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ノルウェイの森

ノルウェイの森

村上春樹 1987

「世界中に君以外に求めるものは何もない、何もかもを君と二人で最初から始めたい」

37歳の僕はハンブルク空港に着陸した機内で「ノルウェイの森」のメロディーに直子の記憶を呼び起こされる。僕が大学に入学した1968年のある日、自殺した友人キズキの恋人であった直子と偶然再会する。一年後、直子の20歳の誕生日に彼女と結ばれるが、直後に直子は失踪し、京都の山中の精神療養施設、阿美寮に入る。ちょうどその頃、僕は同じ大学の緑と知り合い、緑の家を訪ねた際、親密な気分のままキスをする。死の静寂の世界を象徴する直子と、瑞々しい生命感を発散させる緑。僕は直子を外の世界に連れ出そうとしながらも、緑の存在が抗しがたい大きなものとなっていることを自覚する。直子から手紙が来て僕は阿美寮を訪ねた。同室のレイコがギターで「ミシェル」「ノーホエアマン」「ジュリア」などを弾いた。そして直子のリクエストで「ノルウェイの森」を弾いた。やがて直子は深い森の中で自殺してしまう。僕は激しい混乱と彷徨ののち、上京してきたレイコさんと直子の葬式をやり直す。レイコさんは知っている曲を弾いていった。そして50曲目に「ノルウェイの森」を弾いた。

緑に電話で告げた。
しかし、自分のいる場所がどこか分からなかった。


自分達が生きているこの現実世界は、偶然この形をとっている。不思議な出来事がきっかけで、この世界を彷徨い、僕たちは再生されていく。
現在は過去と繋がっているから、今の気持ちを表現しても、遠い昔のことを描いている。
「過去・現在・未来」忘れられない過去を乗り越えて、今を生きる。

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