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モーリス

あらすじ:1909年、ケンブリッジ大学。キングス・カレッジの寮生モーリスは、クライヴ・ダーラムと出逢う。クライヴは知性に満ち、ギリシャの古典的理想主義と同性愛の信奉者で、夏のある日、モーリスに愛を告白する。

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私が高校生の頃、初めて鑑賞した「同性愛」をテーマにした作品である。10代の私にとって男性同士の「愛溢れる想いと葛藤」を観ることは初体験であった。愛する相手の髪に触れ、手に口づけをし、愛し合う。私の心臓が飛び出そうになるほどの衝撃であったことを覚えている。

20世紀初期、イギリスでは「同性愛」がたとえ合意のもとでも犯罪行為だった。ホモセクシャルという言葉は、1868年に作られ、その16年後、イギリスでは刑法修正案第11項で、男性同士の猥褻行為全般は犯罪だと定められた。大臣や政治家たちは、同性愛を公然と非難した。1895年、オスカー・ワイルドがこの法律に反したとして有罪になり、2年間の重労働を宣告されている。

そんな時代背景を鑑みて鑑賞すると、モーリスの「葛藤と行動」を理解し、深く考えさせられる。モーリスの選択する人生がどんな茨の道だとしても「自分を殺して生きる」より幸せなのだと感じさせられた。ラスト、若かりし頃のモーリスを想うクライブの悲哀に満ちた姿が心に残る。

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