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誰が「物流」を殺すのか - ⑦KPI管理とは何か

さあ、月曜日だ。
月曜日はボクの得意分野の物流について書く日だ。
先週は「システムで管理できない大事なこと」というテーマの記事を書いた。

今日は、「KPI管理とは何か」について書いていこうと思う。


KPIとは

KPI(Key Performance Indicator)を日本語に訳すと「重要業績評価指標」となる。つまり、ビジネスを進めていくにあたって、追っていかなければならない各種指標の中で重要なものを指す。…と言いながら、現実的には重要でない指標はそもそも追わないので、「会社として、もしくは部署として、継続的に追っていこうと決めた指標」という表現の方が適切な気がしている。

KPIを追っていくためには、閾値(Threshold: スレッシュホールド)を設定しなければならない。閾値の設定方法はケースバイケースになるので、ここでは細かいところは省略するが、設定した閾値にKPIの数値が達しているなら、それはそのKPIに関連する運用が正しく進んでいるということなので、そのまま継続すれば良い。しかし、もし閾値に達していないKPIがあるなら、それに関連する運用のどこに問題が潜んているのかを洗い出し、改善のアクションを実行しなければならない。

さて、KPI(特に物流のそれ)は、大きく分けると以下の3つとなる。

  • 財務関連のKPI

  • 組織の成長のKPI

  • 業務プロセスのKPI

財務関連のKPI

財務関連のKPIを追っていくことは、会社が(もしくは部署が)健全に経営されているかどうかを確認することだ。詳細は割愛するが、中小企業であれば、以下の6つくらいのKPIを追っていけば十分と思う。ただし、通常だと決算書は年に1回しか作られず、そんなペースでKPIを追っていては、何か問題が起きたときに修正が遅れる可能性が高い。月次決算が行えるようにして、財務関連のKPIを追うことをお勧めする。

  • 粗利率(売上総利益÷売上高)

  • 営業利益率(営業利益÷売上高)

  • ROI: 投資収益率(売上総利益÷運転資本)

  • ROA: 総資産利益率(当期純利益÷総資産)

  • 労働分配率(人件費÷売上総利益)

  • 自己資本比率(自己資本÷総資産)

組織の成長のKPI

組織の成長に「職場の安全」は欠かせない。
また、組織の成長は従業員個人の成長の総和となるので、以下のようなKPIを設定し、その数値の変動に応じた改善のアクションを進めていくべきである。

  • 事故発生率(一定期間の事故発生件数÷延べ日数)

  • 離職率(一定期間の退職者数÷基準となる日の在籍人数)

  • 一人当たりの生産性(粗利高÷生産に従事する従業員数)

  • 1時間あたりの生産個数(総生産個数÷総労働時間)

  • 資格取得率(もしくは資格取得数)*社内資格を含む

  • 従業員満足度(サーベイなどを行った結果を元にする)

業務プロセスのKPI

業務プロセスのKPIは、クライアントから指定されるものと、自主的に設定するものの2つに分かれる。

クライアントから指定されるKPIは、すなわちそれがそのクライアントが重要だと考えている業務内容である。つまり、それらの求められているKPIを重要視して継続的に良い数値をたたき出すことは、顧客満足度の向上に直結する。一方で、往々にしてクライアントはそう簡単に達成できる閾値を出してこないので、それを継続的に達成するためには、そこにリソースを投入しなければならなくなる可能性が高い。そうなると、どこまでコストをかけることができるのかを考えなければならない。それが「財務関連のKPI」に数値として反映されることになる。

クライアントが求めるKPIは、そのクライアントにとって入口となる指標だ。ということは、サプライヤー(ベンダー)側は、そのクライアントが求めるKPIに達した状態で製品やサービスが納品できるよう、自社内のKPIを整備しなければならない。例えば、クライアントが求めるKPIが「納品期日順守率」であれば、サプライヤー側はその上流で「出荷期日順守率」や「輸送トラックの切り離し時刻順守率」などのKPIを持っておかなければならず、さらにその上流で、物流加工に関わる各工程にかかっている時間(もしくはタイムラインの順守率)や不良発生率、一人当たりの生産性などのKPIを設定し、改善アクションを進めていかなければならない。

また、「財務関連のKPI」や「組織の成長のKPI」の中で、危険水域に達しているものがあるのであれば、それを改善するために業務プロセスを見直さなければならない場合もある。それもまたKPIを設定して、改善アクションが進んでいるか(効果を生んでいるかどうかは元の財務関連のKPIで測る)を追っていく必要がある。

(続きはまた来週)


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