【SH考察:063】「ノエル」は何人いる?
Sound Horizonにおいて「ノエル」という名が判明している登場人物が複数人存在する。
他で複数人で重複している名はないはずなので、「ノエル」は珍しい存在だろう。
彼等は全て別人なのか、重複があるのかを考えてみた。
対象
Elysion-楽園への前奏曲-より『檻の中の花』
5th Story Romanより『呪われし宝石』
いずれ滅びゆく星の煌めきより『Interview with Noël』
考察
ノエルは3人存在する?
サンホラの世界では大きく分けて3パターンのノエルが登場する。
Noël Malebranche
兄の帰りを待つ妹ノエル
VANISHING STARLIGHTのギター&ボーカルNoël
先に言うと、私は名前(の響き)が同じなだけで、全員別人だと思っている。
それぞれがどのような人物で、なぜ別人と思うのかを整理していく。
1. Noël Malebranche
サンホラの中では最も古くから登場しているノエル。
戯曲『檻の中の花』の最後に著者として名を残している。つまり劇作家だ。
(戯"曲"というから紛らわしいが、要するに劇の脚本や台本のこと。そのため戯曲を作る人は劇作家という)
まず性別。このノエルは男性だろう。綴りから推測できる。
フランス語でノエルという名の綴りは、Noël、Noèle、Noëlleなど何パターンかある。
このうち1つ目、つまり今回のノエルの綴りNoëlは男性的で、残りは女性的な綴りだ。
日本人でも中性的な名の人や、男性っぽい名前の女性もいるが、フランス語には名詞に女性名詞・男性名詞という性別の概念があり、Noëlという綴りはそもそもクリスマスという意味の男性名詞。
そのままの綴りでは女性の名前としては使いにくい。
そのため、『檻の中の花』の著者ノエルは男性と言える。
年齢は不明だが、戯曲をまとめあげる能力があり、ある程度成熟していることがうかがえる。
また、生きている時代は大まかに推定可能だ。
『檻の中の花』では、Christophe Jean-Jacques Saint-Laurentが、Michèle Malebrancheについて死後一世紀が経過していると述べている。
ミシェルの死体が発見されたは1903年2月4日であることが犯罪史からわかっており、そこから1世紀つまり100年経過しているということは2003年以降であることがわかる。
つまりこのノエルの生きている時代がこの頃ということだ。1900年代後半~終盤に生まれ、21世紀を迎えた男だ。
2. 兄の帰りを待つノエル
『呪われし宝石』に登場する、イヴェールの妹のノエル。
このノエルは紛れもなく女性だ。この時点で1.のノエルとは別人であることが明確。
イヴェールが原石を採掘した時期が不明なため、このノエルがいつの時代の人物かは定かではない。
ただRoman収録曲の人物であるため、フランス在住は確かだと思う。
このノエルは結婚する予定があるようだが、おそらく結婚資金の調達のために宝石採掘に行った兄が帰ってこないため、その後本当に嫁げたかは不明。
3. ヴァニスタのギター&ボーカルNoël
Revoプロデュースのもと、VANISHING STARLIGHTとしてデビューした男。
彼は言わずもがな男性だ。綴りもNoëlで、クリスマス由来であることがインタビューから判明している。
ただし姓が不明だ。そのため、同じ名前と性別である1.のNoël Malebrancheと同一人物かどうかを確認する必要がある。
冒頭でも述べたが、私は別人だと思っている。
その理由は、世代と性格が合わないように感じるからだ。
ヴァニスタのデビューは2014年10月1日。
この時のノエルは酒を飲める&一度教職についてから辞しているから成人していることはわかっている。
それに加えて、まだ荒れたところもある若者という雰囲気だ。設定としては20代かな、と思う。
となると、2003年頃は10代、というか子供ということになり、『檻の中の花』の著者になるには幼い。
またヴァニスタのノエルは音楽、特に明らかにロックが好みだ。
劇作家とはイメージが合わない。
したがって、劇作家ノエルとヴァニスタのノエルは別人とせざるを得ない。
劇作家ノエルの方が年上だと思う。
結論
私は、これまで登場してきた3人のノエルはそれぞれ別人だと考えている。
同一人物とするには性別や年代、性格の整合性がとれないからだ。
しかし、血縁関係はまだ否定できない。
兄の帰りを待つ妹ノエルとヴァニスタノエルは姓が不明だ。
またノエル・マールブランシェもミシェルと姓は同じだが、どのような血縁にあるかまではわかっていない。ミシェルとは生きている時代が100年も離れているため、血縁があっても何世代が挟んでいるはずだ。
3人のノエルは別人とはいえ、血縁かなんらかの関係性があるという可能性は残されている。
今後どこかでヒントが出てくると良いのだが。
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マスコット画像:
「Sound Horizon」×「カラコレ」ミニフィギュア(筆者所有)
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他にもSound Horizonの楽曲考察記事を書いています。
更新履歴
2023/10/19
初稿
2024/05/05
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