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青空物語 第11話 希望

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第11話 希望


蒼たちはシップの待合室にいた。
横にはクウもいた。
あれから何日間かをユンと共に農作業しながら治やおばさんと過ごした蒼はナブンに戻るためのシップを待っていた。
ユンと数名の仲間たちも一緒だった。

あれからナルでのここ100年のデーターをクウに移したため途中で何かあるといけないと心配したためだった。

「大丈夫だと思うの」
「まあ、あんたならどこでも大丈夫な気はしているけどね」
ユンは笑いながら言った。
「そう?」
「アオイは意外に強いですから」
「クウもそう思うかー。まあお前がいればなおさら大丈夫な気がしているよ」
そう言ってユンはクウをポンポンとした。

「ありがとうございます」
「クウのスペアは俺も作れそうだから出来上がったら送るよ。そしたらあんたらずっと最強だと思うわ」
そう自信を持って言うユンに蒼は笑って
「ありがとう」と言った。

「これから大変だと思うけど」
「そっちもね」
「まあね、でもこっちには音さんもいるし」
「そうね」
そう答えながら蒼はこの研究がもっと軌道にのった時に治が生きることをどう選択するのだろうと不安になった。
しかし、蒼はその不安をすぐに打ち消した。

『今はまだその時じゃない。今の人の思いと自分の思いを大切に。振り回されずに・・』

「大丈夫、私も連絡できるから」
蒼は笑顔で言った。

やがて、シップが到着したことを告げるアナウンスが流れ、蒼たちはユンに別れを告げ、シップに乗り込む。
座席についた蒼はクウに話しかけた。
「クウはものじゃない?」
「はい、AIですから」
「でも私にとっては家族みたいなものなのよ」
「ありがとうございます」
「で、ものとしておー爺ちゃんの頃から引き継がれてきてるんだけど」
「そうですね」
「そこにはいろいな思いがあって」
「はい」
「おー爺ちゃんはあなたを私たちが生きるために残してくれたんだね。ナルとナブンが一緒に生きていくために」
「データーがありますから」
「うん、そうだね、地球と一緒に生きていくためのデーターもね」
でもそれだけではないと蒼は思った。

クウはAIである。空が青さを取り戻すために蓄積されたデーターはいろいろな人が何かを少しずつしてきたことの証でもあった。その思いをクウは持っていた。そしてこれからもきっとその証を刻んでいくのだろう。


『ナブンとナルの両方がわかるからできることもある。けれど、その場所でできることもある。
私は自分の中とクウの中の証を持って家へ帰ろう。
そして家でまた農地を耕そう』

空は青さを取り戻してきており、地球は回復してきていた。
蒼にはクウがいる。
そして青空を共に求めていく仲間がいる。
そう、それは希望である。


シップからはナルの空が見えた。
それはいつもナブンから見えている空となんら変わりがない空だったが、蒼には青空に見えた。



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少し推敲をしていって直すかと思いますが、一旦これで終了になります。
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