ドント・ウォーリー・ダーリン
あらすじ:完璧な生活が保証された街“ビクトリー”で、アリスは夫のジャックと穏やかに暮らしている。ある日アリスは、飛行機が墜落する瞬間を目撃する。その出来事の後、不気味な幻影を頻繁に見るようになる。精神を追い詰められたアリスは完璧な街に疑問を抱き始める。
今作品は「ウーマンリブ」をテーマにしている。ウーマンリブとは、1960年代から1970年代にかけて起きた、女性たちによる女性解放のための運動である。
・女性とは、母として無償の愛を与える者
・女性とは、妻として夫のために尽くす者
・女性とは、家事や育児を当然のようにこなす者
・女性は女性らしくしなければならない
・女性とは、社会において限られた役割を果たしていればいい者
・女性とは、男性の補助的な役割のみ担当していればいい者
このような社会からの押し付けに対して、生きづらさや「何かが違う」という感覚を抱く女性たちは多かった。そして、この社会の風潮や男性からの解放を訴え、性の解放を主張したのが、ウーマンリブの特徴である。今作品は性の解放を併せて描かれており、「女性の自立」を強く打ち出す意欲的な作品である。しかし、アリスが見る幻影で拙い演出が散見される。アリスと隣人の女性たちのダンスシーンはルカ・グァダニーノ監督版「サスペリア」を模倣しているし、現実と夢を行き来する世界観は「マトリックス」である。演出で新しい試みをしようという意気込みは伝わるのだが、監督の意気込みに演出力が伴っていないのが残念であった。
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