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ベトナムのホウキと掃除文化の話🧹

これは昨年10月の終わりごろ書いた記事です。
去年の4月からベトナムに引っ越し、ベトナム人の妻と暮らしているうちに
「なんでベトナムは〇〇なんだろう?」
という疑問を歴史、文化、生活スタイル云々あらゆる側面から考えるようになりました。
疑問に思う → 解決する → 誰かに話したくなる
と至極当たり前のようなプロセスを経た後、
「なら書いてみるか。」と。
その第1作がまさかの掃除とは…。

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ルンバにダイソン、外壁にはケルヒャー。

料理後の生ゴミはディスポーザーにぽいっ。

掃除代行サービスに頼めば、嫌な油汚れを触ることもない。

…と、現在そのような生活を送っている人はまだ少数派だと思うが、家を掃除するアイテム、サービスは多岐にわたる。

より強力な力で汚れを落としたり、作業時間をグッと短くできたり、そもそも汚れを見ない生活を送っている人がいる中、ベトナムの田舎ではホウキ(chổi bông cỏ)とチリトリが掃除の主役だ!

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〜hổi bông cỏとは〜

ベトナム語を直訳すると「草ホウキ」と呼ばれ、その名の通り乾燥した草を束ねたものだ。たまに草の一部が抜けたり、水気があると途端に掃除をするどころか汚してしまうのだが、一度捉えたチリやホコリは逃さずキャッチしてくれる。
外観は「昔のホウキ」そのもの。ちょっと可愛らしくも見える。

日本では掃除用具をクローゼットなどに収納し、隠してしまいがちだが、ベトナムではどの住宅にお邪魔してもどこかの壁紙に立て掛けてある。
一部の外国人の中には、このホウキを半ばインテリアとして飾る方もいるらしい。
また、新居に引っ越して1日目には、新調したホウキとチリトリで家の中をくまなく掃除する文化がある。

余談だが、住宅の床材はタイルがほとんどなので、汚れたらダブルメインキャストの1つ「モップ」が出動する。盗まれないようにバイクや自転車は家の中に入れているが、水拭きができるため汚れに対して神経質にならなくても良い。


このホウキには手作りの妙も細部に宿る。
チリトリはすぐれものとは言えない。
日本のチリトリが恋しい。


可愛らしいホウキの話をしたあとは、ベトナムの掃除事情についてだ。

〜ベトナムの掃除事情〜


①毎日掃除をする。

朝方、私がガーデンや他の用事で出かける際周りの家々を見渡すと、玄関前や店の前をホウキで掃除をする人の姿をよく見る。
これは"玄関前は家の顔である"というベトナムの文化で、毎朝掃除する事を小さい頃から親に教わるらしい。アスファルトで舗装されていないところが日本より多く埃っぽいということと、来客がとても多いのも関係しているのではないか。
(ベトナムでは、夕方まで家の門を開けておく風習があり、近所の人が当たり前のように門をくぐることがある。インターフォンなどはないためズカズカと)


②教育

日本では学生全員が毎校内すべて掃除する。
ベトナムでは"自分たちの教室"に関しては学生自身で掃除をするが、廊下や多目的室などは清掃員が掃除をするらしい。

この話を聞く前から私なりに気づいたことがある。それは、
『ベトナムは予想していたよりもきれいだった。ただし、きれいにしているのは各々の敷地の範囲内だけだ。』

"家の顔"はどこもきれいにしているが、個人が所有していない道路や空き地にはペットボトル、詰替え用のボトル、ごみ袋などが散乱している。
…もしかしたら上述した学校清掃の仕方がそうさせているのではないか。

しかし、学校の取り組みではこんなことも行われている。
私が住む地域にある近くの高校では、毎週決まった曜日に学生たちが高校周辺の道路などを掃き掃除している。
私服姿でホウキとチリトリを持ち、ダベりながらも結構ゴミを集めているのだ。
そのおかげか高校周辺はきれいにされている。

一方夜になると、人はゴミを路上に"戻しに"やってくる。高校周辺の公園内のカフェは学生たちのたまり場となる。勿論ポイ捨ては当たり前。

…やはりひとりひとりの意識の問題だろうか。


③ゴミ収集

日本では曜日ごとに捨てるゴミの種類が決まっている。マンション住まいなど、いつでも捨てられるようなシステムがあれば別の話だが。
また、捨てるゴミの種類もきちんと分けなければいけない。
そして、地域指定のゴミ袋を購入する必要があり、まとめて捨てたいときはクリーンセンターに持ち込みお金を支払い処理をしてもらう。

ではベトナムはどうだろう。

答えは、
・家の前にゴミをまとめて置いておけば、ほぼ毎日収集してくれる。
・分別はほぼしなくて良い。
・地域指定のゴミ袋もなく、スーパーの袋にまとめておけばよい。
・ダンボールやペットボトルはお金になる。

とっても楽ちんだ。お金を稼ぐこともできる。

ただ裏を返せば、日本よりもごみ処理施設のレベルが低く、分別の意識もないため環境に悪いことは確か。
楽だから良いものではない。

最後に。

仏教において掃除は「作務」と言うらしい。
身の回りのゴミを取り除くことにより、自分の心の汚れやくもりをも取り除く修行の一環だそうだ。
日本に住んでいた頃は、起きたらバタバタと支度をして仕事に向かう毎日だった。
今は周りの人を見習い、毎朝早く起きてホウキとチリトリを持ち、家の中や玄関前を掃除する。

作務衣を着て掃くスキンヘッドはさながら修行僧のようである。


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〜後日談〜

私の家の眼の前には都市部と
この地域を結ぶ道路がある。
毎日毎日バイクやトラック、コンテナトラックまで通るこの道は、風向きが悪いと砂や粉塵が私の家に舞い込むのだ。
日中は屋内の風通しを良くするために
玄関と各部屋の窓を開けているのだが
そのせいもあって余計に細かいホコリが入る。

ホウキだけだと掃いても掃いてもなんかホコリが
気にるなぁ、と思った矢先
私は軽い喘息を患ってしまった!

原因を確かめに病院に行くと、
「季節の変わり目は喘息に罹る人が多いですよ」
との医師のコメント。
だが前述したように残留した微細なホコリも
何か原因があるかもしれないと考えた後、
新しいサイクロン掃除機を買うことにした。


ホウキで掃いた後に掃除機をかけると
まあホコリが取れるわ取れるわ!
水拭きを頻繁にできれば問題ないのかもしれないが、そんな余裕がないのも事実。
また、風通しの良くない天井付近には
ある意味家の守り神でもある「蜘蛛」が鎮座するのだが、白いタイルにぼつぼつと黒い糞をしたり
見栄えの問題もあって私は決行することにした。
…掃除機のノズルを伸ばして。


そうした甲斐もあり、ホウキで掃くよりきれいに
なった私の家。季節に順応したり、免疫力アップのエキナセアのハーブティーを飲んだりしながら
軽い喘息は次第に収まっていった。


残されたベトナムのホウキ。
しかし使うことを"放棄"したわけでなく
現在はある役割に特化している。

なんだか髪の毛やホコリがあるけど
掃除機をかけるまでもないな、というときには
ホウキの出番だ。
そしてハーブティーのブレンドのときに出る
使わない枝葉や花を回収するのにホウキは
役に立つ。


失職することなく総合職から専門職へお引越ししたホウキは、AIが台頭する未来の人類の仕事事情を想起させたりさせなかったり…。

でもこの使い方って日本と変わらなくない?

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