逮捕されないためのドローン・サバイバル術
最近、ドローンを飛行禁止区域などで飛ばして「逮捕」されるという痛ましい事件が頻発しています。例えば、こちら。
無許可でドローン 航空法違反容疑で1人逮捕、ポーランドの学生ら3人書類送検
飛行禁止区域で無許可でドローンを飛ばしたなどとして、警視庁保安課は27日、航空法違反容疑で東京都江戸川区船堀5、自称解体工、加賀隆司容疑者(52)を逮捕し、旅行中だったポーランド国籍の大学生(25)ら男3人を書類送検したと発表した。 加賀容疑者の逮捕容疑は、5月9日午後10時ごろ自宅近くの公園で無許可でドローンを飛ばしたとしている。通行人が「急上昇や急降下をさせて危ない」と110番した。保安課によると、加賀容疑者は容疑を認めたうえで「公園など広いところでは飛ばしていいと思った」と供述…(引用先: https://mainichi.jp/articles/20190527/k00/00m/040/060000c )
どちらの事例も、知識不足だったのでしょう。この手の話は以前からあったのですが、今年に入ってグッと厳しくなっているような気がします。では、ドローンはもう飛ばせないのか?そもそも飛行禁止区域ってどこなんだろう?様々な疑問が湧いてきます。
ドローンなど、アマゾンやメルカリでポチッと簡単に買えてしまうこのご時世です。せっかく購入したのに、どこで飛ばせるのかが分からないからお蔵入りという人も増えているのではないでしょうか?誠にもったいない事です。
そこで諦めないドローンユーザは、まず航空法を学びます。これには大きく9つのルールがあるのですが、大きく2つのジャンルに分かれます。一つ目のジャンルは飛ばしてはいけない場所について、二つ目は飛ばしてはいけない方法についてです(図は、国土交通省ホームページより引用)。
(1)許可なしに飛ばしてはいけない場所
飛ばしてはいけない場所については、3つあります。
①空港周辺
②150m以上の高さの空域
③人口集中地区の上空
これら三つの空域では、国土交通省からの許可なしにドローンを飛ばしてはいけません。空港の近くというのは、大体わかるはずです。150m以上の空域も、大抵のドローンには飛行高度が確認できるようになっているため、その上限を超えて飛ばすことはほとんど無いと思います。問題は人口集中地区の上空です。
こちらのサイトの地図から確認できますが(DIDを表示するを☑️)、例えば東京などの大都市中心部はそのほとんどが人口集中地区(DID) として定められています。これは総務省の国勢調査から計算されたものですので、一見人が住んでいないような場所でも、DIDに指定されている事もあります。
そのため、ドローンを飛行させる前には必ずチェックしておかなければなりません。DIDの包括許可(ある期間を通して継続して許可を取る方法)を取っていても、プロペラガードをつけるか、つけないか等を判断する際にも重要な情報です。
(2)許可なしに飛ばしてはいけない方法
次に、許可なしにドローンを飛ばしてはいけない方法が6つ続きます。
④夜間飛行(日の入りから日の出まで飛ばしてはいけない)
⑤目視外飛行(目で見える範囲外で飛ばせない)
⑥30m未満飛行(第三者やその物件に30m以上近づけない)
⑦イベント上空飛行(イベント上空で飛ばせない)
⑧危険物輸送(危険物を運べない)
⑨物件投下(物件を投下してはいけない)
この6つの中で初心者にとっての要注意は、夜間飛行・目視外飛行・30m未満飛行・イベント上空飛行でしょう。危険物と物件投下は農薬散布などに関係してくるルールなので初心者には縁遠いかもしれません。それぞれ説明していきましょう。
まず、夜間飛行から。
初めてドローンを買った人の思考回路を追ってみましょう。「せっかく買ったのだから、飛ばしてみたい。」→「誰かに見られるのは嫌だ。」→「飛ばしているところがバレないよう、夜にこっそり飛ばそう。」という単純な思考。
はい、見事にバレてしまいますね。まず、ドローンは思ったより、音がうるさいです。夜、周囲が寝静まった場所ではなおさら。送信機やドローンのスイッチを入れた時の電子音、そしてブーーーンというプロペラが回転する大きな音、さらにドローンには明るいライト(灯火)があるため、周囲に目撃者がいたら、ほぼ100%見つかります。そして、運が悪いと通報されるのです。
次に、目視外飛行。
DJIなどの空撮用のドローンに少し慣れてくると、空撮をしっかりと行うためにタブレットを注視して、肝心のドローン自体を直接確認せずに操縦してしまうという癖がついてしまいます。これがいわゆる目視外飛行です。この目視外飛行をしていたら、航空法違反です。
また、ドローンを見ていたとしても、直接肉眼で見えないくらいの距離(個人差もありますが、水平距離で200m以上あたりから見えなくなります)、または障害物の向こう側にドローンを飛ばすことも目視外飛行にあたります。
そして、30m未満飛行。
これは、「DIDであろうが無かろうが、ドローンを街中で飛ばしてはいけません!」と言っているに等しいルールです。ドローンから測って30m未満に、「第三者、及び第三者の物件、車両など」を近づけて運用してはいけないと言うものです。その第三者物件の内容が、国土交通省のQ&Aに掲載されております(以下、同サイトより引用)。
A 次に掲げるものが「物件」に該当します。
a)中に人が存在することが想定される機器
b)建築物その他の相当の大きさを有する工作物等
具体的な「物件」の例は以下のとおりです。
車両等:自動車、鉄道車両、軌道車両、船舶、航空機、建設機械、港湾のクレーン等
工作物:ビル、住居、工場、倉庫、橋梁、高架、水門、変電所、鉄塔、電柱、電線、信号機、街灯 等
※なお、以下の物件は、保護すべき物件には該当しません。
a)土地(田畑用地及び舗装された土地(道路の路面等)、堤防、鉄道
の線路等であって土地と一体となっているものを含む。)
b)自然物(樹木、雑草 等) 等
ほとんど、全てですね(笑)。許可なしに、街中で飛ばすことは不可能でしょう。これを知らないと、田舎でも逮捕されてしまう可能性があるわけです。たとえ、自分の家だとしても隣の家や車、物干し竿から、30m以上離していないといけないわけですから。絶対、許可は取って運用しましょう。
イベント上空飛行。
これはドローン少年のお祭り落下事件などが、思い出されます。
小型無人機「ドローン」を国会議事堂近くに持ち込むなどしていた横浜市の無職の少年(15)について、警視庁は21日、浅草神社(東京都台東区)の三社祭でドローンを飛ばすとの発言をインターネット上に投稿したとして、威力業務妨害容疑で逮捕した。捜査関係者によると、少年は、三社祭でドローンを飛ばすとの発言をネットに投稿し、奉賛会に警備を強化させるなど、通常の業務を妨害したとしている。奉賛会は墜落事故を防ぐため、ドローンの使用をしないようホームページや会場で呼びかけていた。この投稿を受けて、会場周辺や少年の自宅付近を警戒していた捜査員が15日午後、千代田区紀尾井町の清水谷公園で、ネット中継をしていた少年を発見。ドローンを取り出したところで職務質問をして、厳重注意のうえ母親に引き渡していた。(引用: https://www.sankei.com/affairs/news/150521/afr1505210008-n1.html)
この他にも、ドローンで菓子まきを行っている最中に人混みの中にドローンが落下して大惨事となった大垣事件などがあります。これを受けて国土交通省が、イベント上空飛行の規制をさらに厳しくした事は、関係者の間では伝説となっています。
せっかく買ったドローンで、おらが町のお祭りを空撮したくなる事は理解できます。頼まれることもあるかもしれません。しかし、しっかりと許可を取って行わないと、思わぬ事件になってしまう可能性があるという事を覚えておかなければなりません。
以上、初心者が陥りやすい航空法の勘違いやミスリードをご紹介しました。
これらの9つのルールは許可を取れば、撮影可能になるわけですが、この国土交通省の許可を取ってもなお、民法違反で訴訟される事があります。他人の土地の上空で許可なくドローンを飛ばした場合です。
民法第207条と上空の権利
土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ。
民法の決まりでは、土地所有者はその土地上空に権利を持っているため、勝手に第三者の土地上空で飛ばすことは民法上、グレーなのです。150m以上の空域では、許可された飛行機やヘリコプターが飛行していますが、そこよりも下の領域については空港などの特別な場所を除いて、土地所有者の権利が及びます。
そのため、ドローンユーザは好き勝手に他人の土地上空でドローンを飛ばすことはできません。その場合、最悪訴訟されてしまうことがあるかもしれないのです。プライバシー侵害、騒音、物理的侵入、墜落リスクなど、訴訟される要因は多岐に渡ります。
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千葉・富津 ~直線距離500m超で目視外飛行も~(Unlimitedは期間限定)
( https://note.com/sorashare/n/n9b64cb42193f )
思いっきり飛ばせる、ドローンの聖地・佐賀県小城市。( https://note.mu/sorashare/n/n3d58df4b4a74 )
土地所有者の方へお願い
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