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【エッセイ】「四国なめんなよ~!」って言われた(ような気がした)話
10年以上前、夫婦で小さな車に乗り、四国を一周しました。
目的はやっぱり、
「讃岐うどん、かつおのたたき、鍋焼きラーメンなどの美味しいものをたくさん食べたい!四万十川の清流を一度でいいから見てみたい!自然の中で癒されたい!」
……。
すみません。ちょっと浮かれてましたね。
…だからだったのかも。
そのとき、ちょっとだけ不思議な体験をしたんです。
今回はその話を書こうと思って、古い記録と写真をひっぱり出してきました。
![](https://assets.st-note.com/img/1673778709970-Tf2omvmTgH.png?width=1200)
四国の印象はとにかく、
「何を食べても美味しい!」
「自然が多くて気持ちがいい!」
と、今でも「もう一度行きたい土地ランキング(自分調べ)」の中で上位なのですが…
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ああ、今でも食べたくてたまらないものばかり…。
いくらでも旅の話ができそうですが、今回は旅行記ではないので、先を急ぎます。
そんなパーフェクトな四国ですが、ちょっとやっぱり、…なところもあります。
言いにくいのですが…なにかというと…
「山道がこわい。」
四国に行ったことがある他県の方は、ブンブンと首がもげるほどうなずいていると思います。
夫婦で大好きな「水曜どうでしょう」(大泉洋さんの北海道のバラエティ番組)の影響で知ってはいたのだけど…
とにかく細い!そして急!
当然一方通行ではないので、時々来る対向車とすれ違うのですが、この時、どちらかが退避スペースがあるところまでバックしなければならないのです。
これがまたスリル満点!…というより、もはやかなりの恐怖なのです。
何でかというと…
すぐ横が、断崖絶壁だから。
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しかも
「え?ガードレール…??なんすか、それ?」
っていう感じで、もうそのまま、断崖絶壁です。
右手はそびえたつ崖。左手は転げ落ちそうな斜面…。
走っていると、とにかくそんな道が多いのです。
「やっと二車線の道に出たね~」
とホッとし、食べかけのポテチの袋に手を突っ込むと、それを口に入れるころにはまた一本道に戻ってる…そんな感じです。
そして旅の三日目。
私達は高知県と愛媛県の間にまたがる「四国カルスト」へ行きました。
標高1000~1500メートルで、「天空の道」と呼ばれるくらい美しい、ドライブルートがあります。
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牛が放牧されていて、白い石灰岩がぼこぼこ。普段なかなか目にできない、牧歌的な風景に癒されます。
私たちは、ガイドブックで見た「ペンションもみの木」に行きました。
自家製アイスクリームとチーズケーキ!
びっくりするくらい美味しかった記憶があります。
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四国カルストを満喫した私たちは、お店の方に「愛媛の方に下りたいんですけど…」と道を聞きました。
高知県側から登って来たので、その日の宿泊先がある道後温泉まで、山道を下りていく予定でした。
ナビもあったけど、念のため。慎重な性格なので…。
「絶対に暗くなる前には着きたいね」と、早めに出発。
細い細い山道を、下ったり、時には少し登ったり…
「うわ!対向車だ!!」
自分たちが下がるときは、私が窓から顔を出して、崖との距離をダンナに伝えて誘導。
「あと端まで20センチくらいだよ…あ!もっとゆっくり行って…!!」
「え?!10センチ?!」
「違う!20センチ!!」
そんな緊迫したドライブの合間には、もちろん景色を楽しむ瞬間もありました。
「日本昔ばなしみたいだね~」
少しひらけたな、と思ったら現れた、古い集落。
普段身近にないような景色も、旅の醍醐味の一つですよね。
「だいぶ降りてきたね」
そろそろ町が見えてくるかな?
山道を下り…
時には登り…
山道を登り…
………あれ?
「なんかさ、ここ、さっき通った気が…」
「日本昔ばなし」みたいな、集落。
気のせいだよね?似たような集落だよね??
山道を登って…
登って…
…
……
………!
四国カルスト!!!
![](https://assets.st-note.com/img/1673681733815-MQ4cc2la3v.jpg?width=1200)
私たちは一時間位かけて、また元の場所に戻ってきてしまったのです。
「ペンションもみの木」も、もう閉まってる。
![](https://assets.st-note.com/img/1673790354948-AFeXqUCK57.jpg?width=1200)
辺りは薄暗くなってきていました。
道もちゃんと聞いて、そんなに難しい道でもなく、ナビもしっかり見ながら走ってたのに…間違えたポイントはどうしてもわからず…。
ナビの設定で、私たちの車が動くと、画面上には黄色いTシャツを着た小さなゴリラが、道をトコトコ歩きます。
「ちょっと、どこ歩いてんのよ?!」
って怒っても、のんきにトコトコ、歩きます。時々ナビが現在地を見失うと、ゴリラが空中を飛んでたりしてて、かわいい。
…とか言ってる場合ではありません。暗くなる前に、細い山道は下りたかったのに…。
「リアル日本昔ばなし」みたいに、何かに化かされているような気がして、私たちはちょっと、怖くなってきました。
また一時間走って、もう一度もどってきちゃったらどうしよう…。
でもそれを口にしてしまうと、もっと怖くなるような気がして、私たちはナビのせいにして、もう一度、道をよく確認してから出発しました。
車内では元気よくお喋りしながら、カーステレオに入れてあったマッキーの曲を少し大きめに流して、一緒に歌ったりして、会話の合間を無理やり埋め、暗くなった四国の山道を下りていきました。
「あ…またあの集落…」
本当に合ってるの?この道でいいの??
だいぶ走って、だいぶ不安になってきたころ…
「あっ!!光が見えるよ!」
暗闇の先に、街の明かりが…!!
![](https://assets.st-note.com/img/1673696830028-Wox1OepUx6.jpg?width=1200)
もうもう、ほんとーーーっに、ホッとしました!
![](https://assets.st-note.com/img/1673771804360-nS6awJUDiq.jpg?width=1200)
このときほど、街の明かりの有り難みを感じたことはありません!
まだ少しドキドキしながらも、日が暮れた街を散策。
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結局、どこでどう間違えたのかは今でも不明ですが、とにかく無事に到着。
やっぱり、何かに化かされたのでしょうか…。
でも私たちは、遠回りさせられたことで、きっと何かに助けられたのかも…と勝手に思っています。
それとも、
「四国、なめんなよ~」
と、クスクス笑いながら、ちょっといたずらされたのかな…?
![](https://assets.st-note.com/img/1673780057452-Hk4Hcr0TUf.jpg?width=1200)
もしかして、謝ってもらえた…?!
#私だけかもしれないレア体験
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