運動障害児の運動機能に対する弾性テーピングの効果:システマティックレビュー

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今回の文献は、弾性テーピングに関するシステマティックレビューです。
小児では、脳性麻痺などの症状に対する有望な治療法と考えられていますが、対照臨床試験数が少ない、評価対象となる症状や使用されているプロトコルが不均一などもあり、エビデンスは限られています。

運動機能障害のある子どもの弾性テーピングの効果を調査した研究を系統的にレビューし、その方法論的な手順と主な知見が簡潔に記載されていたので紹介します。

1.方法

論文検索:MEDLINE/PubMed, Scopus, LILACS, BIREME/BVS, Science Direct, SciELO, PEDroを使用しPRISMAの推奨事項に基づいて実施
検索期間:2016年までに発表されたもの
検索対象:弾性治療用テーピングと運動障害のある0~12歳の子ども
除外基準:症例報告、専門家の意見、レビュー、コメンタリー、学会抄録、硬いテーピングの適用など

12の論文が最終的な選択対象となる。
対象となった研究は6カ国で行われ ,5件が無作為化比較試験、2件が準無作為化比較試験に分類された。

2.結果

対象となった研究では脳性麻痺、筋性斜頸、腕神経叢麻痺、後天性上肢障害が評価されていました。

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CG:コントロール群、EG:実験群、PT:理学療法、TT:弾性テーピング

3.まとめ

筋肉の活性化とリラクゼーション、座位姿勢、上肢機能、日常生活の動的・機能的活動のパフォーマンスにおいて有益な結果が得られ、機能的な自立性も向上するという研究結果でした。しかし、使用されたプロトコルが多様であるため、結果の比較や研究の再現が困難です。そのため、運動障害のある子どもに対するテーピングの効果を評価するためには、実験的に制御された無作為化研究デザインを優先した新しい研究が必要であるとのことでした。


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