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食の風景「ごはんの鍋と仲良くなりたい」


春の始まり、わが家のお台所に素敵な道具が仲間入りしました。その名も「ごはんの鍋」。近頃すっかりお世話になっている、かもしか道具店さんの商品です。

わが家の炊飯器は古く、ガスタイプのものです。それも一升炊きの大きなものなのです。大家族のうちはこれで丁度良かったのですが、みんな順番に巣立ってゆき、一度に炊くのは三合となった今、持て余し気味の炊飯器でした。さらに内釜が、そろそろ寿命を迎えており、買い替え時であったのです。

新たに買うとしたら、どんなものが良いだろう。そう考えた時、電気炊飯器は真っ先に思い浮かびますが、自分が使う姿が想像出来ません。何かもっと、しっくり来る物はないだろうかと、折に触れては考えておりました。そんな時、かもしか道具店さんのサイトで出会ったのが、「ごはんの鍋」でした。商品の紹介記事を読んで「これだ!」と思いました。ですが即決で買うのは禁物です。私は黒米を入れたご飯や炊き込みご飯、お赤飯なども作ります。それらが全て作れるものか、白米と遜色なく出来上がるものか、確認しなければなりません。問い合わせてみようかなと思いましたが、サイトの記事の中に、実際にこの鍋で炊き込みご飯や赤飯を炊いた記事がありました。これは心強いです。見事に不安要素が解消されました。新しい道具を買う時、何より気になるのが使い勝手、自分の生活に馴染むかどうかですから、実際に使ってみた話はとても参考になります。これで安心して購入に踏み切れました。

鍋のサイズは一合から三合炊きまで揃っており、色は三色あります。わが家ならば、三合炊きが良さそうです。色は迷った挙句、ご飯が引き立ちそうな黒色に決めました。注文してからの数日間、到着の日が待ち遠しくてなりません。土鍋でご飯を炊いた経験はありませんが、説明の通りにやってみれば大丈夫と、わくわくが募るばかりです。元々食いしん坊な私ですが、この時程ふっくら炊けたご飯を想像してはにやついた日々もなかったろうと思います。

そうしてとうとう届いた「ごはんの鍋」です。これから仲良く、長い付き合いを致したく思います。説明書きに或る通り、先ずは「目止め」を、米の研ぎ汁を使って行いました。

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下の写真に写る紙が、箱の中に同封されていた説明書きで、ごはんの炊き方も分かりやすく簡潔に書かれています。これさえあればいつでも美味しいごはんが炊けます。失くさない様に鍋と共に保管する事に決めました。

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夕食を作る段になって、遂に炊飯開始です。先ずはお米を研いで分量通りの水へ二十分つけておきます。水温によって多少前後すると思います。それから強火で十五分程、蓋がコトコト、あぶくぶくぶくになったら弱火で五分。火を止めて、二十分蒸らします。この時決して蓋を開けては不可いけません。ご飯を炊く時は、蒸らす、の作業がとても重要ですね。野外キャンプの時の飯盒炊飯も、直火から下ろして蒸らしてから蓋を開けていたのを思い出します。外で食べるご飯は格別ですから、家族で毎年恒例であったキャンプの思い出は、今でも色濃く私の心に残されています。

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蒸らすのは鍋敷きの上でも出来ますから、コンロが二台でもその他の料理を作るのに何も問題ありませんでした。今晩のおかずの皿と共に食卓へそのまま運びます。並べて、何だか絵になります。さあ、上手く炊けているでしょうか。胸が高鳴ります。

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上手に炊けました。粒の際立って、ふかふかご飯の甘い様な、香ばしい様な香りが辺り一杯に広がります。先ずはおはつさんを装って、仏様に運びます。それから自分たちの茶碗に装いで、愈々いよいよ実食です。

看板に偽りなし。とにかく、美味しい。この一言に尽きます。これから毎日お宿で頂く朝ごはんの様な優しいご飯が食べられるのかと思うと、嬉しさに顔は綻びっぱなしです。保温性もあり、食事の間中温かいご飯が食べられました。

それから二回目は、いきなり炊き込みご飯に挑戦しました。きのこの水分を鑑みて、水分量を調節していざ調理。

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ごはん自体は上手くいきましたが鍋の底を一部焦がしてしまいました。十五分強火で炊いた後、火の入りが心配で火力を弱めなかったのが原因です。いきなりやらかした訳ですが、ここで焦って無暗に擦っては鍋が駄目になってしまいます。ぬるま湯を張っておいて、棕櫚たわしやスポンジの柔らかい方で落とせるだけ落として、その日は一晩重曹水に浸けておきました。翌日もう一度擦ると、後は残りましたが焦げ付きは奇麗に取れました。何事も経験として、今後の参考にします。


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そして四回目。ようやくいつもの、一晩水に浸けていた黒米と麦入りのご飯を炊く事が出来ました。この鍋で炊くと、一粒一粒が自立して、ふっくら、しっかり炊き上がります。時間を守れば焦がす事もありません。どうやら少しずつごはんの鍋と仲良くなってきたようです。そして不図ふと気が付きました。これまでは柔らかいご飯が好きだからと、大体一合分水を多めに入れて炊いていたのですが、そんな必要が無くなりました。水が多いと柔らかいけれど粒が潰れます。見た目があまりよくないけれど、硬いご飯よりはと思ってそうして来ましたが、この鍋で炊くのなら書いてある通りでふっくらもちもちご飯の出来上がりです。因みに、黒米と麦を入れる場合は50㏄足しています。追加する食材によって適量が在ると思いますが、これから順番に作っては、美味しい加減を覚えていこうと思います。

(別の日は、黒豆茶を飲んだ後の黒豆も一緒に炊きました)

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 とっても美味しいごはんが炊ける「ごはんの鍋」。ようこそわが家のお台所へ!私はもっともっと仲良くなりたい、そんな素敵なお鍋なのでした。

                        文と料理と写真・いち



※参考に、かもしか道具店さんのサイトトップと「ごはんの鍋」のページを貼り付けます。中川政七商店さんのサイトでも販売されています。





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