選択肢を持っていなかった就職弱者の頃に、ひとつだけ大事にしていたこと。
自己肯定感がとても低いのをなんとかしようと思って、最近、コーチングを受けて、自己肯定感をあげるワークをちょこちょことやっている。そのせいか、今までには見えなかった角度から、ふと自分を振り返ってみたりするようになった。
いまの自分を顧みた時に、20年前の自分には想像も付かなかったような場所に、私はいるんだなと思う。いつも、自分自身の足りないことばかりが見えて苦しくなるけど、改めて立ち止まってみた時に、自分も、自分なりに頑張ってきたんだなと、自分を誉めてあげようという気持ちになった。
20代の私は、非正規でいろいろな仕事を転々としていた。それはそれで、さまざまな出会いや経験ができた愛しい時間ではあるけれど、夜、ひとりで部屋にいるとき、よく膝を抱えて途方に暮れた。
3年後、自分がどこで何をしているか、まったく見当もつかない。
同じ学校を卒業した友達たちは、みんな就職してオトナになって、私だけふらふらしていて、もう、友達たちと同じ世界にはいなかった。今にもましてネガティブだった当時の私にとって、10年、20年先の未来は、恐怖でしかなかった。
悲観した私はよく思っていた。「人間いたるところ青山あり」ってテレビで言っていた。いざとなったらどこででも死ねるのだ。なるようにしかんらないのだから、どうなろうが、どうにかなる。(小泉構文ばりに支離滅裂だけど)
そんな風だったことを思うと、今の私には、愛着もやりがいもある職場と、20年前とは比べものにならない待遇と、支え合える大好きなパートナーに恵まれている。当時の若さは失ってしまったけれども、どんなにか幸せな20年後を生きていることだろうと思うと、感謝しかない。
偶然の出来事がきっかけで、ひょんなことから勉強を始めて、そこから少しずつ、次の扉が開けていった。歯車が一個でもズレたら、今の場所にはいなかったと思う。そう思うと、なんて自分は運が良いのだろうと思う。
そして、運の良さに感謝するとともに、その運を引き寄せるような行いを、自分もしてきたのかもしれないなとも、思う。
非正規社員のまま30歳を過ぎた頃に、どん底だと実感する経験があった。その時に、私はここから立ち上がるんだと強く思った。それが全部の始まりだったような気がする。
それから、正社員になることと引き換えに得た幾つかの職場は、友人たちから憐れまれるほどに待遇が悪かった。「なんでそんな安い給料で働くの?」と直球で不思議がられたこともある。
なぜかって?
私はみんなとは違って、選べる立場になかったからだ。就職に出遅れた氷河期世代が、非正規雇用から抜け出そうとするときに、選べるオプションなんてほとんど見付からなかった。
待遇の悪い職場で働いていた頃、上司に言われたことがある。弱い立場の人間には、選択肢が少ない。だから、なんとかしてそこから抜け出して、選択できる状態になれって。直球すぎるアドバイスだけど、そうだなと思った。
多くのオプションなんて選べない私は、唯一、「今よりも成長できること」だけを見て就職を決めていった。生活さえできれば、お給料は安くても良かった。傍から見たらブラック企業にしか見えないだろう環境でも働いた。
話を元に戻して…。
正規雇用になってからも、何回か転職を重ねた。ただただ手放さず大切にしていたのは「今よりも成長できると思えること」だった。転職することで、さらに年収が下がるような選択もした。
私は自分に自信が無くて、すぐにいろいろ迷ってしまう。それでも、ひとつだけ「成長できること」に、私は賭けていたんだと思う。
「ウチの会社は、お給料が安いけど良いんですか?」
15年以上前の面接で聞かれて、即答したのを覚えている。「問題ないです。私が力を付ければ、お給料は後からついてくると思っていますから」
その時、面接官は微妙な笑顔になった。その会社では、お給料があがるような仕組みは無かったから。
それでも結局、私は正しかったんだ。
その会社ではほとんどお給料が変わらなかったけれど、その頃の経験があるから私は今の職場で働けていて、十分に「お給料は後からついてくる」と言える状態になった。
山ほどの失敗をしてきた。今でも、日々、小さな失敗やら反省を繰り返している。それでも私は、あの頃の自分が信じていたことを、誇りに思う。
その途中でスティーブ・ジョブズのスタンフォード大学のスピーチを知って、「Connecting The Dots」というエピソードを、救いの手みたいに感じていた。
「今ここから、一歩でも先に成長するんだ。」
それだけを心に抱いて手放さなかった自分に、ありがとうって言いたい。
そして、その頃の渇望感と、今の幸せへの感謝とを、決して忘れないようにするんだ。
これは私の個人的な経験でしかなく、何を一番にするかは人それぞれなんだと思う。でもたぶん、選択肢が少ない時ほど「いちばん大事なことは何か」を探すことは、その人の支えになるんだと思っている。
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