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スリランカの本当の洗礼《夫婦世界一周紀32日目》

知り尽くしたなんてことはあり得ないのだ。いかに小さな世界であっても、未経験のことはよく起こる。ことスリランカでは痛いほど実感していたことだったけれど、さすがに一週間近く滞在しているウナワチュナでは緊張の糸が解れていた。安心できる空間をようやく見つけたと。

一瞬でも気を許した僕が大間違いだった。

徒歩1分の場所にあるレストランでご飯を食べて宿に戻り、日焼けを直しながらこれからの旅程を立てる。そんなシンプルな生活に非日常が入りこむ隙間なんて一ミリも存在しないと思っていた。

レストランにはメニューがなく、気まぐれで作るものが変わる。カレーの時もあれば、フライドライスの時もある。フライドライスとはつまりチャーハンのことだが、入っている中身は貧相でネギとニンニクとカラフルにするための刻んだ人参しかなかった。一人あたり350ルピー。観光地価格の中でも良心的な価格で、宿代を含めても一日1500円前後で暮らすことができたが、腹は膨れても満足感は無かった。肉がないと山盛り食べてもなにか足りないのだ。

ぼうっとしながら宿を歩くと、突然ドタドタと音がした。茂みをのぞくと規格外の大きさの生き物がいる。

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外に出ることが出来ない今、旅をできること自体に価値が生まれつつあります。僕たちが見てまわった世界はもうないかもしれないけれど、僕らが家にいる時にも世界は存在していて、今日もトゥヴァだってニウエだってある。いつか全てが終わった時に、あそこに行きたいと思ってくれる人が一人でも増えたらいいなと思って、価格を改訂しました。 無料で公開したかったのですが有料マガジンを変更することが出来なかったので、最安値の100円に設定しています。

2018年8月19日から12月9日までの114日間。 5大陸11カ国を巡る夫婦世界一周旅行。 その日、何を思っていたかを一年後に毎日連載し…

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