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新卒NGO就職を決めてから2年間が経ったので、あの時のキャリアの悩みを振り返る

入社エントリーなるnoteを書いてから、既に2年が経とうとしている。

NGOへの新卒入社を決めた時に、最後の最後まで迷ったのは「NGOで働いたとして、次のキャリアの選択が狭まるのでは」という問いだった。

ありがたいことに、僕史上2番目に読まれているnoteで、少なからず同じ悩みを抱えるまだ見ぬ同士に届いている気がして嬉しい。

約2年間、NGOに正社員として勤めた。その中で、「キャリアが狭まっているのか?」という問いに答えていきたい。

答え:否。むしろ広がっている

率直に、自分の未来が狭まっているとは、あまり感じない。正しくは、ある一定の業種や職種について、もう進むことはないだろうと、見切りをつけたため、狭まってはいるのだが、良い意味で選択と集中が進んだ、感じがする。

例えば、過去に「まずはコンサル業界で力をつけたい」と思っていた自分。今では、「コンサルのスキルセットを持つ人を一緒に共同できるようになれれば、自分がやる必要はない」と思うようになった。そもそもこれだけコンサル業界のインフレ化が進む中で、自分の優位性を生かせるのは、コンサルではないと感じている。(でも、まだ第二新卒枠の募集はたまに覗く笑)

はたまた、「ソーシャルビジネスで経験を積みたい」と思っていた自分。今では、これだけ多くのビジネスプレーヤーたちが事業で社会課題解決に取り組んでり、それをみて自分は、より経済合理性限界曲線の外側にいる、ビジネスではアプローチできない課題の解決に貢献したいと思うようになった。(が、これも同じくソーシャルビジネスの動向はチェックしている)

というように、過去の自分にとってメインロードになりえた道は、今の自分は、異なる捉え方をしている。2年間を経て、咀嚼が進み、漠然とした憧れや興味関心、以外の視点から考えられていると思う。でも、未練はある。笑

キャリアが広がる感覚

NPO/NGOに新卒から身をおいたことで、キャリアが広がっていると感じることも多い。それは、1) 業務の幅、2)視座、3)つながり 、の3つの広がりが関係してる。

1) 業務の幅の広がり

2年間で、経営企画としての中長期戦略策定・ビジョン/ミッションの再定義といった上流から、社会起業家支援のファンドレイジング・支援コーディネート(ロジまわり)、海外出張&レポーティングといった現場レベルの仕事まで、幅広い仕事に関わらせてもらった。これは、社員10数名のNGOで働く良いポイントだろう。

「やりたい!」と手を上げれば、どうぞどうぞと、任せてもらえる文化のある組織なので、

・組織基盤強化の助成金に自分が担当者となって応募して採択
・新ミッションに関わる勉強会を開催
・ファンドレイジング施策の提案
・寄附者分析プロジェクトの実施

など、色々経験させてもらっている。

そして、これらの経験は、どんな非営利組織に行ったとしても生かせるだろう。ベンチャーに行っても生きてくることもあるはずだ。

この点において、他の組織でもやっていけるという感覚は、少なからず得ることができた。

2)視座の広がり
NGOで働く中で、個人・組織という視点だけでなく、業界・社会というレベルで物事を考えることができている。特に、NGOが抱えている課題は、自団体の個別的な要因ではなく、そもそもNGOの構造的な課題に起因していることも多く、業界として変えていかないといけないことも多く見えてきた。

一方で、NPOで働く自分、にとらわれすぎないようにしている。「社会課題解決がNPOの専売特許」である時代は過ぎ、現在は、ソーシャルビジネス・パーパス経営・CSVなど民間が課題解決に事業を通じて貢献している時代だ。

民間に任せる部分は任せる。というよりも、むしろNPOは民間や行政と共同できるように、しっかりと胆力をつけ、足腰を鍛える必要がある。今では、NPOは急成長するソーシャルビジネスに対して、1-2歩遅れを取っている現状な気がする。

と、ソーシャルセクター全体のことも考えながら、どう自分がセクターに貢献できるか、なんてことも考えている。


3)人の広がり

結局、キャリアの広がりを感じているのは、この点がとても大きい。この2年間で、「いつかご一緒したい」と思った人たちに、たくさん出会うことができた。沖縄での出会い、バリでManaに遊びに来てくれた人たち、ファンドレイジングスクールでの同期たち、旧友たち。

数年後この人達とこんなことしてたい、みたいな漠然とした未来をいくつも描くことができた。

この2年間で培うことができた社会関係資本は、間違いなく未来に生きてくる。

「市場価値の高い人材」なんてクソ喰らえ

「NGOに新卒入社を決めた意思決定」を振り返っても、全くの後悔はない。むしろ、この意志決定ナイス!と過去の自分を褒め称える。結局、キャリアうんぬんというのは、何歳になっても尽きない悩みだし、そんなに深く考え過ぎなくてもよいと思う。

それよりも、目の前の一つ一つの与えられたチャンスをしっかりとものにしていくことに注力することが、結果的にその先のキャリアにつながる気がしている。

最後に、ポエムを書かせてほしい。




「市場価値の高い人材になれ」

そんな謳い文句を多々見かける。僕は市場価値という言葉が嫌いだ。希少性を高めろ、なんていい方も好きじゃない。(そういう人材になろうとしているのは否定しないが)

自分の価値を、人材市場なんかに決めさせるな。

どこの大学を出て、どこの会社に新卒入社して、どこのMBAに行って、どこに転職して。そんなことが自分の価値として評価される世界線とは、一線を置け。

市場には出回らないスペシャルな人材になれ。そして、自分の価値は自分で決めろ。

一流の和牛は市場には出回らないで、特別な卸業者を通じて、高級料亭に届けられる。

市場から一線を画し、今いる場所で猛烈に結果を残せ。そして、「ぜひあなたにお願いしたい!」と逆指名が入るくらいな人材を目指せ。

と、そんな自分への叱咤激励を込めて、人材市場に中指を立てて🖕、2年前の自分へのアンサーブログとしたい。


▼ファンドレイジング・ジャーナルでインタビューしていただきました。感謝🙏 "新卒でソーシャルセクターに飛び込んだ20代のリアルな話(島田颯)"
https://jfra.jp/fundraisingjournal/5262/

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