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ニンフォマニアック Vol.1

あらすじ:幼少時から自分の性器を意識していたジョーは、15歳の時にバイク好きの青年ジェロームに処女を奪われる。2年後、彼女は幼なじみのBと共に挑発的な服装で列車に乗り込んでは、男性を誘惑しては関係を持つゲームに興じるなど、過激で奔放な高校生活を送る。やがて印刷会社に就職したジョーは、そこでジェロームと再会。彼に恋心を抱くがほかの女性に奪われ、その反動から無数の男と体を重ねていくように……。

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ラース・フォントリアー監督の鬱三部作の最終作。一部の『アンチクライスト』はトリアー監督が鬱のピーク時に製作された為、残酷極まりない作品に仕上がっていると思うのであえて観ていない。二部の『メランコリア』は映像は美しいのだが、私には難解すぎて意味不明な作品であった。そして、最終作の『ニンフォマニアックvol.1』は前作の難解極まりない『メランコリア』に反して非常に解りやすい脚本、演出なので面白く鑑賞できた。主人公ジョーの半生を描いている。色情狂であるジョーの歩んできた人生の告白は、信じ難いことの連続である。ジョーの告白を聞きながら、ある作品が頭に浮かんだ。黒澤明監督の『羅生門』である。

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『羅生門』の男女三人の告白はどれが真実でどれが嘘なのかわからず、『真実は藪の中』な作品である。『ニンフォマニアック』のジョーの告白も『真実は藪の中』的な展開になるのではなかろうか。その想いを強くしたのはもう一つ理由がある。作品の中で何度もかかる、『WALTZ NO. 2』である。

この曲は、スタンリー・キューブリック監督の『アイズ・ワイド・シャット』のテーマ曲である。『アイズ・ワイド・シャット』も『真実は藪の中』な作品である。トリアー監督が『WALTZ NO. 2』を挿入歌として使用しているのは、何か意図するものがあるのではなかろうか。


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