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「人生とは、登山ではなくダンスだ。」|『嫌われる勇気』


最近、自分はなんのために生きてるんだろう、とそんなしょうもないことを考える機会が多く、立ち寄ったブックオフで見つけたこの本読んでみました。

ロングセラーのこの本を読むのは少々今更な気もしますが。読んでみると、まさに最近考えてたことに当てはまることが多くて驚きました。

例えば、

健全な劣等感とは、他者との比較の中で生まれるのではなく、「理想の自分」との比較から生まれる(92ページより)

「劣等感」と聞いて、どのようなイメージを思い浮かべますか。

あの子は可愛いのに私はこんなにもブサイクだから劣っている。
兄は地元で有名な進学校へ行ったのに、弟の俺は底辺校に通っているから劣っている。
友達はみんな高身長なのに、僕だけ低身長だから劣っている。
親友のあの子は超有名大企業に勤めているのに、私は給料の低い小さい会社に勤めているから劣っている。

こんなような気持ちを、誰しもが一度は抱えたことがあると思います。とにかく、劣等感に対して我々はネガティブなイメージを持ってしまいがちです。

しかし、この本が言うところによれば、それは健全な劣等感ではないということです。
性別、年齢、外見、国籍、経験など人間が持っているのもは全く異なっており、それを比べることはできない、と。そして私たちはみな「対等」である、と。

では、私たちが持つべき「健全な劣等感」とは何か。

それは、「自分の考える理想像に対して劣っている、向上しなければならない」と考える気持ちのことなのだそうです。

たしかに、競争社会にいる私たちはいつも何かにつけ他人と比べ、さらには他人によくみられようと見栄を張ってしまいがちです。しかし、私たちが違っているのは当たり前であり、それに善悪、優劣はないのですね。そんなことばかり気にしていては、他人に見られるための人生を歩むことになります。一生自分に対して嘘をつき続けるわけです。そんなの辛いですよね。

かくいう私も、最近同じようなことを考えていました。今までの私は、他人によく見られたい、強くて頼れるかっこいい女性だと思われたい、なんでもできて尊敬できる人だと思われたい、と思っていました。人にどう見られるか、を気にして本当の自分を見失っていた気がします。

でも、あるとき気づいたんです。

そんな人生何が楽しいのだろう、と。

私は自分の人生を生きるためにこの世に生を授かったわけで、他人にすごいと思われるために生まれたわけではないと。それに気づいてからは、だいぶ楽になりました。もう他人にどう思われてもいいやって。この本を読んでから、一層その気持ちが強まりました。


もう1つ、私の印象に残ったのが、

線のように映る生は点の連続であり、すなわち人生とは、連続する刹那なのです。(264ページ)

人生を何かに例えるとき、何を思い浮かべるでしょうか。

「登山」のように、山頂であるゴールに向かって努力する道を登り続けるものだ、と言えると思います。たしかに、人にはそれぞれ夢があって、その山頂に向かって歩み続けることがよしとされている雰囲気があります。

しかし、この本によれば、人生は線のように続くものではなく、その一瞬、一瞬、すなわち刹那の集合体だと。だからその時その時を一生懸命ダンスするように生きるべきだというのです。

人生を登山だと捉えたとき、山頂に上がることができなかったとき、すなわち目標を達成できなかったとき、その人生は間違ったものになってしまうのでしょうか。
歌手になることを夢見て生きてきた人が、その夢を絶たれたとき、全ては無駄になってしまうのでしょうか。

たとえ目的を達成できなかったとしても、その努力は確実に意味のあるものだであるし、歌手という形ではなく、違う形で努力した経験が生きてくるかもしれない。

だから、私たちは「いま、ここ」を懸命に生きるべきであると、この本には綴られています。

今まで人生を線だと捉えて生きてきた私にとっては目から鱗でした。
しかし、登山の人生よりもダンスの人生の方がなんだか楽しそうですよね(笑)目的を達成するためにコツコツと努力することがよしとされている気がしますが、そうではなくて、私たちが直面している今この一瞬に全力を注ぐ。一生懸命踊る。そうしたらいつか、気づかないうちに1つの作品が作られている。

そう考えると、何かを途中で挫折した経験も、好きな人に振られた苦い経験も、全てが意味のあることに思えてきます。とにかく、未来や過去のことを考えるのではなく、「いま、ここ」を精一杯に生きるべきなんですね。


この本に書かれていることは、頭では理解できても実際に行動に写すのは難しいかもしれません。実際に、ここに書かれていることを実現させるには、今まで生きてきた時間の半分を要すると書かれています。だから、今21才の私には、約10年を要するということですね。

しかし、今までこの社会で生きてきた中では考えてことのなかったような人生の捉え方が綴られていて、私たちはもっと自由に生きていいんだ、と気づかされました。

人生で読む時々によってこの本の捉え方は変化してくると思います。約10年後、30才になったときの私がどう感じるのか、とても楽しみです。


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