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誰も知らない!? ソプラニスタあるある

ソプラノとはイタリア語で、歌手や楽器の一番高い音域を表す音楽用語です。歌手の場合、通常、女性の一番高い音域を表していますが、その女性と同じ音域で歌う男性歌手を「ソプラニスタ」と呼び、私もソプラニスタとして活動しています。
用語については複雑な話になりますので、よろしければ以前書いた『「ソプラニスタ」ってご存じですか?』もご覧ください。

そんな「ソプラニスタ」と呼ばれる私こと、木村優一、声種柄、初めて歌を聞く人にはびっくりされることがよくあるのですが、他にも面白い(?)体験を数々経験してきました。今回はその中からいくつかご紹介します。

カラオケでの苦労

カラオケで点数を出す某テレビ番組に出演するために、1人でカラオケに通い詰めて練習していた時期がありました。点数が出ず、苦労した日々を思い出します。点数を出す苦労とは別に、他の人はなかなか感じないであろう「落ち着かなさ」とも戦っていました。


おひとり様ですよね? 

カラオケボックスを歌や楽器の練習ができる防音室として利用する音大生や音楽家もいますが、声楽家が練習していると、たいてい周りの部屋から「声楽家のマネ」をする声が聞こえてきます。ここまでは声楽家あるあるですが、私は更にもう一段階。

カラオケの部屋は、中が見えるような扉がほとんどなので、他の利用者や店員さんに二度見される、または隠れて様子をのぞかれるなんてことも多々あり、集中するのも一苦労でした。追加で1人増えているのではないか、と店員さんが確認しているのかもしれませんが、心地の良いものではありません。

会計の時には店員さんから「おひとりですよね?」と念を押されることもあり、「やっぱり女性と2人だと思われているな、そうすると料金2倍か」と苦笑いをすることも。

居心地の良い店を探すためにお店を転々とし、何事もなく会計を終えた時にホッとしたのも束の間。会計後振り返った場所にあった鏡には、私の後ろにいる店員さんたちが私を見ながら訝しげにしゃべっている様子が見え、「この店でも店員さんを困惑させているな」と、トボトボ帰った記憶もあります。


部屋に入ってきた!

極めつけの事件は、某山手線の駅近くにあるカラオケ店で起こりました。
あまり大きくなくちょっと古い建物で、演歌や昭和のナツメロが聞こえてくるまったりしたカラオケ店という印象でしたが、お店を転々とした結果、ある程度落ち着いて練習できるお店の1つとして、当時は頻繁に利用していました。

ある日、大きめの部屋に通され、ラッキー! と思いながら入り口近くにあるカラオケの機材を観て歌っていると、ガラスがはめ込まれている扉が視野に入るのですが、そこに黒い人影が! 私は本気で、「ここは出る部屋なんだ!」思い、背筋がぞくっとしたのを覚えていますが、曲の最後まで歌わないと点数は出ないため、震えながら歌い切りました。我ながら歌い手としての根性を見せた?(笑)

そして歌い終わった瞬間、扉が開いてその黒い人影が入ってきたのです。
私は思わず「わーー!!」と声をあげてしまいました。

入ってきたのは40~50代位の女性2人。アジア系の外国人のようでしたが、そのうちの1人が私に向かって、

「日本人ですか?」

と話しかけてきました。どうやら人間だったようですが、私は訳も分からず、

木村「はい、日本人です」
女性「とても上手なので、扉の外からずっと聴いていたのですが、どんな人が歌っているか顔が見たく入ってきました
木村「あ、ありがとうございます」

女性2人は出ていきましたが、私は今起こったことがまだ理解できず、ぼーっとしていました。しばらくして冷静になり、

「練習中の部屋に侵入されて、なんでお礼言っているんだ!」

と自分に腹が立つ一方、誉められてまんざらでもない気持ちもあり、クスッと笑ってしまいました。

今でも、なんで「日本人ですか?」と聞かれたのかは謎ですが、このお店も落ち着かない店となりました。
このような珍事件は他にもいろいろありますが、またの機会に。

もし私がカラオケで練習しているのを見かけたら、そっとしておいてください(笑)。

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