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嘆きのピエタ

あらすじ:借金取りのガンドは、債務者の腕や足を潰して障害保険を払わす冷酷非道な男である。母親に捨てられ、天涯孤独に生きてきたが故に悪魔にならざる負えなかった男である。そのガンドの前に突如マリアのような微笑を称え、母と名乗る女が現れる。愛を知らず生きてきたガンドは、女に憤怒する。女はガンドに許しを請い、愛を注ぐ。母性愛に触れたガンドの悪魔の心は徐々に浄化されてゆく・・・。

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世界の巨匠の一人である、キム・ギドク監督の『復讐と贖罪』をテーマにした作品である。今までのキム・ギドク監督作品は男に尽くす女を描いてきた。男に何をされても許し、命を削ってまで男を愛する女を描き切っているので、『男尊女卑』の映像作家のように思えて好きになれなかった。しかし、今作品でギドク監督は女性を尊といものとして崇めている。今までなかった監督の女性の描き方に大変感銘を受けた。そして悪魔の心が浄化され、人間に戻ったガンドの贖罪は胸に突き刺さる。

今作品で感じたのは、ギドク監督は実母に対して精神的な問題を抱えているのではないかということだ。監督は実母に愛されていたのだろうか・・・。今作品でギドク監督が抱える精神的なトラウマが昇華された名作である。

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