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血を吸うカメラ

あらすじ:内気な映画カメラマンのマーク。彼にはある常軌を逸した方法で女性を惨殺しては、恐怖し苦悶に歪む死に顔を映像に収めコレクションし自宅上映するという裏の顔があった。ある日、彼が父親から相続した自宅兼アパートの賃借人ヘレンから声をかけられ親しくなる。奥手だが好青年として彼女と交際を深める裏で、より迫真のスナッフ・フィルムを撮りたいという創作欲求は抑え難く嵩じていき…。

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今作品が上映されたのは1960年。ヒッチコック監督の『サイコ』よりも2か月早く上映されたとのことなので元祖サイコホラー作品となる。この主人公マークの心理描写が異常極まりないのだ。カメラに取り付けられた鋭利な刃物で女性の喉を突き刺しながら恐怖に歪んだ表情をカメラで撮ることで性欲を満たしているのだが、普段は気が弱く優しい男なので観る側は戸惑い、混乱させられること請け合いである。

主人公は幼少期、心理学者の父親による心理的実験により彼の恐怖に慄く表情をカメラに撮られ続けるという暗い過去があった。父親のカメラを誕生日にもらい受け、そのカメラに操られるように殺人を繰り返していく。ヒッチコック監督の『サイコ』では母親に支配された男の話だったが、今作品は『サイコ』よりも殺人を犯す側の心理に深く踏み込んでいる為、マイケル・パウエル監督はイギリスで映画を撮ることができなくなるほどの衝撃作なのである。


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