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アシュラ

あらすじ:アンナム市の市長という立場を利用し、利権をむさぼろうと犯罪を繰り返すパク・ソンべ。刑事のハン・ドギョンは、末期ガンに侵された妻の治療費稼ぎを理由にその処理を請け負っていた。市長検挙に燃える検事キム・チャインと検察捜査官ド・チャンハクは、彼を脅迫して捜査への協力を迫る。市長と検事たちの間に立たされたドギョンだが……。

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今作品の主人公は鉄砲玉。深作欣二監督の『仁義なき戦い』シリーズで言えば、川谷拓三が演じる役である。そんな往年のヤクザ映画ではすぐ殺され、日の目をみないような男を演じるのがイケメン俳優のチョン・ウソン。そんなモデルのような役者が血みどろの地獄沼に溺れる蠅のような役を演じられるのかと半信半疑であった。これがラストに近づくにつれ、チョン・ウソンの顔つきが変貌してゆく。悪人にのまれ、踏まれ、唾を吐かれ・・・。人間以下の扱いしかされない男の死を覚悟したときの顔つきになっているのである。これは主人公を徹底的に追い詰める二人の極悪人(市長と検事)の演技の賜物である。今作品のラストは滅びの美学が徹底されており、大輪の打ち上げ花火が何発もあがっているかのような素晴らしい演出であった。今の韓国映画は、このような作品が出てくるから観るのをやめられない。

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