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食の風景「薫る風の朝食」

 夕べの雨が新緑に滴って瑞々しい輝きを放っています。全国のお天気は―今日も心晴れです。

 日々淡々と暮らしていようと思っても、時には気合を入れて臨まなければならない週があったりします。そういう朝こそ、栄養満点で、自分を鼓舞するしっかり朝ごはんが食べたいです。しかしそうかと言って朝の限られた時間に何品も作るのは難しい。ここは無理をしないのが一番です。

 基本はワンプレート。お皿を替えるだけで雰囲気が変わります。そこに、例えば前夜のおかず。これをちょこっと足して先ず一品。それから野菜は、洗って千切ってするだけでも十分。彩りも良くなります。生野菜が体質に合わない人は温かいスープは如何でしょう。味噌味、塩味、トマト味。スープの万能ぶりは世界共通、お料理の心強い味方です。それから果物は欠かせません。季節を味わうと同時に、私には重要なビタミン源です。あともう一つ欠かせないのがナッツ類です。私は胡桃とカシューナッツとレーズンにきな粉と黒胡麻をかけて頂きます。胡麻がプチプチ潰せる迄よく噛んで食べる事を意識しています。糖分が不足している時は蜂蜜やメープルシロップをかけたりもします。

 どれも凝ったものではありませんが、お皿の上は賑やかに、豊かな色合いが自分を盛り上げてくれます。これで一日元気に過ごす事が出来ると思うと、それだけで嬉しいのです。

 他に朝ごはんへ加えるなら、卵料理でしょうか。朝一品は作ろうと思うと、卵料理が多い様です。例えば出汁巻玉子。ボールへ卵をぽんと割り入れ、基本の味付けはだしの素と水、塩を入れるだけです。茹で玉子なら片手鍋で一度に幾つか作って数日持ちます。スクランブルエッグ、オムレツ、目玉焼き・・・卵一つでバリエーション豊富に味わえる、なんて素晴らしい食材でしょう。

 それでは今朝も「いただきます」。

旬野菜のズッキーニが初登場の朝ごはん。ごろっと野菜のとまとスープも美味。


自家製お餅とあんこ。舞茸と南瓜が醤油炒めで仲良しになりました。


和食を味わいたい朝。器で気分を盛り上げます。庭から木の芽を摘んで来ました。


庭へ自生している冥加の若いのを父が間引いて酢漬けに。私はこっちが好きです。


 実は私、今でこそこうしてもりもり旺盛に朝ご飯を頂いていますが、20代前半まで、朝ご飯は殆ど食べられない人でした。特に10代の学生の内が酷く、六枚切りや八枚切りの食パンの四分の一を飲み物で無理矢理流し込む様にして登校するのが精一杯でした。食べられる日はウインナー1本だとか卵焼き一切れ分を足す程度だったと思います。何しろ低血圧で、朝ほどしんどい時間はないと常々思っていました。毎朝食事を用意してくれる母には本当に申し訳ない事をしました。

 それから少しずつ生活が変わり、朝の過ごし方が変わって、自分の体質によく耳を傾けることで、段々と今のような朝ごはんが整えられていきました。生活習慣と食事内容は密接な関わりを持っています。自分に合った習慣、食材、調理方法など、一つ一つ見つけられると、日々はもっと過ごしやすくなります。

 何より食べることは楽しい時間を過ごす事と教えてくれたのは両親です。無理をしない、楽しい嬉しいと思える朝ごはんをこれからも大事にしたいと、そんな風に思います。

今日も美味しいご飯をありがとう。
「ごちそうさまでした」


                      文と料理と写真・いち



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