そらQラジオ_20

そらQラジオ_第20回【text】(2020年2月14日) テーマ:ファシリテーションの可能性⑤

そらQラジオ【text】ではラジオの内容を整理してお届けします。第20回は肝付町 保健師の能勢佳子さんの最終回。(能:能勢さん、永;永山)

< 要点メモ >
・医療・介護現場でのファシリテーション:命に関わることを決める時に、専門職だけでは決められないことを前提に、本人にとってのベストを皆で考えていく事
・ファシリテーションの対話を通して、自分もチームも整理されていく。「正解」はみんなで探り当てていくもの。


専門職と本人が対等にベストを決めていくためのファシリテーション

永;医療や介護に関わる部分では、「困っている人を助ける人」という構図が生まれやすいです。これってファシリテーションの「対等の立場で一人一人が参加し、共にゴールを目指していく」というのと若干ズレがありますよね。
能;そうですね。福祉とか医療は、命に関わる部分があるのでお任せします!ってよく言われるんですよ。
永;僕も先生を信頼してるので、先生の判断に任せまーす!とかかよく言っちゃいます(笑)
能;癌でも認知症でも、自分で決定・納得したことを踏まえて生きていきたいという声もあります。実際は専門知識がないと、自己決定できないんです。そうなると医者や介護の専門にお任せすることになってしまうのです。でも、専門職と話をすることで、色々な技術や情報、方法がわかります。生きていきたい方向性と、どうするのが良いかというのを、皆で知恵を出し合いながら、生き方を決めていく。どれがその人にとってベター、ベストなのか。専門職だけでは決められないという事を前提にすることが、ファシリテーションの技術なのかなと思います。
永;同じような問題が街でも起きています。 あと10年後に存在するかわからない地域に入らせていただく時、必ずしも地域づくり頑張りましょう!というのが最適ではない場合も沢山あります。そういう時、資金とか関係人口を増やすとか、地域の魅力を発信するとか、そういうスキルセットだけで、どうにかなるものではありません。


対話を通して、自分もチームも整理されていく

永;医療介護の現場に限らず、行政でも、専門職という立場が「正解を持つ人」という前提で扱われることが多いと思います。この壁を乗り越えるのは、正解がどっかにあるはずだという自分の中での葛藤というか、自分の軸をずらさないスタンスですね。
能;これでいいんだろうかという葛藤と不安を一人で抱えるわけではなく、みんなで抱えようとできるのが、ファシリテーションではないかと思うんですよ。だからこそ、グランドルールがあり、物事を客観的に見る、目的を持つ、みんなで探り当てていく。正解なんてないから、最初から整理できてる人なんて誰もいないはずです。対話していく中で自分の中が整理されて、チームの方向性が整理されていくのは、すごく大事なことで、ファシリテーションの力だと思います。
永;「対話」の可能性の話にもなりますね。前編で、介護保険制度が始まった時、どう支え合うかをみんなで対話する場が必要という話がありましたね。今回は、一人一人の暮らしや生き方をどう扱っていくのかという所にこそ、制度を超越して対話が必要というところに行き着く。これからの日本、鹿児島、九州、地域を考えると一人一人の道をどう見つめていくかの支援が必要になってくるということですね。
能;永山さんとこうやって対話したことで私もそれに気づかされたような気がします。ありがとうございました!


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