柔軟性偏平足を有する子どもの内側縦アーチに及ぼす足部装具の効果〈3次元モーメント解析〉

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扁平足がある子どもの歩行において、足関節、膝関節、股関節の3次元モーメントの大きさを、足装具がどのように変化させるか調べてみた文献があったので紹介します。

1.方法

 下記に簡単に方法を説明します。

・対象:14名の男児
年齢10.2±1.4歳  体重42.6±7.5kg  
身長150.6±10.2cm
*舟状骨落差が10mm以上の患者を選択
*過去に骨折,手術,整形外科手術などの既往歴がある場合は,研究対象から除外
*被験者は全員右足利き(蹴球テストで判断)
・方法:靴着用と靴+FO(足部装具)着用の2条件で歩行実施 
*靴(New Balance 759, USA)アークサポートFO(Longxin, Industrial Ltd., LX-0701-1)を使用
*各々の条件で6回歩行/条件間には2分間の休息あり
*歩行速度は被験者にお任せ

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・評価:6台のカメラを搭載したViconシステムと床反力計を用いて両足の運動データを記録
 *床反力計の端に足が置かれた場合は除外
 *FO装着前と装着後の関節モーメント量を比較(Paired samples T-test)

2.結果

 歩行速度

・平均歩行速度は 介入なし(1.21±0.14m/s)とFO(1.22±0.16m/s)の間に差はなかった(P > 0.05)

 利き足の関節モーメント

これまでの研究では、柔軟性偏平足(FF)群では正常群に比べて足関節内がえしモーメントが非常に小さいこと、また 、FF群では筋入力がなくても後足部の外がえしが発生することが明らかになっています。

・FO着用にて利き足の足関節外返しモーメント、膝および股関節外転モーメント、股関節屈筋モーメントが減少
・FO着用しても、歩行中の膝内転モーメントのピーク値に変化はなかった

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今回の研究では、被験者が装具を装着すると、足関節モーメントが減少することが示された。また、FOは利き側下肢の後足部外がえしモーメントを減少させるが、この変化は歩行時の膝の内転モーメントの減少を伴わない結果となりました。

この結果は、MündermannらおよびNesterらの報告とは対照的です↓

MündermannらおよびNesterらの報告
靴を履いたランニングおよび靴+装具を履いたランニングにおいて、膝内転モーメントのピーク値と後足部外がえしの大きさの間に正の有意な相関関係があることを報告した。

このような結果の違いは、装具に対する反応の個人差、使用したFOのタイプや運動パターンの違いによるものと考えられるとのこと。

非利き足の関節モーメント

・FO着用すると、非利き足の足関節背屈モーメントのピーク値が有意に増加することが示された

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これまでの研究にて、統計的には有意ではないが、FF群では後足部、前足部ともにpush off時の背屈が少ない傾向があるとのこと。FF群と正常群間での有意な運動学的差異はfoot flatで生じ、FF群では後足部は背屈するよりもわずかに底屈する結果が示されています。

FOは抑制や安定性を示すだけでなく、足関節の背屈運動を増加させる可能性があります。

まとめ

三次元モーメントに対する装具の効果は、利き足と非利き足で異なることが示唆された。さらに、利き足と非利き足では、同じ動作でも反応が異なることが示されました。







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