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スローな世界

 糸を績むという行為はとてもスローな時間が流れています。

手を使って何かを生み出すのはとても贅沢なことかもしれません。


手を使って何かを生み出すこと自体、今の世の中ではあまりやらなくなっています。

機械で作られたモノに囲まれているのが当たり前になっています。


麻を使った繊維がだんだん使われなくなってしまったのは機械化ができなかったからというのが理由の一つと言われます。

糸に関わるようになって"紡績"というものが何かを知ったのですが、麻は手績みで糸をつくります。

人が手を使って地道につくるのです。

麻には繊維の方向があって、"アタマ"と"シッポ"があり、アタマからシッポへつないでいきます。

麻糸が丈夫だといわれるのは、繊維の方向を強い部分、強い部分とそろえているからです。

繊維の方向は収穫される段階からずっと意識されていて、

打ち麻の段階になるまでにも何人もの人が関わっていて

ずっとバトンのように受け継がれて手元にやってきます。

だいぶ昔、畑や麻引きを見学させてもらった時に、農家さんがアタマとシッポを意識して作業されていたのを見て感動してのを覚えています。


績んだ糸を使って作品をつくり誰かの手元に届ける、
私も農家さんや間に入ってる人たちからのバトンを誰かに渡しているのかもしれません。








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