見出し画像

ノーカントリー

あらすじ:狩りをしていたルウェリンは、死体の山に囲まれた大量のヘロインと200万ドルの大金を発見する。危険なにおいを感じ取りながらも金を持ち去った彼は、謎の殺し屋シガーに追われることになる。事態を察知した保安官ベルは、2人の行方を追い始めるが……。

画像1

今作品は、何故この殺し屋は人を殺すのか追及する話ではない。そして追われる男と殺し屋のバトルアクションでもない。私たちの世界に覆われている不条理を追究する話なのである。作品の中で保安官は殺し屋のことを「幽霊」と言う。この保安官の台詞でこの男の存在を説明している。彼は人間ではなく、悪の化身なのだ。殺し屋は、男を追う過程で出会った人々をバッタバッタと殺していく。彼は何故、意味無く人を殺すのか。映画を観る側は戸惑い、考える。私たち観る側の代弁者がトミーリー・ジョーンズ扮する保安官である。保安官は殺し屋を追う過程で世界の不条理にぶつかり、挫折する。私たちもこの作品の不条理な世界と現実世界の不条理とをだぶらせ、挫折するのだ。「ノーカントリー」は観るだけではなく考える作品である。

この記事が参加している募集

映画感想文

日々観た映画の感想を綴っております。お勧めの作品のみ紹介していこうと思っております。