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カメラマン,写真家,フォトグラファーは違う?


こんにちは。 フリーランスのプロのカメラマンです。 仕事では主に舞台、イベント、スナップなどを撮影しています。

『カメラマン』・『フォトグラファー』・『写真家』と言われている人達の違いって結構知られていいないのでは?と思い、今回はその事について書こうと思います。(この3つの言葉は時々で重なり合い、時代と共に少しずつ変化し続けていて一様ではない為、私なりの解釈になります。)最近『カメラマン』と言う言葉が意味するところが実は私と思っているのと時代と共に少しずつズレてきているのでは?と感じるようになりました。。インターネットの普及で様々なフラットフォームが出来て、多岐多様にカメラマンが活躍出来る場所が出来た為、当然な事かもしれません。言葉の力は不思議です。もう一度ここで纏めて整理する事で新たな事に気がつくかもしれないなと思い、書いてみる事にしました。

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日本では現在、プロ、アマチュア問わず写真・映像を撮る人を『カメラマン』と言うのが一般的です。。かく言う私も分かり易さを重視してnoteではいつも『カメラマン』ですと冒頭で紹介させて頂いていますが、実際は自分を紹介する際、状況に応じてこの3つの言葉『カメラマン』『写真家』『フォトグラファー』を使い分けています。

カメラマンは細かく言うと写真を撮る人はスチルカメラマン、映像はムービーカメラマンと呼ばれ、取材現場では区別する為にスチルさん、ムービーさん(映像さん)と呼ばれたりします。元々はcamera-man (カメラマン)と言う言葉は昔は映像・映画を撮る人を指す言葉でした。(年配の方は時々、『キャメラマン』と言う言葉を使います。)映像『キャメラマン』と区別する為に写真を撮る人を当時は『写真家』と言ったりしました。

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初めて、日本に『写真館』が誕生した1862年以来、街の写真館で写真を撮影する方々はその技術や芸術性に対して尊敬を込め『写真師』(写真術師)と呼ばれていました。しかしながら、時代とともに『写真師』と言う言葉がなくなり、写真館以外で写真を撮る人達を区別する為に当時使われた『写真家』と言う言葉が残こりました。現在では『写真家』と言う言葉は動画を撮影する人として区別して使ったりもしますが、写真業界では芸術性が高い写真の撮影をする人を指す言葉として用いられています。

『写真家』にはクライアントから依頼されて仕事として撮影する「職業写真家」と依頼を受けずに自分の撮りたい「テーマ」と「コンセプト」に基づいて作品を作る『作家』と呼ばれる人達がいます。

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「職業写真家」が活躍するジャンルは『報道写真家』,『広告写真家』,『ファッション写真家』,『建築写真家』,『動物写真家』,『戦争写真家』など様々あります。と同時に『報道写真家』は『フォトジャーナリスト』と呼ばれる事もあり、上のジャンルは全て『写真家』と言う言葉を『カメラマン』に置き換えても間違えではなく、一様ではないとも言えます。

写真作家は『写真家』,『作家』,『アーティスト』と呼ばれたりもしますが、写真集、写真展、webなど様々な媒体で作品を自主的に発表し続ける人の事を指します。分かりやすく言うと写真作家は他の芸術家と同じく、自分の作品を作り、発表し、販売する人の事を指します。(販売に関しては作家個人の活動や契約よってその都度異なるかと思いますが、その説明はギャラリー、美術館、日本独自の文化であるレンタルギャラリー、フォトフェア , SNS ,写真集、 ZINE など様々な事を説明する必要があるので、また別の機会に書こうと思います。)『映像作家』と言う言葉もあります。現在、写真と映像を両方の分野で活躍される方も多く一概に区別が出来なくなってきていますが、主軸を何方に置くかで呼び方が変わるのかなと思います。写真作家の展示もここ10年くらいはインスタレーション展示が多く、映像と写真を両方展示している写真展が多いです。

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自身に当てはめると作家活動して、ギャラリー展示や, 写真集出版、写真フェアに参加する際は『写真家』として自己紹介します。私自身は『写真家』と言う言葉は作家活動をしている人に対してのみ使っていて、知り合いの写真関係者もそう言う認識の人が多いような気がします。。また、世代によって異なる事なのかもしれませんが、日本人の謙虚を美徳とする文化ゆえか、自分から『作家』だと言う人が写真業界で少ないと感じます。なんとなく、自分からは『言わない』で、他人から『言われる』言葉といった雰囲気があるような気もします。

余談ですが、私が所属する協会は『日本舞台写真家協会(JSPS)』と言います。2020年5月にグループ展示を予定していましたが、残念ながら延期となりました。

最後は『フォトグラファー』ですが、英語で意味する通りで、プロ・アマチュア問わず、写真を撮る人を意味する言葉になり,ムービーなどを撮影する人は『ビデオグラファー』と呼ばれます。アマチュアとプロの区別がない為、海外で自己紹介する時は professional photogarapher と丁寧に言います。。。学生時代はstudent photographer と言っていました。作家活動をしている人も『photographer』です。そして『Artist』でもあります。日本人的には『アーティスト』(芸術家)と言う言葉を使うのが少し抵抗がある人も多いかもしれません。

『アーティスト』だと言う写真作家もいれば『フォトグラファー』だと言う写真作家もいますし、『写真屋』だと言う人もいます。その違いはなんだろうと考えるとその作家の作品が『どこ』に『位置』するかが大きく関係してきているのかなと思います。それは作家にとって自分の作品が『何』であり、活動している場所が『どこ』かによって説明する言葉が変わってくるからです。

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現在、『写真』は コンテンポラリーアートとして受け入れられつつあります。それは、デジタル写真が登場した事が一つの大きな要因かもしれません。『アーティスト』『フォトグラファー』と言う言葉を考える時、国によって『写真文化』が大きく異なる事も大きく影響してくるような気がします。

『写真文化』についてはまたゆっくりと別に機会に書きたいなと思いますが、その国の『写真教育』を知れば、『写真』がその国、地域でどう考えられているかがわかってくるのかなと思います。国によって写真専門学校もなく美術の授業の一部として教えている国もあれば、『商業写真』としての捉えている国もあり、写真をコンテンポラリーアートとして教えている国もあります。現在、私が言葉が重なり合って変化して曖昧になってきていると感じているのは、インターネットにより、世界が近くなり、活動エリアが自国だけでなくなってきている事も大きな一因だと思います。私自身も相手がわかりやすいかなと思う単語を使用する為、日本で使う単語と変えて説明する事が多いと感じています。

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もしもカメラマンを目指している人がいて、作家活動にも興味がある人がいた場合、自分がカメラマンとして『どこで』『どう』活動したいかを考えると事が表現できる「プラットフォーム」が多くなってきた今、ますます重要になってくるのだと思います。もちろん、一つに絞る必要は全くありません。また写真の場合『コンテンポラリーアート』としての分野で活動していきたいのかどうかを認識する事も「作家活動」をする場合において重要かもしれません。また、それが決まれば自分の事をどの言葉で説明するかが決まってくるかもしれません。

インターネットやスマフォの普及により、『フォトグラファー』でもあり・『ビデオグラファー』でもあるプロの方が増えてきました。この5年位で編集の人やライターさんが写真や映像を撮る事も急速に増えて当たり前になってきたように思います。(ミラーレスカメラの浸透はフィルムカメラからデジタルカメラに変わった時のようにステージが変わりました。)今回、stayhome で onlineでのremote撮影も急速に増えて、映像の世界でもカメラマン不在の撮影も増えてきています。『ユーチューバー』『インスタグラマー』と言う言葉が当然のように浸透した今、きっとまた、新しい言葉が出来てくるんだろうなと思う今日この頃です。

記事の中でアップしている写真はオランダのアムステルダムで出会ったカメラ屋さんのdisplay です。  Lomography のカメラですが、とても可愛いので少しこちらで紹介します。

ロモグラフィとはオーストリアの企業の登録商標です。主に銀塩写真(フィルム写真)特にスナップ写真の為のフィルムやカメラ、アクセサリーが商品にあります。 アマゾンでも値段は可愛くないですが、沢山可愛い玩具みたいなカメラが販売しているのでリンクを貼りますのでフィルムカメラに興味がある方はご覧ください。 写真を見るだけでも楽しいかもです。


少し珍しい fish eye  


魚眼レンズ


ロモグラフィはお洒落な雑貨屋さんや本屋でも時々見かける事がありますが、東京にも直営店があるようです。



時々、見てくれると嬉しいです。