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GAME (Goals Activity Motor Enrichment):脳性麻痺のリスクが高い乳児に対する運動トレーニング、親教育、環境エンリッチメントに関する単盲検無作為化対照試験プロトコル

1.はじめに脳性まひのリスクが非常に高い乳幼児を対象に、目標指向型の運動訓練・環境エンリッチメント・親教育の3つの要素から構成される介入プログラム「GAME」が、地域ベースの標準ケアと比較して運動予後に与える効果を評価するために企画された研究を紹介します 2.方法▶︎ GAMEと標準ケアを比較し、2並行群による単盲検RCTを実施し、その有効性を評価する予定 ▶︎ 本試験のアウトカムは、介入16週後・生後12ヶ月・生後24ヶ月の乳児の運動機能、家庭での充実度、子どものパフ

    • 歩行困難な痙直型脳性麻痺患者のための特殊シーティングによる脊柱側弯症の管理-生体力学的研究

      今回の文献は、歩行困難な痙直型四肢麻痺患者を対象に側弯症に適した側方パッドの配置を検討した研究となります 1.はじめに脊柱側弯症とは? ▶︎脊椎の側方弯曲と椎骨の回転を特徴とし、しばしば矢状面の変形を伴う疾患 ▶︎時間とともに弯曲の程度が大きくなる進行性の疾患 ▶︎二次的な健康障害を引き起こす可能性がある 体位による痛み、換気障害、褥瘡、機能喪失の原因となると考えられている(Wilkins and Gibson, 1976; Lonstein and Akbarnia,

      • 脳性麻痺の小児および若年成人における機能的歩行訓練の有効性:システマティックレビュー

        1.はじめに 現在、CPの小児および若年成人に対する機能的歩行訓練の最適なプロトコルは確立されていません.  これまでのシステマティックレビューでは、部分免荷トレッドミルトレーニング(以下PBWSTT)に焦点が当てられ、最終的にCPの子どもにとって安全で実行可能な治療法であると結論づけられ、肯定的なエビデンスが報告されています.  今回のシステマティックレビューの目的は、CPの小児および若年成人における歩行関連のアウトカムに対する機能的歩行訓練の有効性を評価することで

        • 重度脳性麻痺児における小児青少年版国際生活機能分類のドメインを越えた適応シーティングシステム:システマティックレビュー

          1.はじめに今回の文献の目的は... Adaptive Seating(Adss)とは 従来、体位と機能の改善、および脊椎変形、股関節変位、呼吸障害などの長期的な合併症の予防に焦点を当てた治療的介入と考えられてきた.一般的に、重度のCPの子供のAdSSは、非常に個別化されている.学校での活動を目的としたAdSSや、食事やトイレを目的としたAdSSなどもある. 小児青少年版国際生活機能分類(ICF-CY)とは ICF-CYは、WHO国際生活機能分類(WHO-FIC)の

        GAME (Goals Activity Motor Enrichment):脳性麻痺のリスクが高い乳児に対する運動トレーニング、親教育、環境エンリッチメントに関する単盲検無作為化対照試験プロトコル

        • 歩行困難な痙直型脳性麻痺患者のための特殊シーティングによる脊柱側弯症の管理-生体力学的研究

        • 脳性麻痺の小児および若年成人における機能的歩行訓練の有効性:システマティックレビュー

        • 重度脳性麻痺児における小児青少年版国際生活機能分類のドメインを越えた適応シーティングシステム:システマティックレビュー

          リクライニングチェア使用時の臀部動作にかかる力に及ぼす臀部圧の非対称性の影響

          1.はじめに今回の論文は日本での研究になります.健常成人を対象に臀部にかかる剪断力を測定し、車椅子のリクライニング機能が非対称な臀部圧の臀部にかかる剪断力に及ぼす影響を明らかにするための実験を行った. 背景 車椅子は,自分の席を確保できない高齢者や障がい者が使用することが多い.また,車いすは療養中の人の介助を減らして快適に過ごす目的で使用されることが多いため,1日の中で車いすに座っている時間は非常に長い.そのため、長時間の座位を維持するための姿勢変換が障害者自身では不可

          リクライニングチェア使用時の臀部動作にかかる力に及ぼす臀部圧の非対称性の影響

          オンライン運動処方ツールは、脳性麻痺やその他の神経発達障害を持つ子どもの家庭運動プログラムのアドヒアランスを改善できるか? 無作為化比較試験

          1.はじめに今回の論文はオンライン運動処方ツールPhysitrackを用いて実施した障がい児のための8週間の自宅運動プログラムのアドヒアランスと効果を従来の紙ベースの方法と比較して判定することを目的とした内容となっています 2.方法【デザイン】単盲検並行群間無作為化比較試験(RCT) 【分析】Consolidated Standards of Reporting Trials および Template for Intervention Description and R

          オンライン運動処方ツールは、脳性麻痺やその他の神経発達障害を持つ子どもの家庭運動プログラムのアドヒアランスを改善できるか? 無作為化比較試験

          ホームプログラム 介入効果 エビデンス

          1.はじめに障害のある子どもたちへの理学療法や作業療法の集中的な介入は、集中的な練習による神経可塑性の促進が期待できるという神経科学の知見の高まりとともに、話題になっています しかし、実際には「週単位のブロック治療」であり、これは神経可塑性を誘発するために推奨される治療の総「量」をはるかに下回っているといわれています(Gordon, 2011; Novak, 2012; Sakzewski et al. 2013) 今回の文献では、ホームプログラムとは?ホームプログラム

          ホームプログラム 介入効果 エビデンス

          青年期の痙性片麻痺患者における片側および両側の松葉杖歩行に関する運動学的および筋電学的研究

          1.はじめに今回の文献は歩行補助具(ロフストランド杖)が痙直型片麻痺の青年の背筋活動と全身のキネマティクスに及ぼす影響を調査したものです。 2.背景▷脳性麻痺の歩行者の腰痛や歩行力の低下は、高齢になるにつれて一般的に ▷歩行時の安定性を向上させ、下肢への最大体重負担を促すために、歩行補助具が処方されることが多い Jahnsenらは、CPの成人の約3分の1が慢性疼痛を有すると報告 CP患者の痛みの原因としては、背中、腰、下肢が一貫して挙げられ、中でも背中の痛みが最も多

          青年期の痙性片麻痺患者における片側および両側の松葉杖歩行に関する運動学的および筋電学的研究

          障がいを持つ子どものサポートウォーカーの使用と認識について :イギリスでの調査

          1.背景サポートウォーカー(以下SW)は補助器具の一種であり、運動障害を持つ子ども達が自立して歩行できるようになり、腸管機能、骨密度(BMD)、運動能力、自立性、参加性、社会的機能などの改善を促進する可能性がある。しかし、これらの効果を裏付けるエビデンスはほとんどなく、臨床現場でのSWの使用について記述した研究も不足しています。本研究では、臨床現場における障害児に対するSWの使用状況を検討することを目的とした。 support walker(SW)とは 手持ちの歩行器で

          障がいを持つ子どものサポートウォーカーの使用と認識について :イギリスでの調査

          運動障害児の運動機能に対する弾性テーピングの効果:システマティックレビュー

          今回の文献は、弾性テーピングに関するシステマティックレビューです。 小児では、脳性麻痺などの症状に対する有望な治療法と考えられていますが、対照臨床試験数が少ない、評価対象となる症状や使用されているプロトコルが不均一などもあり、エビデンスは限られています。 運動機能障害のある子どもの弾性テーピングの効果を調査した研究を系統的にレビューし、その方法論的な手順と主な知見が簡潔に記載されていたので紹介します。 1.方法論文検索:MEDLINE/PubMed, Scopus,

          運動障害児の運動機能に対する弾性テーピングの効果:システマティックレビュー

          神経筋電気刺激とキネシオテーピングの併用が脳性麻痺児の姿勢制御と座位バランスに及ぼす影響

          今回の文献は、脳性麻痺児の姿勢制御や座位バランスを改善するために、NDT(神経筋治療)、NMES(神経筋電気刺激)、KT(キネシオテーピング)などの手段が用いられることがありますが、これらを併用することで脳性麻痺児の姿勢制御および座位バランスにどのような影響を及ぼすか調べてみたという内容になります。 1.方法下記に簡単に方法を紹介します ・対象  CPの子ども45名(痙性片麻痺9名,四肢麻痺36名)  年齢:5歳から12歳  GMFCS:レベルⅣ・Ⅴ *口頭での指示や

          神経筋電気刺激とキネシオテーピングの併用が脳性麻痺児の姿勢制御と座位バランスに及ぼす影響

          柔軟性偏平足を有する子どもの内側縦アーチに及ぼす足部装具の効果〈3次元モーメント解析〉

          扁平足がある子どもの歩行において、足関節、膝関節、股関節の3次元モーメントの大きさを、足装具がどのように変化させるか調べてみた文献があったので紹介します。 1.方法 下記に簡単に方法を説明します。 ・対象:14名の男児 年齢10.2±1.4歳  体重42.6±7.5kg   身長150.6±10.2cm *舟状骨落差が10mm以上の患者を選択 *過去に骨折,手術,整形外科手術などの既往歴がある場合は,研究対象から除外 *被験者は全員右足利き(蹴球テストで判断) ・方

          柔軟性偏平足を有する子どもの内側縦アーチに及ぼす足部装具の効果〈3次元モーメント解析〉

          下肢装具の有効性は(脳性麻痺)? システマティックレビュー

          脳性麻痺児の歩行に対する下肢装具の有効性についてシステマティックレビューがありましたので簡単に紹介します。 1.方法研究の方法は以下の通り。 文献サイトを使用し2007年から2015年の間に発表された,AFOを装着したCP児の研究論文を検索 ●文献サイト:PubMed,Scopus,ISI Web of knowledge, Cochrane Library,EMBASE,Google Scholar Cochrane Library, ●調査内容:歩行パターン変化と

          下肢装具の有効性は(脳性麻痺)? システマティックレビュー