができます。また、組織をあげて人材獲得をしていくプロセスは組織活性化のためのまたとない機会となるでしょう。

採用要件、母集団形成、面接について
まずは要件を洗い出す事から始めます。2つのアプローチがあります。事業や組織を分析してこの先必要な要件を推定する「演繹的アプローチ」。実際に成果を挙げているハイパフォーマーにインタビュー等を行い、要件を抽出する「帰納的アプローチ」。両方のアプローチを試みて、ギャップを見てバランスを取ることが求められるでしょう。
次に、要件の優先順位付けです。ハードスキル、ソフトスキル、価値観といったカテゴリーごとに優先順位をつけていき、求める人物像を設定しましょう。
母集団の形成(求人)については、メディア、エージェント、リファラル、スカウトといった方法が挙げられますが、それぞれの特性、メリット/デメリットを考慮して、組み合わせて母集団を形成しましょう。

面接を行う上でのポイントは?
1回で全てを見極めようとしない事が重要であるといいます。つまり、選考段階によってみるべきポイントを絞ることが重要でしょう。
例えば、
初期:基礎能力の確認
中期:パーソナリティの確認 
最終:相対感を見る
等です。また、面接でよく使用される適正検査については、データの扱い方には注意が必要です。データの読み取りに精通した人が、対象者を「よりよく見る」ために使いましょう。行動特性を探るために適正検査を安易に結論に結び付ける事は、会社にとって重要なヒトの採用について、データの結果のみで判断してしまう怠慢な会社と見られても仕方ありません。
行動特性を面接で探るためには、「過去のエピソード」を具体的に深堀してインタビューする事で、特性をよく見る事ができるでしょう。

採用した人に活躍してもらうためには何をするべき?
選考の中、マイナスの面も含めて、嘘をつかずに情報を候補者に提供するべきです。入社後は、例え即戦力人材であっても見守り、組織につながりを感じてもらえるよう積極的に関わることで、活躍してもらえる土台を作ってあげる事が大切です。また、本人も周囲も「成果を上げた」と感じられるような小さな成功体験が適応の鍵となるでしょう。

これからの採用を考える上でのポイントは?
ヒトを集めるから「ヒトが集まる」企業に変わる必要があると言います。どのような企業にヒトは集まるのでしょうか?特に現代の求職者は、自分自身のキャリア・ビジョンを達成しうる場であるか否かという観点で選別される」とアクセンチュアの江川様は仰っています。

異動について考える。
そもそも異動の目的とは何でしょうか?「適材適所」「人材開発」「幹部育成」の3つの目的があると言います。日本の企業にはジョブ・ローテーションという制度を導入している企業が多いですが、幹部育成、部署間のコミュニケーションの活性化、仕事の属人化防止といった効果を期待しているからでしょう。

代謝(退職)について考える。
代謝は、痛みを伴うリストラを避けるために設計を怠ってはいけません。健全な新陳代謝を目指すことが必要です。日本企業の多くは代謝の設計が後回しになって、痛みを伴うリストラを断行する事になってしまいました。企業が連続的に成長を続ければ、ヒトを増やし続ける事は可能ですが、成長が止まれば、余剰人員が生まれてしまいます。しかし、退職率をコントロールする事はできるのでしょうか?「求心力」施策と「遠心力」施策の両方を使い分ける事が大切です。

求心力施策:組織の一体感や愛社精神を高揚させるイベント活動。社内業務に役立つ能力開発への投資、残留インセンティブの高い退職金制度、報酬アップなど
遠心力施策:セカンドキャリア支援の退職金、社外を含めた選択肢を検討させるキャリア研修への投資


人材開発

転職が当たり前のように選択肢にあり、ヒトが退職してしまう可能性が高い現代で、企業が人材開発に投資する意義は何でしょうか?
それは成長機会が提供されない企業に優秀な人材は集まらないからです。企業における人材開発の目的の一つは、人材が能力を身につけて経営戦略を達成する事です。そのため、経営戦略を実現するために必要な能力と現在社員が持っている能力のGAPをニーズとして、そこを埋めるために人材開発施策を打ちます。また、GAPに注目するのではなく、もともと持っている強みに注目して施策を展開する方法もあります。

どのような手段があるか?
大きく分類して、「OJT」「Off-JT」「自己啓発」の3つがあります。OJT、OFF-JTにはそれぞれメリット/デメリットが存在するため、組み合わせて最適なプランを立てる必要があります。自己啓発については、学ぶ習慣のある人(特にリーダー層)を採用する。学びあう場を促進するなどの施策を打つことができるでしょう。OJT・OFF-JTについては、下記図でメリット/デメリットをまとめています。

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ヒトを成長させるためには?
アセスメントで現状の自分を知ってもらい、現状よりも高いレベルの目標を与えてチャレンジすることを促す。その際に、サポートをすることを忘れてはいけません。人材開発は個々に対しての施策を考える要素が強いですが、基本的には、「アセスメント」「チャレンジ」「サポート」というキーワードの元、プランを策定しましょう。
また、多くのマネージャーにとって部下育成は抱える悩みですが、成長段階に合わせて仕事の割り当て・評価・支援を変える事が最も重要だといいます。ある研究で多くの企業を研究した結果、業種や職種を越えて普遍的な成長段階がある事が分かりました。興味深いのは各成長段階は一段ずつ上がるという事です。(下記、トランジションデザインモデル参照)

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これからの人材開発を考える上でのポイントは?
多様な働き方が推進される中で、経験を選択する主体者が企業から個人にスライドしはじめています。企業は等級と評価設定で成長の方向を示して本人とすり合わせ、成長の機会を「双発的」にデザインする事が求められていきます。一人ひとりの経験から学びを最大にする方法が模索されていくでしょう。下記図の経験学習モデルはそのヒントになりそうです。

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組織開発

組織開発とは何か?
1950年代にアメリカで発祥しました。組織開発は様々な定義がありますが、おおむね共通しているのは「行動科学を応用する」「組織内のプロセスを変革する」「組織の効果性を高める計画的な取り組み」の3点です。
また、人材開発と重なる部分が多くありますが、人材開発は「人」に、組織開発は「人と人の間」にアプローチしているという捉え方ができるでしょう。また、よく似た概念であるチェンジマネジメントはどのように違うのかについて、下記図でまとめています。

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組織の効果性を高める事が定義であると説明しましたが、組織は「何」に向けて効果性を高めていくべきでしょうか?ビジョンやミッションの達成に向けて。という回答が多くなると思いますが、ビジョン、ミッションの定義があいまいになっていたり、違いが分からなくなったりする事があります。
ビジョンとは、社会や組織の未来のあるべき姿です。これは外部・内部環境の変化に対応して変化させるべきものです。ダーウィンの進化論でも述べられているように「変化に対応したもの」が生き残るのです。ちなみにリクルートでは「目指す世界観」だと定義されています。
逆にミッションは、簡単に変えるべきものでは無く、その定義は組織が「果たすべき役割」や「使命」であると言えます。

組織開発の手法について
主に4分類する事ができます。それぞれメインプレイヤーが異なることを押さえましょう。

1.ヒューマンプロセスへの働きかけ
➞主導者が曖昧であるが、大切な要素。昨今ではHRBPなどが主導
2.人材マネジメントによる働きかけ
➞人事が主導
3.技術・構造的働きかけ
➞現場が主導
4.戦略的働きかけ
➞経営陣が主導

世界の成功している組織モデルから学ぶ。
組織開発のヒントとして世界のビジョナリーカンパニーを見ていきましょう。劇的な変革ではなく、地道に大きな車輪を回す「弾み車」のモデルがヒントになりそうです。

規律ある人材
第五水準のリーダーシップ;謙虚さと意志の強さを持ち、野心は個人ではなく会社のために向けられている。そして成功したときは窓の外を見て成功要因を見つけ出し、うまくいかないときは鏡に映る自分に責任があると考える「窓と鏡」の思考様式を持っています。
最初にヒトを選ぶ;誰をバスに乗せるかを最初に決めて、不適切なヒトをバスから降ろし、適切なヒトがふさわしい席に座ってからどこに向かうかを決める。専門スキルではなく、性格や基礎能力を重視して考える。
規律ある考え:
厳しい現実を直面する;極めて厳しい現実も直視しながらどんな困難でも必ず勝てると信じる。
ハリネズミの概念;「情熱」「自社が世界一になれる部分」「経済的原動力になるもの」その三つが重なるフィールドを見定めるために、とても多くの時間を費やす。
規律ある行動:
文化;規律ある行動が取られていれば、過剰な管理は不要になります。三つが重なるフィールドを熱狂的に重視する人たちが集まる企業文化がカギです。その上で、促進剤となる技術があれば組織は飛躍的に成長するでしょう。

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組織を活性化させるには?
キーワードは「カオス」だといいます。活性化している組織はカオスの状態にあります。変化に対応するためにはそれまで積み上げてきた実績・学び、考え方を「自己否定」アンラーニングする必要があります。つまり、既存の価値体系や暗黙の行動規範への疑問の提示、過去の成功体験の否定、現状の厳しい批判をすることになります。人間の営みとは、無秩序の状態から何とか秩序を作ろうと活動します。(自己組織化)秩序を作って秩序を壊すエネルギーこそが活性化であると言えます。今どちらの方向へ向かうべきなのかを見極めましょう。

自律的なチームを作るには?
チームとは、適当に集めたグループとは違います。「目標に向けて機能する集団」をチームといいます。チームが機能していない場合は次のポイントを確認してみましょう。

1.チームのメンバー数が適切か?
それぞれが意思を持って、相互に介入して自律的に動くことができる単位は5-7名で1人のマネージャーがみる事ができる範囲もその程度だといいます。
2.メンバーがどのチームに所属しているか明確か?
2つ以上のチームに所属しているか分からなくなると、振る舞いに迷いが生じ自律的な行動が生まれづらくなります。
3.チーム内の連帯感は高いか?
4.チームに任せず、邪魔をしていないか?


これからの組織開発をする上でのポイントは?
組織開発には定石があります。「事実」をもとに、キーパーソンを巻き込み、小さな成功をもとにして現場が自走できるように整備して拡大するというサイクルです。チームや部署単位など小さな単位から始めて、そこでの成功パターンをもとに広めていくこと。他社の成功パターンをそのまま移植する事は前提条件や状況の違いをしっかりと分析しなければ、無駄になる可能性が非常に高いでしょう。また、事実を捉える事は組織開発の起点ですが、そのためのツールは年々増えています。アンケートなど定量的な事実を確認しやすくなっている反面、その数値に一喜一憂する事が目的になってしまう事を避ける必要がありますし、現場に足を運んで、なぜその数字になっていて、どうすれば改善できるのかを考える事が大切です。


感想とNext Step


本を読み終えて、人材マネジメントとは、どのような要素で構成されていて、組織が掲げるゴールを達成するために6つの要素が一貫していることが非常に重要であるという事を理解する事ができました。今後は個々の要素についてより深い洞察ができるように学び続けたいと思っています。また、所属する組織の課題がどの要素にあるのか?また、どの要素間で一貫性が無いのか分析を進めていこうと思っています。

現在、私は転職エージェントとしてリソースフロー(特に採用)の要素に深く関わる仕事をしていますが、Clientのリソースフローの要素のみを考えるのではなく、人材マネジメント全体を俯瞰的に分析しながら採用の支援・提案ができれば、より先方にとって価値のあるモノになると思っています。学んだことを実践していきたいですね。




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