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Sound Horizonの考察・調査記事まとめ

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ニンニ リズが書いた、Sound Horizonの楽曲や世界観に関する考察や調査記録記事のまとめ。
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【SH考察:082】Romanの中にも並行世界がある説

Sound Horizonの絵馬に願ひを!とRomanには類似性があることが知られている。直感的にすぐに気づけるのは容姿やナレーションの内容といった点だ。 しかしよくよく考えると絵馬に願ひを!の目立った特徴である、2つの並行世界を廻るという点もまた、Romanでも実はみられる特徴なのではないだろうか。 今回はこの仮説が成立するかどうかを検証した。 対象5th Story Roman および隠し曲 7.5th or 8.5th Story 絵馬に願ひを!Full Edi

【SH考察:081】『焔』と『壊れたマリオネット』に登場する雨の葬列は同一の出来事か?

Sound Horizonの楽曲のうち2曲で、雨の日に行われたと思しき葬列の描写がある。 天候まであえて触れて類似した舞台設定が描かれていることから、この葬列が同じものを指している可能性はないだろうか?という点について、今回は検証してみた。 対象2nd Story Thanatosより『壊れたマリオネット』 5th Story Romanより『焔』 考察雨の葬列の描写 このように、『壊れたマリオネット』と『焔』の両方で「雨」と「葬列」の描写がある。 このうち後者は、

【SH考察:074】ロランとモニカはどこで暮らしていたのか?

Sound Horizonの楽曲『美しきもの』では、四季折々の情景が描かれる。 この情景描写から、登場人物であるロランとモニカがどこに住んでいるのかを絞り込めないだろうか? 今回はこの観点で検討してみた。 対象5th Story Romanより『美しきもの』 考察蝉が鳴き雪が積もる地 前提としてRomanに収録された曲は全て、時代は古今混ざっているものの、フランス(フランドル)の地がモデルだ。 その中でも『美しきもの』は情景描写が多く、フランスの中でも特にどこかを推

【SH考察:068】ミシェルの人物像を表すための12の要素

Sound Horizonの中でたびたび登場し、妖艶さと不穏さを漂わせてくる女性、Michèle Malebranche。 彼女について複数の曲に情報がちりばめられているため、改めて全体を俯瞰し、ミシェルの人物像を俯瞰的にとらえてみた。 対象ミシェルが関連すると思われる曲(「ミシェルの関連曲の時系列」の章参照) 考察ミシェルの関連曲の時系列 私の認識では、ミシェルの関連曲は「対象」で羅列した通り、現時点で10曲もある。 それを彼女の人生の時系列順に並べると、概ねこのよう

【SH考察:063】「ノエル」は何人いる?

Sound Horizonにおいて「ノエル」という名が判明している登場人物が複数人存在する。 他で複数人で重複している名はないはずなので、「ノエル」は珍しい存在だろう。 彼等は全て別人なのか、重複があるのかを考えてみた。 対象Elysion-楽園への前奏曲-より『檻の中の花』 5th Story Romanより『呪われし宝石』 いずれ滅びゆく星の煌めきより『Interview with Noël』 考察ノエルは3人存在する? サンホラの世界では大きく分けて3パターン

【SH考察:061】クロエの子は誰か

Sound Horizonの『黄昏の賢者』で賢者に相談している女性、クロエ。 彼女は後に母親になった可能性が高いが、生まれた子は誰だろうか。 絵馬に願ひを!までの既出の登場人物の中にクロエの子がいる可能性を検証した。 対象5th Story Romanより『黄昏の賢者』 小説『Roman 冬の朝と聖なる夜を廻る君の物語』 ※ネタバレ含む 考察mademoiselleとmadame 『黄昏の賢者』では、クロエという女性が賢者に何らかの相談をしている様子が描かれている。

【SH考察:060】ロレーヌは貴族時代には葡萄酒生産と無関係だった説

Sound Horizonの中では、ロレーヌの人生は『歓びと哀しみの葡萄酒』と『エルの天秤』で描かれており、この2曲の繋がりはかなりわかりやすい。 通説?や曲を素直に受け取った印象として、ロレーヌが愛した男は葡萄畑に携わり、彼の死後彼女が貴族から逃げ出して後を継いだように見える。 が、実はそれは成り立たないのでは? と思った。 今回はその理由と、矛盾がないように解釈するとどうなるかをまとめた。 対象5th Story Romanより『歓びと哀しみの葡萄酒』 考察ロレー

【SH考察:058】『11文字の伝言』と『星屑の革紐』は対応している説

Sound Horizonの『11文字の伝言』について、私はひとつ前の記事で曲中の死んで往く母親がイヴェールの母ではない可能性に触れた。 では誰の母親かというと、『星屑の革紐』のエトワールの母親の可能性は無いだろうか? 今回はその可能性と考えた理由をまとめた。 対象5th Story Romanより『星屑の革紐』『11文字の伝言』 考察読まなくても全く問題ないが、もしよろしければひとつ前のこの記事とセットでどうぞ。 2曲の共通点 『星屑の革紐』のエトワールは母親を亡

【SH考察:057】『11文字の伝言』と『冬の伝言』は対応してないのでは?

Sound Horizonの2009年の生誕祭で、『冬の伝言』はとても感動的な演出に思えた。まるで直前の『11文字の伝言』の母親へのアンサーソングかのようだった。 しかし、歌詞をよく見るとこの2つの曲は対応関係にない。 そこで今回は、そう判断した理由と、イヴェールが母親だと思った相手が誰なのかについてまとめた。 対象5th Story Romanより『11文字の伝言』 ライブ限定曲『冬の伝言』 考察伝言を遺した母 名前も年齢も容姿も不明。生きていた時代も家庭環境も不

【SH考察:056】『呪われし宝石』の現実的価値とミシェルとの関連性

Sound Horizonの『呪われし宝石』、赤色で、かつ『殺戮の女王』という不穏な名を持つダイヤモンドだ。 このダイヤモンドが現実でどれくらいの価値がありそうか、そしてその所有者の一人がミシェルである可能性があるかを検討してみた。 対象5th Story Romanより『呪われし宝石』 考察『殺戮の女王』  見た目の特徴 30ctという非常に大きな赤色のダイヤモンドだ。 金剛石とはダイヤモンドのこと。 ダイヤモンドといえば無色透明なものが一般的によく流通しており、目

【SH考察:019】ミシェル マールブランシェの生涯とその特殊性

Sound Horizonの考察で外せない人物、それがミシェル。 みんな大好き……というよりは、気配だけでも出てくると即不穏になる、そんな畏れ多い存在。 今回はそんなミシェル マールブランシェの生涯を追いながら、彼女のが持つ特殊能力の性質を探る。 対象曲なんせ関連しそうな曲が多い。厳密には他にも関連曲はあるが、今回はより露骨にミシェルが出ているものをピックアップした。 2nd Story CD Thanatosより『そこに在る風景』 2nd Pleasure CD Pi

【SH考察:009】Roman作中の時系列

Sound Horizonのアルバム『Roman』は全体的にフランドル、現実でいうとフランスを舞台にしている。 ただ細部を見ると、時代はバラバラなようにも見えた。 対象曲5th Story Romanのすべて 考察見えざる腕:1524年以降 詳細は下記記事にまとめているが、金髪のローランと赤髪のローランが戦えるタイミングが、フランドルvsブリタニアの、ブリタニア内グラスミアの戦いくらいしかない。 これがフランドル帝政化の後なので、大まかに見ても1524年以降になる。

【SH考察:003】サンホラにおけるガリア史

Sound Horizonのインディーズ時代のアルバム『Chronicle2nd』に登場する、4部からなる聖戦と死神の物語。 この中で語られる「聖戦」に関して、他の地平線が絡むと思われる場面もあるため、どこで何が起きたのか、誰が関わったのかを整理する。 対象曲以下の12曲。多いな。 1st Renewal Story Chronicle 2ndより9曲と、 5th Story Romanより1曲、7th Story Märchenより1曲、9th Story Neinより