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肉弾

あらすじ:昭和二十年の盛夏。魚雷を脇に抱えたドラム岳が、太平洋に漂流していた。この乗組員、工兵特別甲種幹部候補生のあいつは、まだ終戦を知らなかった。あいつが、ここまで来るには可笑しくも悲しい青春があった。

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岡本喜八監督の『独立愚連隊』や『独立愚連隊西へ』等のコメディタッチで描かれた作品が私的にどうも駄目だったので、今作品も同様の演出の為期待はしていなかった。しかし、今作品のコミカルな演出が戦争の無意味さを際立たせる相乗効果となっており驚愕させられた。特攻へ行く前日、青年(寺田農)が立ち寄った古本屋の両腕の無い店主(笠智衆)や海辺で出会った少年、そして岡本監督が一番重きを置いて演出したであろう青年と女子高生(大谷直子)との淡い恋。死ぬ前日、青年が人生を謳歌することによって戦争の愚かさを十二分に引き出している。そしてコミカルな演出の相乗効果によって青年の最後の叫びは、後世に残る名シーンとなっている。


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