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新卒NPO職員が30万円寄付して学んだお金の価値観

2023年1月1日、NPO法人LivEQuality HUBという名古屋を拠点にシングルマザーの住まいの支援を行っている小さなNPOに30万円寄付しました。寄付したのは去年の元旦だったんですが、結果的に一年間温めてました。能登半島地震への寄付を表明している著名人や企業、また寄付や募金に関して世間の注目も集まっているので、今のタイミングで書いて見ようと思い立ちました。

「もっと寄付をする一年にしよう」

僕は毎年可処分所得の10%を寄付しようと決めて、他の団体や知人のクラウドファンディングを応援しようと心がけています。クリスチャンの方たちは目安として収入の十分の一を寄付している、という話もあり、僕もその割合を目指してみようと思って生きてました。人によって割合は様々でいいと思いますし、生活を考えても10%がマックスな気もします。

という中で、毎年どんな団体にいくら寄付したかと記録して、年末に振り返りました。

▼2022年の寄付レポート

こちらのnoteに詳細は書いていますが、2022年の寄付を振り返った時に、収入に対する割合が10%にいかなかったし、寄付額も少なかったなと感じて、2023年はもっと寄付したい!と思ったわけです。純粋に寄付をすればもっと社会が良くなると思っていることもありますが、それ以上に自分のキャリアやお金の価値観を考えた時に、寄付することが自分の人生にプラスの影響を与えるなと。

僕はNGOで働きながら業務として海外のNGOを支援するための寄付を集める仕事をしていて、かつ今度もファンドレイザーとしてキャリアを歩んでいきたいと思っています。寄付者・団体の両方の視点をもったファンドレイザーを目指すべく、高額な寄付を集めようとするならばその寄付者の視点をもたねばならぬと、自分もまずは寄付者としてガチで寄付してみたわけです。

「桁を2つ上げろ」

もっと寄付すると決めた時に考えたときは、「いくら寄付するか?」「どんな寄付をするか?」「どの団体に寄付をするか?」の3つありました。

いくら寄付するか?
ちょうど複業を始めたタイミングで収入が上がったこともあり、2023年はより多くの収入を寄付に回せそうな中で、ふと思い出したのが以前経営者の方から言われたことでした。

まずは事業の桁を2つあげる努力をせよ。規模が小さすぎるとやっていることが間違っていても正しくても、本当に必要なことかどうかわからない。今やっていることから桁2つ増えるくらいになるまではがむしゃらに頑張れ。」

この一言が自分の頭に印象深く残っていて、じゃあ自分も寄付の桁を2つ上げてみよう!と決意しました。

これまでの僕の単発寄付の金額を決める時の基準でいうと、3000円〜10,000円という範囲で、少額寄付を複数の団体や人に寄付するスタイルでした。単純に通常の単発寄付を桁を2つあげるとなると、30万円か100万円だったんですが、今回は30万円を予算に単発寄付をすると決めました

どんな寄付をするか?

どんな?というのは、課題・地域・法人格・人、といろいろな軸がありますが、僕は「30万円の寄付の価値が最大限生かされる」寄付を考えました。リアルに自問自答していた内容だと、

長期的に見て成長していくだろうNPOだが、現状まだリソースが不足していて、この寄付で少しでも成長の速さに貢献できると思える団体にしたい

30万円といってもNPOを運営する上で必要な毎月の資金を考えると正直そこまで大きな金額にはならない、であれば比較的小さな団体でその割合が少しでも大きくなる規模の団体にしよう

より直接的に困っている人の現場の支援に使われそうな団体で、寄付のニーズが明確化しているところにしよう

というあたりでした。

そこから30万円を10万円x3団体に分けて寄付することも考えたんですが、リソースを一点集中したほうが寄付の価値が最大化されると思ったので、30万円を1つの団体に寄付することにしました。(ここは自分のエゴですが、10万円の寄付はちょくちょく見かけるので、どうせやるならあんまり人がやらないであろう金額で寄付したかったこともある)

どの団体に寄付をするか?
僕はNPO周りの知り合いが多いこともあって、初めからいくつか候補となる団体が頭に浮かんでいたこともあり、具体的に30万円あったらこの団体ならこんな使い方をしてくれそうだな、というのがよりイメージしやすかったです。

(少しファンドレイザー目線の話に寄り道すると、寄付者が寄付先を考える時点に知っている団体の中から選ぶ傾向はあると思いました。要は寄付するために自分でHPで検索して、どんなNPOがあるか調べない。選ばれる団体になるには、そもそも知られていなければいけない、という当たり前のことを感じました笑)

直接支援ならあの団体だなーとか、あの地域で頑張っているNPOならあそこだなーとか、色々考えた結論は、創業2年目と間もないがこれから成長していくだろうLivEQuality Hubさんの成長資金として使ってもらいたい、でした。

LivEQuality Hub: 愛知県名古屋市を拠点に経済的に困窮しているシングルマザー親子に住まいとつながりを届けている団体。最近、認定NPO法人の資格も取得されてます!
https://livequality.co.jp/hub

LivEQuality Hubの代表を務める岡本拓也さんは、元カタリバ常務理事兼事務局長やSVP東京の代表をされていた経験もあり、NPO界隈では有名な方だったんですが、僕が働く団体の監事・理事という繋がりもありました。(2019年のバリリトリートの時に拓也さんに言われた「颯くん、Earth Companyに入社しちゃいなよ!」みたいなご飯中に言われた一言も記憶に残っていました笑)

▼拓也さんの経歴はこちらの記事から

創業時にクラウドファンディングに挑戦されていて、842人から1539万円を集めるほどたくさんの人から応援があることからも、この活動の意義が感じられます。


一方で、これまでNPO業界で働く中で、創業期の厳しい現実も見てきました。基本的に人・金・つながりのすべてのリソースが足りていなく、事業を拡大していきたいが、そのために雇う人の人件費を確保するのが難しいなど、課題だらけです。事業規模3000万円、社員3-5人というレベルまで行くのに5年はかかるような世界です。(そしてその後もうまく行って1億円以上の規模になるまで、創業から10年はかかるし、そもそもそこまでいけない団体がほとんど)NPO創業期のシードマネーは業界に圧倒的に足りていないので、その課題に一石を投じたいという思いもありました。

ということで、創業一年目で1500万円の寄付は集まったが、2年目以降安定的な財源を確保していくのは苦労を感じられてると思い、その壁を少しでも早く登れるように、がんばってください!と少しでも背中を押せるようにと、LivEQuality Hubさんに30万円寄付しました。

寄付直後に代表から「寄付いただいたのですが、桁間違ってませんか?大丈夫ですか?」とご丁寧に連絡をいただくほどサプライズ寄付になったようでしたが、「はい、あってます!笑」とお伝えし、桁間違えた事件にはなりませんでした。

そこからの繋がりで、メンターを努めているファンドレイジングスクールで岡本さんに登壇していただいたり、実際に名古屋を訪問してコレクティブインパクト勉強会に参加&シングルマザーに貸している物件を見させていただきました。感謝。

帰国した際にお声がけいただいてお食事@東京。色々人生相談も含め
ファンドレイジングスクールの一コマとして、NPOの最前線で活躍する人からお話を伺うリーダーズセッションにもご登壇いただきました!
実際に名古屋の事務所にも行かせていただいて事務局長の青木さんとはじめとした、チームの皆さんともご挨拶
団体主催のコレクティブインパクト勉強会にも参加


新しいお金の価値観

30万円寄付して、1年間を過ごしたんですが、この寄付が自分に与えたお金の価値観に対する影響がとても大きかったです。支出でいうと、これまで一番高かったのはHuaweiのノートパソコンの22万、iPhone 13 Pro Maxの19万だったので、人生で最大の買い物?支出?となりました。30万円寄付したことへの後悔は全くなく、むしろ幸福度が上がりました。「30万円あったら、これ買えたな、これできたな」と思ったりするかな?とも思いましたが、そういうこともなく、むしろ30万円寄付をするという意思決定をできたことで自分のキャパが広がったなと感じました。

次は20代のうちに単発100万円の寄付をしてみたい。そんな風に考えれているのは、目の間の暮らしが豊かで、仕事がクビになっても2年は生きていける生活防衛資金があって、家族とも関係もよくて最悪実家に戻れば家はある、という自分の生活のセーフティーネットがあるからだと思います。

その土台の上で生きてて、豊かさに溢れてる?といえば言い過ぎかもですが、他人とシェアしたい豊かさがある感じです。

以前、「求めれば足りず、分ければ満ち足りる」という諺を聞いたことがありますが(ぐぐっても出てこないので記憶が捏造されているかもしない)、まさにそんな感覚。

現代社会だと「いくら稼いでいるか」という収入の数字の引力が強くて、そこが求めるべき絶対的な解とされていますが、「どう使うか?」が見過ごされているのはないか。物質的に満ち足りた社会で目指すべきは、個人のウェルビーイングだと思い、その点、収入はあくまで自分の幸福度に与える影響の一つに過ぎないのではないかと。(もしかしたら、我々が思っているほど強くない?理想の年収はあるが、何やら不幸せな大人がいる姿を見ると、何かがずれている?)

だからといって、お金がないと寄付もできないわけで、しっかり働いていきたいと思います!

ということで、30万円の寄付から自分の中で新しいお金の価値観が芽生えた、大満足な経験でした。

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▼もしよければ、2023年の寄付レポートも合わせてお読みください


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