爽籟蜜柑(そうらいみかん)

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爽籟蜜柑(そうらいみかん)

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最近の記事

ABC 予想の不等式をビジュアル化してみたら、美しくて感動した。

昨今話題の ABC 予想に出てくる不等式 c > rad(abc)^(1+ε) を可視化してみたらどんな感じなのかなと思って、プログラム書いて f(x,y) = c - rad(abc)^(1+ε) (a = |x|, b = |y|, c = a + b) の様子を出力してみました(ε = 0.001)。動画作ったのでこちらをどうぞ。 美しい…… c - rad(abc)^(1+ε) の値が負なら、黒~青~白、 c - rad(abc)^(1+ε) の値が正で、

    • ペアノの公理から足し算をしっかり作る 【1ページ数学帳】

      ペアノの公理から足し算を作るときのもやもや感 ペアノの公理から私たちが普段「自然数」と呼んでいるものを構成できるのは有名な話。1 + 1 = 2 を証明したりね。 でも、この手の話題で出てくる足し算の定義 自然数上の加法 + を次で定める: n + 0 = n n + s(m) = s(n + m) を見ると、なんかもやっとするなー、と感じたりしませんか? だって…… これ、本当に well-defined なんでしょうか? 「いやいや、まず各自然数 n ごとに自然

      • トマエ関数がいたる所微分不可能であることの証明

        トマエ関数(Thomae's function)。別名ポップコーン関数。実数から実数への関数なんですが、有理数の点では不連続でありながら、無理数の点では連続という変な関数です。 ただこの性質自体は、微分積分学の教科書の演習問題にしょっちゅう出てくるし、ネット上でもいろんな人によって解説されてます。かくいう私もYoutubeで説明してたり... 無駄に編集凝ってるので見てくれるとうれしみ。 で、この記事では連続性については横に置いといて、トマエ関数の「至る所微分不可能」と

        • 高木曲線は [0,1] 区間で長さ無限大

          前回の記事で、高木関数が連続であることと高木関数が至る所微分不可能であることを紹介しました。今回は高木関数の長さについて考えてみましょう。 高木関数って何だっけ?三角波関数 に対して、それを(原点を中心に)1/2 倍に縮小した関数 を考え、更に 1/4 倍に縮小した関数 を考え、更に 1/8 倍に……というようにどんどん縮小した関数を考えて、それらを全部足して作られる関数 が高木関数でした。グラフは、はじめは(n=0 までの和) となっていたのが、次の n=1 ま

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          至る所微分不可能な連続関数「高木関数」

          1901年、日本の代表的な数学者の一人、高木貞治先生が、至る所微分不可能な連続関数を発表されました。それは次のように表される関数です。 ここで γ は という関数です。 この関数 T は連続関数であるにもかかわらず、微分可能な点が全く無いという奇妙な関数です。今は高木関数(Takagi function)や高木曲線(Takagi curve)などと呼ばれています。 ちなみに、至る所微分不可能な連続関数として最初に発見されたのは1872年の Weierstrass 関数

          至る所微分不可能な連続関数「高木関数」