12/9日分 わかば色の手紙
なんかワタワタしてて、
Unity1weekの準備したり文藝賞の書いたり
個人事業か法人化するかで迷ったりペルソナ5R買ってきたりしていました。
書くことないから小説でも。
わかば色の手紙
うん、学校は今日も楽しいよ、勉強はそんなに好きじゃないけど、
「おはよう!かおり」
今日もきれいでかっこいいさくらがこんな風に笑いかけてくれるから。
さくらはわたしと同じクラスの女の子、ちょっとだけ他の生徒より成長が早くって背が高くて、さくらが黒く輝く瞳の視線を投げかけてわたしの名前を呼んでくれるだけでもわたしの心はあつくなる。
「もうすぐ修学旅行だね」
この他愛もない話をするこの時間がほんとうにだいすき。
「いっしょのグループだよね」
「うん、二人以上好きなひとどうし」
あ……。好きなひとどうし、そういっちゃったから、わたしは自分のいっちゃったことの大きさにびっくりする。
「あ……えっと」
わたしはうつむく、さくらもそんなわたしをみてちょっと顔を赤らめて目をそらす。
「あ、えと、だれもあまらなくてよかったね」
「そうだね」
こういうわけかたするとときどきだれとも組めない人いるけど、そのときはいなかった。こういうので喜ぶやさしいさくら。
隣通しであるく、さくらの腕が、ちょっとしたはずみで触れる。ときどき、わたしはわざとそうする。さくらも、なにかのはずみで触れるように歩く。学校がもっと広ければよかったのに。そしたらずっとこうやって、さくらと歩いていられる。
「おっ!お二人さんまたいっしょか?ヒューヒュー!アツいね~カップルカップル」
「ちょっと五十嵐!もう……ごめんね?まだ早いじゃない、ねぇ?」
「あ、うん」
さくらは笑った、わたしはちょっとどきまぎする。
まだ、早いって……。まだ……。
ボーッとしてたら教室過ぎちゃった、同じクラスだし授業中だってよくメモ回してもらっていろいろ話すけど、わたしはさくらのこと、知ってるようで知らないことのほうが多いことにさいきん気づいた。
飼っている柴犬が蒸したさつまいもをだいすきで取りあっていること、さくらがやっている図書委員は、みんなに面白い本を読んでほしいのに、字ばっかりの本は人気ないこと(私もちょっと苦手)、さくらのお兄ちゃんが懸賞でだいすきなキャラクターのグッズを当てたこと、こないだ食べたパフェがおいしかったからいつか一緒に行きたいこと、さくら、さくら、は花の名前からもらったんじゃなくてお母さんの産まれた地名で、だけど漢字を桜にしたこと、なんでこんなにわたし知らないことばっかりで、ぜんぶさくらのことを知ったら、わたしおばあちゃんになっちゃうよ。
つぎは算数、はい、さくらはどうどうと手を挙げて、こたえは正解、わたし、小学校のつぎは公立だけど、さくらはどうなんだろう、もし中学一緒でも、それからはどうなるの、だけど、わたしはあまり勉強が好きじゃない、授業中ちょっと寝てた、さくら、置いていかないで。さくら、遠く、行かないで……。
「かおり、寝てたでしょ」
「うん……こわい夢を見たの、さくらが、遠くにいっちゃう……」
さくらは、わたしの髪を優しく触った
「どうして?何が不安なの?あ、そうだ、今日伯母さんが来るんだけど、遊びに来ない?」
「え?いいよ」
さくらは笑った、伯母さん……?迷惑じゃないのかなぁ。
こんにちは、お邪魔します。
学校帰り、さくらのうちへお邪魔する、見慣れた玄関マットに人懐っこい柴犬、「あ、こんにちはー」さくらの伯母さんはすぐわかった、四十代っていうけど若く見える。カッコイイ、さくらに似ている……。
「それにしてもかすみもついにいい人見つけたのねー」
「うん、やっとね」
あ……これ、ちょっと苦手だ、わたしは耳を塞ぎたくなる。
「お相手の写真見せてー」
「いいよー」
さくらの伯母さんは、かわいい感じの同年代女性と微笑んでいた。
え?
戸惑うわたしにさくらの伯母さんは言った。
「この人ね、小学校のときの文通相手、わたしがあなたぐらいのとき、修学旅行先で知り合ったの」
へぇ、そうなんだ。
「こどもだったし……文通は続かなかった、でもこの人が私にくれたわかば色の手紙に、いつか会おうって、ずっと、支えになってたのよ?」
わかる、わたしも。
「ある時ね、私、雑誌の取材受けて……そしたらそれを見たこの人から連絡あって!!で……えっと……」
そしてさくらの伯母さんは顔を真っ赤にした。
次の日さくらとわたしで話した、わたしたちもわかば色の手紙に、いろんな夢を書こう。
そして、わたしたちも伯母さんたちみたいに。
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