乾いた街と回想する記憶

乾いた雰囲気を持つが好きだ。
あと、寂しさが同居している作品も好きになりがちである。
俯瞰的で、どこか自分と切り離して観ているような乾いた作品。

最近読んだ作品だと、町田洋さんの『砂の都』がとても好みだった。
記憶を回想して、好きではない父親がふと見せた自分を愛していたのかもしれない記憶。崩れ落ちる街。自分の感情を売り物にしてしまった、もう作品を想像することがない姉。ワンピースの女の子。決して自分からは手を伸ばさない、どこか遠い場所を見つめている主人公。

詩性を帯びる文章、余白のありつつ、シンプルなタッチの流れるような線。その中で、感情に訴える表情を描いている。


とても好きな作品でした。出会えて良かったな。


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