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何年ぶりかに見つけた本を読んでいたら

ここのところ、ちょっとずつ仕事部屋の整理をしている。先週、本の山の中から、OLYMPUS  PENについてのムックが出て来た。
ちなみに、自分は結局デジカメのOLYMPUS PENは購入していない。しかし、好きな田中長徳氏の本ということで、この本を購入した。

そして、この本を枕元に置いて、何度か読んでいるうちに、OLYMPUSのニュースがやって来た。そして、今日の田中長徳氏のnoteがOLYMPUS  PENのこのムックについての話題であった。

田中長徳氏の本というのは、かなりの冊数を購入している。
最初の出会いは、1990年代中頃だったと思う。
その頃、住んでいた街の隣街にあるとても居心地のいい図書館が、休日や空き時間の居場所だった。ある日、そこで書架をグルグル回っているとこの本に出会う。

すぐに田中長徳氏の本ではないところがまどろっこしいが、やっぱり避けては通れない。この本を読み、赤瀬川原平氏にはまり、そして中古カメラウイルスに見事感染してしまった。この本の内容自体は、日本カメラに3年間連載されていたものをまとめたものである。そういうことを知ると、日本カメラという雑誌が気になって来る。雑誌の書架に向かうと、日本カメラとそしてアサヒカメラが並んで置かれている。そこから、カメラや写真に興味を持つようになる。と同時に、子供時代に我が家のカメラとして使っていたヤシカエレクトロ35を普段使いのカメラとして使うようになった。

赤瀬川原平氏の本を遡って読んでいると、トマソンというものに出会う。そして、世間は丁度「老人力」が大ブームになっていく。

図書館にあった赤瀬川原平氏のカメラに関する本を一通り読んだら、その隣に「銘機礼賛」が置かれていた。これが、田中長徳氏との最初の出会いになる。出会いといっても、勝手にこちら側が一方的に出会っているのであって、当たり前だけど田中長徳氏はこちらのことを全く知らない。

そこから、いったい何冊の田中長徳氏の本を購入しただろう。
カメラジャーナルという雑誌やそこから派生した本はたくさん購入した。カメラジャーナルや「論より証拠のコンパクトカメラ」という本を参考にコンパクトカメラを購入しようとした。経済力はなかったのでライカには行かなかった。今もまだライカには手を出していない。
そのあと、新しいカメラが出るとその特集本としてムックも大量に刊行されたが、それらも購入した。おそらく、何十冊になると思う。カメラジャーナルが休刊した後も、ブログとして「カメラ日記」というのが続いていたが、そちらもずっと読んでいた。

ところが10年くらい前から、Webを訪れなくなってしまった間にそのブログも無くなってしまっていた。自分の生き方が仕事の変化とともに大きかったため、追いかけることができなかった。そうこうしていると、世間ではnoteというのが流行り出す。「屋根裏プラハ」という本をここ最近購入して読んだのだが、そこでふとネットで「田中長徳」と検索してみると、noteにいらっしゃるではないか。
そんなに自由に使うことのできない小遣いではあるが、田中長徳氏のnoteを定期購読することにした。そして、今日の出来事である。(ああ、長かった)

このムックの最初の物も持っていたはずだが、こちらは見つかっていない。大量の本や荷物に占領されている部屋のどこかにあるのは間違い無い。リコーGRや二眼レフに関するものもあったはず。全部捨てていないはず。

田中長徳氏の本は、写真がとても気持ちいい。そして、その写真を撮るに至った視点がしっかりと文章としてアウトプットされている。それが、写真のことがあまりわかりもしない、ただのど素人の自分にとって、何某かのガイドとなっている。
写真だけの本では無い。
文章だけの本でも無い。
共に存在している。そして、そのバランスが自分にはとてもスッと入ってくる。これは、どの著書にも共通している。例えそれがカメラメーカーから依頼された本であっても。
このムックでも、カメラのお遊び機能を使って写真界にデビューすることに対して、しっかり釘が刺されている。それこそフォトショップやコンピュータを使った「写真」に対する姿勢をしっかりと見据えた発言が、予言の如く描かれている。その先見の明は、凄すぎる。

今日のOLYMPUSに対するシンクロが何かの縁であるかのような(錯覚かも知れないけれど、縁であれば嬉しい)、そんなふうに感じて、思わず興奮してしまった。

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