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食の風景「鶏好きさんへのかしわ御膳」

 例年になく肌寒さの内に始まったゴールデンウイーク。寒暖差もあって、体調管理は大丈夫かしらと思う。私は太陽を浴びて風を受けて自然に触れて今日も元気。
 さてこんな日は、じっくり体に染み渡る和食が食べたいと思い立つ。ソテーにでもしようと解凍していた鶏むね肉が二枚。ご飯も炊こうと思っていたところ。よし、献立変更だ。

 一品目は「かしわめし」
「かしわ」とは鶏肉のこと。炊いたご飯に鶏と具材を混ぜた料理がかしわめしなんだとか。けれど私はごはんの鍋で具材も一緒に炊き込みたいの。細かな決まりごとが無く、自由に作って良いのがお料理の楽しいところ。美味しい料理に仕上げるために、いつだって自分にとって楽しい方を選ぼうと思う。食器棚の戸棚から、出番だよとごはんの鍋を取り出す。

 材料は
米三合に黒米と麦。
鶏むね肉の皮を出汁のつもりで小さく切って、むね肉は一枚の三分の一。
人参とえのき。
そうだ、季節もので父さんが沢山摘んで来た蕨があった。灰汁抜きしてお浸しにしてあるから、炊き上がったご飯に混ぜてみよう。
鶏皮には軽く塩をふって、味付けは酒、みりん、醤油。うまくいきますように。

 まだごはんの鍋の説明書が手放せなくて、時間を見ながら火を調節。火を止めて蒸らしたら、いよいよ蓋を取って確認。なんていい匂いでしょう!

鶏のお出汁と醤油の香ばしさが堪りません
蕨を足して混ぜたところ。ピンボケは御愛嬌


 二品目は「鶏むね肉と野菜の炊き合わせ・和風だしあんかけ」

 材料は
鶏むね肉一枚と三分の二。
今日は牛蒡の気分。
色バランスを見て人参は外せない。
後は冷蔵庫にあるから大根にしよう。
さっき使ったえのきの残りは出汁あんに混ぜて使おうかな。
 
 鶏むね肉は鉄のフライパンで酒蒸し焼きに。野菜は片手鍋で茹でて軽く塩味をつける。フライパンに残る鶏出汁へ酒みりん醤油を入れて、茹で野菜を味付け。ぐつぐつ。鍋で作るより洗い物が一つ減って楽しちゃった。
 この間に野菜を茹でた片手鍋で餡作り。出汁の素と水を入れ火にかける。片栗粉を水で溶いておき、沸騰したら火を止め、だまにならないように出汁をよくかき混ぜながら片栗粉を少しずつ入れていくと、あっと云う間にとろみが出て餡に。
 フライパンから野菜を取り上げたら鶏出汁が残る。これを餡に混ぜれば、美味しい鶏出汁餡の完成。鶏も野菜も、無駄な所は何も無い。余すことなく使えたかしら。

蕨で隠れたけれど白胡麻をふっている


 三品目は箸休め「長芋の酢漬けライム風味」

 材料は
長芋とライムだけ

さいころ大に切った長芋に塩を振って穀物酢を被せる。そこへスライスしたライムを散らしておしまい。後は冷蔵庫へ寝かせておく。これで日を追うごとに味が馴染んだ美味しい酢漬けが出来るなんて、お酢ってやっぱり凄いといつも感心してしまう。今日はライム風味だった。きっと香りも爽やかに出来る。楽しみだ。

見た目も爽やか。季節の逸品にぴったり


色合いが似たり寄ったりだけど、お味は最高。かしわめしと出汁あんがとくに上手に出来て嬉しい。こうしてたまに想像以上の料理が仕上がると、自分もやればできるじゃないってちょっと自信になる。実は今日、家族の一人の誕生日。これはその御祝のつもり。それではおいしいかしわ御膳を召し上がれ。

いただきます
こちらが夕食バージョン

 わが家の鶏好きさんも納得のお味だったようで何より。和食っていいなあ。改めてそんな事を思う昼下がりのお台所だった。
「ごちそうさまでした」

                       文と料理と写真・いち




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