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ヒッチコック/トリュフォー

解説:フランソワ・トリュフォーによるアルフレッド・ヒッチコックへのインタビューを収録し、「映画の教科書」として長年にわたって読み継がれている「定本 映画術 ヒッチコック/トリュフォー」を題材にしたドキュメンタリー。インタビューが行われた1962年当時のヒッチコックとトリュフォーの貴重な音声テープをはじめ、ヒッチコックを敬愛する10人の名監督たちにインタビューを敢行し、時代を超越したヒッチコックの映画術を新たな視点でひも解いていく。

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トリュフォーは、『定本 映画術 ヒッチコック/トリュフォー』を一本の映画を作る気持ちで製作したという。今作品で、トリュフォーがヒッチコック監督にインタビューしたときの貴重な音声が多分に使用されていたことが大変嬉しかった。その音声で思わず笑ってしまったのが、『めまい』で出演予定だったヴェラ・マイルズが妊娠してしまい出演できなくなったことをトリュフォーがインタビューすると、ヒッチコックがその時の怒りが蘇ったようにヴェラ・マイルズを『あのバカ女が』と述べる件。ヒッチコックはネチネチと根に持つタイプなのかもしれない。『めまい』はヒッチコック監督作品で一番好きなのだが、ヴェラ・マイルズではあの妖艶な女性を演じきれなかったのではなかろうか。キム・ノヴァクの妖艶さは正に適役だと思う。そして、『ヒッチコック/トリュフォー』で『めまい』の解説に時間を割いていたのだが、デビッド・フィンチャー監督が『めまい』は変態映画だと断言していた。

ジュディは洋服、髪型、なにもかもを同じにすることをスコティ(主人公)に要求され、死んだはずの「マデリン」へと次第に変貌していく演出の件は、ヒッチコックはこれを「屍姦」と称しているのだから『変態映画』と評するのは的確な表現であり、称賛に価する言葉なのである。又、後世に残る名作『サイコ』も時間を割いて解説されていた。

かの有名なシャワーシーンがクローズアップされていたのだが、解説とシャワーシーンが交互に編集されていて、あの名シーンがコマ切りになっていて非常に残念無念。3分程のシーンなのだから一気に魅せてほしかった。


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