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性別モナリザの君へ

もし、あなたに
性別がなかったら?

読書の秋ですしおすすめの漫画を。

ガンガンonlineで連載し、
本編は連載終了で現在アフターストーリーがいくつかのルートで展開されている

性別モナリザの君へ

です。

※ネタバレはありません

  1. まず設定が神がかっている 

    舞台は"生まれた時は性別というものが存在しない"世界。
    その後の自分の感性で女になるか男になるかをそれぞれが意識して、
    ある日どちらかの性別になる。

    それが小学生ごろに大体の人が決まるのに対して、
    主人公の有馬ひなせは高校生になっても"無性別"であった。
    それこそが
    モナリザ
    の由来である。

    なんて斬新な設定!!
    この世界線なら、
    性同一性障害というものはなかっただろうなあ。

    面白いのは、
    電車やサッカーなどが好きでも女の子になる場合があったり、
    嗜好のタイプ=性別とはいかないこと。
    深層のその人の性別により判断されるんだな。

  2. 衝撃の開幕

    まずその設定で驚いたのに、
    1話冒頭から主人公はなんと
    "同じ日に男女2人の幼なじみから告白される"
    という衝撃的の展開。

    スタイルの良いスポーツ少女、りつ。
    頭脳明晰でクールな美少年、しおり。

    主人公はふたりともから、
    私がひなせを男にする!
    俺がひなせを女にする!
    と告白と共に決意を告げられた。

  3. 無性別のリスク

    主人公の主治医はしおりの兄。
    そしてしおりはある日ひなせの診断書を目撃し衝撃の事実を目の当たりにする。

    それは、無性別のままでいると成人するまで生きられない可能性が高いこと。

  4. 鮮やかな葛藤

    大切な幼なじみとのかけがえのない青春の日々。
    でも、
    りつとしおりからの恋愛感情や、
    女性らしさや男性らしさの魅力を感じる度に、
    むず痒いような、高鳴るような、
    主人公の"性別をどちらかへ決めること"への葛藤が深まっていく。

    変わらなきゃ、
    でも変わりたくない、
    りつとしおりにも変わってほしくない

    その都度ひなせが男っぽく見えたり、
    女っぽく見えたり、
    書き分けが繊細すぎてドキッとしました。

    けれど、
    3人が最後まで
    "どの性別になっても誰を選んでも、
    大切な存在だよ"
    ということが何より尊かった。

    そしてこの漫画の特徴が、
    基本白黒なんですが、
    印象的な部分には瞳の色などに鮮やかな青色が使われるのです。
    これがありそうでなかったこの漫画の面白さの一つで、
    とても魅力的でした。 

  5. 決意の最終回

    どちらになることも決めないまま亡くなってしまうのか…
    それともどちらかを選び取ることが出来るのか?
    りつとしおりどちらと付き合うのか?
    或いはどちらも恋人として手を取ることはないのか?

    コメント欄でも最後まで難航したラストでしたが…。

    是非漫画で確かめて貰いたいです。

  6. 最終回後もアフターストーリーが充実

    最終回だけで終わらず、
    アフターストーリーとして大ボリュームで展開してくれたのがとっても嬉しかったです。

    それぞれが描いた結末が、
    どれも色鮮やかにひなせらしさを失わずに描かれているのが素晴らしい。

  7. 最後に

    私は個人的に男ひなせ✖︎りつのカップル推しでした。
    それが最終回だったのかアフターストーリーで描かれたのかはネタバレになるので書きませんが、
    その中のいずれかでは描かれていて、
    本当に嬉しかったです。

    ルートはコメント欄で荒れた時もあったのですが、
    私は他のルートを否定する意ではなく、
    ただ、これが素敵だと思えました。

    ひなせ達3人やその周りの人たちの、
    自分の性別、性的嗜好、友情、将来…
    それに対する様々な戸惑い、襲ってくる不安、容赦ない時間の流れ、無意識に沸る嫉妬、変わらない深い愛情…

    絵の具がぐちゃぐちゃに混ざり合ったような心の葛藤すら美しかった作品。
    最後にサナギが蝶になって羽ばたいたような煌めきを感じました。




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